厚生労働省の調査によると、国内でメンタル面での不調を抱えていると診断された人の数は現在100万人を超えており、日常に支障をきたすくらいの気分の落ち込みなどを示す人は、一般人口の約15%ともいわれている。誰にとっても他人事ではないメンタルヘルスの問題を、インターネットの力で解決しようとしているのが、心の健康を促進するQ&Aサービス「リミー(Reme)」だ。
開発・運営するのは、株式会社NOMALの近藤雄太郎氏。友人とベンチャー企業を起ち上げることになり、改めて「自分が一生やりたいと思える仕事はなにか」と考えたとき、思い出したのが中学時代の衝撃的な出来事だった。
「幼馴染が、思い悩んで自殺してしまったんです。もし誰かに相談できていたら、こんなことは起こらなかったかもしれない」
気軽に心の悩みを相談できる場所を、インターネット上につくろう。発想はシンプルだった。もともと臨床心理関連の仕事をしていたわけではない近藤氏は、1からこの業界について勉強し、臨床心理士との人脈を広げていった。他のQ&Aサイトとの違いは、「専門家」が「100%」回答してくれること。相談はメールでもライン(LINE)でも受け付けている。寄せられる相談は月200件以上にのぼり、2015年5月に募集したクラウドファンディングでは目標金額を超える140万4千円が集まった。
近藤氏はあくまでQ&Aを入り口と考えている。次のステップは、カウンセリングなどを必要としている人と専門家をつなぐこと。日本において、カウンセリングはまだハードルの高い存在だ。最初はリミーにも専門機関やオンラインカウンセリングサービスの一覧ページをつくっていた。しかし、PVはあっても予約するまでに至らないことがわかった。
「やったことがないことが怖いのは当たり前。リミーが、専門家と悩みを抱える人との架け橋になればいい。自主的に予約するよりも、紹介のほうがハードルが低いと思うので、専門家が相談者に近隣の心療内科やカウンセリングルームを紹介するサポートも予定しています」
専門家が適切な回答を24時間以内に返してくれる
月額500円で、メールやライン(LINE)などを使って臨床心理士などの専門家に心理面の相談を何度もできるQ&Aサービス。コミュニティサイト上では、メンタルに関するセルフチェックを無料で行えたり、臨床心理士が監修するコラムなども用意されている。これまでに、人間関係の悩み、仕事のストレス、家庭問題、うつ病への対処などについての質問が寄せられており、Q&Aの一部はサイトにも掲載。中小企業向けの福利厚生としてもサービスを提供している。2015年10月にベータ版のサービスを開始し、現在事前申し込みを受け付けている。