職場のアイドル
ハヤシバラ●タカハシ君、今日も依頼のメールが届いてますね。
タカハシ●あ、舞安商事のアイドル、広報室ヒロミさんからの依頼だ♪ なになに、キーノートでスライドを共同編集したいのか~。自分では使ったことがない機能だけど、ヒロミさんからのお願いなら早速試してみるか!
ハヤシバラ●(おや、妙に積極的だと思ったらそういうことですか…まあ、いいでしょう)。
ですが、キーノートの操作方法を調べるだけではちょっと物足りないですね。どういうシチュエーションでこの共同編集機能を使うと便利なのかヒアリングして、ほかの部署でもノウハウを共有できるようにしてください。
タカハシ●わかりましたヒアリングしまくります!
…と、早速キーノートを起動してみたのですが、[iCloudでリンクを共有][コピーを送信]という項目があっても、共同編集機能らしきものは見つかりません。もしかして、そんな機能はないのでしょうか…?
ハヤシバラ●勢いはよかったけど、出だしからつまづきましたね。タカハシ君のキーノートは最新版ですか? そうでなければアップストアでアップデートしてください。おそらく共同編集の機能は、最新版でないと利用できないはずですので。
タカハシ●ほんとだ! 古いバージョンのままでしたのでアップデートします。…課長、知っていたのなら先に言ってくださいよ。
ハヤシバラ●やる気を削いではいけないと思いましてね。ダウンロードしている間に、プレゼンのシチュエーションなども問い合わせておいたほうがよいですね。複数人といっても普段は何人で共有するのか、社外向けのプレゼンなのか社内向けのプレゼンなのか、iPhoneやiPadからも利用することはあるのか、あたりですかね。
タカハシ●それもそうですね、聞いてきます!
確認作業を効率化したい
タカハシ●課長、ハァハァ、直接聞いてきましたよ!
広報部ではイベントで新サービスの案内をする際に、マーケティング、営業などと連携してプレゼン資料をチェックする仕組みがあるそうです。以前はPDFにして回覧してたのですが、メンバーのコメントが入り乱れて反映するのに時間がかかるので、パワーポイントの共同編集機能を使っていたそうです。
ハヤシバラ●別にメールで問い合わせればいいのでは…。要するに社外向けのプレゼンだけど、各部署の担当者数名が共同で編集するのが基本ということかな。で、可愛かった?
タカハシ●はい! あ、いえ…とにかく引き続き調査しますっ!
キーノートの共同編集機能が使える環境をチェックしよう
タカハシ●さて、キーノートのアップデートも終わったみたいだし、気を取り直して機能を確認してみよう。おや、新機能の案内に「共同制作Beta」と書いてあるね。そうか、まだベータ版の機能なのか。
説明には「Mac、iPad、iPhone、またはiCloud.com上のKeynoteでプレゼンテーションを同時に編集できます」とあるけど、ちょっとイメージが掴みにくいから図にして整理してみるか。
動作条件は、macOSシエラとキーノート7.0以降なのはいいとして、iPhoneやiPadではiOS 10とキーノート3.0以降、つまり現時点での最新バージョンでないと動かないってことだな。しかし、最新で統一するのは部署によっては足並み揃わないかもしれないな…。あと、アイクラウド・ドライブを有効にしておく必要があるって書いてある。これは初期設定では有効になってると思うけど、一応確認しなければ。
それ以外の環境では、インターネット・エクスプローラ11またはグーグル・クローム27・0・1以降が搭載されたウィンドウズからもいけるみたい。これってWEBからiCloud.comを使う場合ってことなんだろう。外部の人間とのやりとりも可能だね。
キーノートの共同制作のイメージ
舞安商事でのプレゼン資料共同編集のイメージです。キーノートの場合はプレゼン資料をアイクラウド・ドライブ上に置くことで、対応する別の部署のメンバーを招待して共同編集したり、閲覧の許可を出せます。なお、ページズ、ナンバーズでも同様の機能が使えます。
Mac版パワーポイントにはウインドウの右上に共有オプションがあり、ここからスライドの共同作成相手を招待できます。キーノートの導入が難しい場合は、こちらを利用するという選択肢もあります。
共同制作機能を利用するには、MacやiOSデバイスの環境、キーノートのバージョン、アイクラウド・ドライブの設定が有効になっているかどうかを確認しましょう。
スライドのリアルタイム共同編集を試してみた
タカハシ●では、環境が整っている前提で実際に共同編集の作業を試してみよう。まずは、この[共同制作]ボタンを押してユーザを招待すればいいんだな。
あ、招待した人が共同編集に参加するとツールバーにステータスが表示されて、リアルタイムに編集していることがわかるんだな。なるほど、これは便利かもしれない。修正している部分にジャンプして、どこをどのように変更したのかも確認できるので安心だな。
