Mac業界の最新動向はもちろん、読者の皆様にいち早くお伝えしたい重要な情報、
日々の取材活動や編集作業を通して感じた雑感などを読みやすいスタイルで提供します。

Mac Fan メールマガジン

掲載日:

会議の音声録音をMacで管理する

著者: 栗原亮

会議の音声録音をMacで管理する

Macで再生できない!?

ハヤシバラ●今日はICレコーダについての相談ですね。この件はタカハシ君に任せてしまっていいかな?

タカハシ●押忍! わかりました。…ってICレコーダって何でしたっけ? 会議用ってことはボイスレコーダのことですか?

ハヤシバラ●おやおや、そこからですか。基本的には同じものと理解して構わないけれど、記録メディアに半導体メモリを使っているからそう呼んでるだけですね。それ以前は「カセットレコーダ」とか「テレコ」とか呼んでましたしねえ…。

タカハシ●課長の世代だとカセットテープだったんですか、アナログですねえ。

ハヤシバラ●いや、DATとかデジタルのテープもあってだね…よしましょう、老害と言われてしまいそうだ(笑)。

タカハシ●でも、今回の場合はデジタルで録音した音声ファイルなんですよね。Macでも普通に取り扱えるんじゃないですか? サカモトさんが何を心配しているのかよくわかりません。

ハヤシバラ●詳しくは聞いてみないとわかりませんが、Mac導入前に録音されていたというと、ひょっとしてWMA(ウィンドウズ・メディア・オーディオ)で録音されていたのではないですかね? それだと確かに「そのままでは」Macで再生できません。ファイル形式を変換するソフトか、そのまま再生できるプレーヤを探す必要がありそうですね。

タカハシ●そうなんですね。

PCMレコーダならOK?

タカハシ●…ちょっとICレコーダのメーカーのWEBページを見てみたのですが、録音形式はWMA以外にも「MP3」とか「PCM(パルス符号変調)」という記述もありますね。MP3はMacでそのまま再生できそうですが、こっちのPCMってファイルはMacで対応しているんでしょうか?

ハヤシバラ●ん? ああ、リニアPCM(LPCM)は厳密に言うとファイル形式ではないんだよね。結果的にはMacで再生できるので問題はないけど、タカハシ君はその辺のことも理解しておく必要がありそうですね。

タカハシ●なんだか難しそうですね…。「今後も考えて」とあるけど、そもそもICレコーダじゃないといけないんでしょうか? iPhoneでも音声って録音できましたよね。

ハヤシバラ●それは使う人の目的次第かな。一般的には録音専用機のほうが動作の信頼性は高いでしょうし、最近はPCやクラウドサービスと連係できる高機能モデルも出てきているようです。まずは、その辺の調査から始めてみてはどうかな。

タカハシ●了解いたしました!

依頼書

最近のICレコーダってどうなってるの?

タカハシ●よし、まずは最近のICレコーダ専用機の状況について、ざっと調べてみよう。いくつかメーカーはあるようだけど、どこも使うシーンによってモデルを分けているみたいだな。いったい何が違うんだろう?

ふむふむ、どうやら各社のエントリーモデルは、内蔵メモリに録音してPCやMacとの連係をせずに単独で使う場合が多いようだ。低価格だし個人で使う分にはこれでもいいけど、メモリが一杯になったら古くなった録音を消さなくてはいけないのが問題だな。Macにファイルをコピーできるモデルのほうがよさそうだ。

会議や講演、インタビュー用途の製品と音楽録音向けの製品は、基本的に搭載されたマイクの品質がポイントになっているようだね。一般的なビジネス用途だったら楽器やボーカル録音の品質まではいらないかな~。そうするとあとは内蔵メモリの容量や付加機能の多さで選ぶことになるんだろうね。それにより価格も大きく変わってくると。

へえ! オリンパスのは、iPhoneなどとの連係機能が売りになっている製品も出ているんだ。iPhoneから遠隔で録音開始できたりドロップボックスに録音したファイルを保存できるモデルもあるし、さすが専用のICレコーダは機能が豊富だな。

Voice-Trek DM-720

【発売】オリンパス

【価格】1万4018円(オリンパスオンラインショップ価格)

本体にUSBポートを搭載したモデルです。SDカードやマイクロSDカードを取り出して読み込ませるよりも接続が簡単ですね。

ICレコーダの主なカテゴライズ

ビジネス用途であれば、外部記録メディアに対応していることやMacとの連係機能が選ぶポイントになります。ここではモデル例も紹介していますが、そのほかさまざまなモデルがあり、価格幅も広くなっています。

ICレコーダの録音形式 リニアPCMとMP3、WMAの違いとは?

