面倒くさがりにぴったり!
「動き続ける人の、動き続ける体のために作られました」と公式サイトで紹介されているように、アップルウォッチ・シリーズ2(以下、シリーズ2)はフィットネスシーンを意識したアップデートとなりました。
基調講演では、世界中から集まったぼっちゃり系IT記者とは真逆の、身体の締まったスポーツマンが水泳やランニングをする姿がスライドに次々登場。GPS内蔵、50メートルの耐水性能など新機能が紹介されました。
では私のようにものぐさで、運動習慣のない人には無用の長物なの? いえいえ、そんな面倒くさがりな人こそ、シリーズ2の進化の恩恵を受けられます。日々のアクティビティを自動で記録させ、健康管理をアプリにまかせ、取り出すのが面倒なiPhoneを、スムースに手首で操作できるようになったからです。
デザインは初代とほぼ変わらず、厚みが0.9ミリ、重さが3.2グラム増えた程度。ディスプレイを触ると、エッジ部分がより盛り上がったように感じますが、重量含め、違和感はすぐになくなります。
画面は2倍明るくなり、眩しい太陽光の下でも見やすく快適。パフォーマンスも驚くほどに向上しました。まさに「通知以外の世界が開けた!」という感動です。
お世辞にも初代は操作性がよいとは言いがたく、アプリを起動させるたびに数秒待たなければならない遅さに、ストレスを感じたものでした。気づけば通知メインの使い方に終始し(それだけでも十分便利ではありましたが)、周りから使い心地を聞かれても、歯切れの悪い答えしかできなかったわけです。
しかし、新たに搭載されたS2プロセッサと、高速化したウォッチOS 3を搭載したシリーズ2なら、ほぼストレスなく画面遷移が可能。アプリの起動もスムースで、久しぶりにアプリの新規開拓が楽しみになります。
声で指示する「ヘイ、シリ」機能など、まだ若干もたつく場面はあるものの、たった1年半でこれほど改善されるかと驚くほど。操作性の向上こそ、ユーザにとっては一番の幸せなニュースだと思います。
スマートランニングがはかどる
もちろん新機能も快適に活用できます。今回GPSが搭載されたことで、屋外でのワークアウトをより正確に計測可能。iPhoneのアクティビティアプリから、屋外ワークアウトの経路を確認できるようになりました。耐水性能が強化されたため、スイミング中も装着した状態での測定が行えます。ラップタイムも計測できるようになりました。
気になるバッテリの持ちですが、性能が向上しバッテリ消費の要素は増えたものの、持続時間は18時間と変わりません。通知メインの使い方では約2日持ったので、実際は初代よりさらに持続時間が伸びた印象です。
ランニングや散歩好きにとっては、アップルペイへの対応がうれしいところ。ワークアウト中にのどが渇いたら、スイカで飲み物を購入できるので、小銭を持ち運ぶ必要がなくなります。わざわざiPhone 7を買わなくとも、シリーズ2ならiPhone 5以降のモデルとペアリングできる点もメリットです。アップルウォッチを機に、「スマートランニング」を始める人がさらに増えるかもしれませんね。
なお、2015年4月に発売されたオリジナルモデルは販売を終了し、S1Pチップを搭載した「アップルウォッチ・シリーズ1」として生まれ変わりました。GPSやアップルペイは利用できませんが、2万7800円から買えるようになったので、日常使いのスマートウォッチとして手が届きやすくなっています。
新機能満載のシリーズ2ですが、楽しみはむしろこれから。10月に日本国内でアップルペイが開始し、10月下旬にはナイキとのコラボモデルや、純正ワイヤレスイヤフォンのエアポッズがリリースされます。2016年中にはウォッチ版の「ポケモンGO」アプリも登場予定。アップルウォッチの話題は、年内いっぱいまで続きそうです。
らいら (Lyra)
iPhone世代のITライター。日本の女性記者として初めてWWDC(2016)、スペシャルイベント(2015~16)を取材。今回はアルミニウムケースモデルを一足先に体験!Twitter:@lyrahm