未完成な状態のファイルを共有するのは最初はちょっと慣れないかもしれないけど、早めの段階で関係者にチェックしてもらったほうがスピーディだし、仕事の進め方にも影響がありそうだな。
ただ、共同編集にはいくつかの制約もあるみたいだ。50MB以上の動画ファイルを追加、用語の一括置換、マスタースライドの追加や編集、テーマの変更、スライド再生中の発表者ノートの書き換えなんかも編集中はできないようだ。あと、スライドのファイルサイズを減らす機能も利用できないから、スライド全体に関わる機能の変更は一応の完成を見てから行ったほうがよさそうだ。
あと、ちょっと気になったのは編集中のスライドファイルはアイクラウド・ドライブ上にあるから、招待した人以外にうっかり公開しないように注意しないといけないな。スライドの共同編集は慎重に行ったほうがいいね。
ツールバーにある[共同制作]ボタンをクリックするか、[共有]メニューから[ほかのユーザと共同制作を行う]を選択します。メッセージが表示されたら[今後これを表示しない]にチェックして[続ける]をクリックします。
[人を追加]画面でスライドの参加依頼を送る方法を選択します。通常はメールかメッセージが一般的でしょう。近くにいる相手であれば[AirDrop]も便利です。[共有オプション]では参加依頼した人以外にも共有できますが、その場合はパスワードの設定を推奨します。
相手が共同編集を承認し編集作業を開始すると[共有]メニューにアイコンが表示され、その人が編集している部分にジャンプできます。文書は開いているが、編集していない場合は色付きの丸印は表示されません。
図は[メール]を選択した場合です。相手が共有依頼のリンクをクリックすれば、共同編集者として参加できます。タイトルバーにはファイル名の後に[共有]の文字が自動で追加されます。
編集相手から見た画面です。リアルタイムで編集中の部分はカーソルやオブジェクトが色付きで表示されるので、現在どこでどのような作業を行っているのか一目でわかります。
もう1つの新機能「Keynote Live」って?
新しくなったキーノートには「キーノートライブ」という機能が追加されています。これは、作成したスライドが参加者の手元にあるMac、iOSデバイス、WEBブラウザなどに配布・表示され、スピーカー(発言者)の操作に合わせてスライドがめくられるというものです。参加者の全員がiPadなど対応デバイスを持っているという前提ですが、プロジェクタを設置しない次世代のプレゼン環境を構築できます。
少人数から十数人程度の会場でスライドを配布するにはエアドロップを使うと効果的でしょう。
プレゼンの共同編集のもっと便利な使い方って?
タカハシ●共同編集機能の使い方そのものは思ったより簡単だったけど、広報部だけのノウハウを社内で共有しても自分の部署で真似してみようって気にはならないかもなあ。もう少しよくあるシチュエーションについても考えてみようか。…そうだ、社内会議や勉強会で複数人が順番にプレゼンするときに使えばいいんじゃないか? いつもMacBookとプロジェクタの接続を発言者が変わるたびに切り替えるのが面倒だったんだよね。プロジェクタを認識しなかったり、ついさっきまで作業してたのがバレバレなデスクトップが映ってしまったりしたんだよな。
こんなとき、あらかじめ共同編集機能で人数分のプレゼンを1スライド内で同時に作ってしまえば、1台のMacBookをつないだまま順番が途切れることなくプレゼンできるよね。発言者同士でネタバレしてしまうって問題はあるけど、これなら時間や手間の節約になりそうだ。
フォーマットがある程度統一できる社内プレゼンのスライドであれば、1つのファイル内で同時に複数のスライドを作成できます。別々に作成したスライドを結合するよりも効率的な場合もあります。
課題は残るがプレゼンの効率化に効果あり!?
ハヤシバラ●キーノートの共同編集機能の使い勝手はどうでしたか? 私が試した範囲では普段どおりスライドを制作できたので問題は感じませんでしたけどね。
タカハシ●はい。クラウドで使うということやベータ版という問題はあるかと思いますが、アップルユーザ同士であればキーノートの共同編集機能はかなり実用性は高いと考えます。iPhoneやiPadからも参加できるので、違う部署の人も手軽に利用できるのではないでしょうか。ただし、最新の環境に揃えないと利用できないので、全員がアップデートを実施してくれるかどうかは未知数ですが…。
ハヤシバラ●ふむ。情報システム部と相談して、macOSシエラの検証が先決のようですね。OKが出たら関係部署にアップデートしてもらって、試験的に共同編集機能を試してもらいましょうかね。
タカハシ●はい。あとは新機能なので広報部に使い方をレクチャーしたほうがいいと思うので行ってきていいですか?
ハヤシバラ●そう? 簡易マニュアル作って配布すればいいのでは? ははあ、ヒロミ嬢のことが気になるんだね?