タカハシ●さて、次はこのPCMとかWMA、MP3とかいう録音形式の違いについて調べないとな。課長は「リニアPCMはファイル形式ではない」って言ってたけど、あれはどういう意味かな。

…ふむふむ、どうやらPCMというのはアナログ音声をデジタルデータにする方式の名前らしいぞ。一部例外はあるけど非圧縮の音源をリニアPCMと呼んでいて、これをMacなどでファイルとして扱う際にはWAV(WAVE)形式となるわけだな。アナログ信号をデジタルに変換する際の細かさ(量子化ビット数)などにも左右されるけど、基本的には高音質な代わりに非圧縮なのでファイルサイズが大きいというのが特徴のようだ。たしか、WAV形式はiTunesでも再生できたよな。

で、AACとかMP3、WMAは音声ファイルそのものというよりは、音声データを圧縮する方式(コーデック)の名称なのか。圧縮したものは展開(デコード)しないと再生できないけど、それがMacとウィンドウズで対応状況が違うと。MP3は汎用性が高いしAACはアップルが決めた規格だから問題ないけど、WMAはウィンドウズ寄りなのでMacでは標準で扱えないってことか。

サカモトさんが持っている会議の録音ファイルはどの方式なんだろう? 追加でメールを出して、聞いてみなきゃな。

ICレコーダで扱われる主要な録音形式とその特徴をまとめてみました。音質を重視するならリニアPCM、録音する長さを重視するならMP3かWMAという違いがあります。WMAは音質とサイズのバランスが良いのですが、Macでは標準で非対応という問題があります。

MacでWMA形式のファイルを再生するには?

タカハシ●おっ、サカモトさんからファイルが添付されてきたぞ。拡張子が.wmaってことは、やはりMacで非対応のWMA形式なんだね。これをMacで開ける形式に変換するソフトを探さないとな。ネットからダウンロードできるものだと怪しげなマルウェアに引っかかりそうなので、Macアップストアで検索してみよう。

う~ん、調べてみると結構いろんなファイル変換ソフトがあるんだなあ。広告が表示されるけど、とりあえず無料の「スイッチオーディオファイルコンバータ(以下スイッチ)」を試してみるか。

英語版だけど、そんなに使い方は難しくなさそうだ。WMAファイルをウインドウ内にドラッグ&ドロップして、出力形式(Output Format)の項目は「MP3(.mp3)」でOKっと。あとは[変換(Convert)]をクリックして書き出し先のフォルダを指定するだけ。これなら簡単だから誰にでも使えそうだね。

指定したフォルダにMP3形式のファイルが書き出されてるね。[スペース]キーでクイックルックすると…音声がちゃんと再生された! さらにこれをダブルクリックするとiTunesのライブラリに取り込めるんだな。使い慣れたiTunesで音声ファイルを管理するのはおすすめかもしれない。

スイッチのウインドウにWMAファイルをドラッグ&ドロップします。同時に複数ファイルを登録しても問題ありません。出力するフォーマットがMP3なのを確認したら[Convert]をクリックします。

保存先のフォルダを[デスクトップ]などわかりやすい場所に指定して保存します。変換が開始されてMP3ファイルが作成されます。

MP3ファイルをダブルクリックするとiTunesで開かれてミュージックライブラリ内に保存されます。iTunesでそのまま再生可能です。

Switch Audio File Converter Free

【開発】NCH Software

【価格】無料

【カテゴリ】App Store>ミュージック

WMA形式をそのまま再生するならVLCでもOK

WMA形式のファイルをMP3に変換しなくても、「VLCメディアプレーヤ」であれば直接開けますよ。iTunesとは別のソフトで録音した音声を管理したい場合には、有力な選択肢でしょう。このソフトは音声だけでなく映像も再生でき、対応形式が多いのも利点です。

なお、VLCメディアプレーヤはMacアップストアからではなく、配布WEBサイトからダウンロードします。

VLCメディアプレーヤ

【作者】VideoLAN

【価格】無料

【URL】https://www.videolan.org/

iTunesに読み込んだ音声ファイルはどこに行った?

タカハシ●さてと、ファイルをMac、つまりiTunesで再生できる形式に変換して、iTunesに登録までできたな。う~んと、でも音声ファイルをiTunesで録音した管理すると、ほかの音楽に埋もれてしまうのが難点だなあ。あらかじめプレイリストを作成しておいて、そこに登録しておくとするか。

あとは… この音声を自分だけで聞く分にはいいけど、社内で音声ファイルを人に渡したりする際に困りそうだなあ。作成したプレイリストから音声を選ぶと[共有]ボタンが表示されるけど、これだとiTunesミュージックへのリンクが貼られるだけだ。

あっ、そうか。この音声ファイルの場所をファインダで表示させればいいのか。これをコピーすれば、いつでも音声ファイルを人に渡せるな。この方法もサカモトさんに教えておこう。

iTunes上で、読み込んだ音声を副ボタンクリックしてコンテキストメニューを表示し、[Finderで表示]を選びます。

iファインダウインドウが開かれます。ファイルをこの場所から移動するとiTunes上でわからなくなるので、人に渡すときはファイルをコピーするようにしましょう。

専用レコーダではなくiPhoneという選択肢もアリ?

タカハシ●ひとまず、これでサカモトさんからの要望は解決できそうだ。…でも、新しいICレコーダって必要かなあ。

ハヤシバラ●おや? どうやら意外なところに行き着いてしまったようですね。念のため、iPhoneで代用できるかも確認したらどうですか。

タカハシ●あっ、すっかり忘れていました。標準ソフトの「ボイスメモ」は、AACファイルで保存されるんですね。…おお、iPhoneでも録音アプリはたくさんあるんですねえ。あ、PCM録音できるアプリもある! Macへの転送はエアドロップやドロップボックスが使えて便利だな。

ハヤシバラ●iPhoneは手軽といえば手軽ですが、一方でICレコーダ専用機のほうは安心感はありますね。録音に使うマイクも違いますし。その辺はサカモトさんの判断次第でしょう。

PCM録音

【開発】Kohei YASUI

【価格】無料

【カテゴリ】App Store>ビジネス

PCM録音で録音した音声ファイルの転送は、iPhoneをMacに接続してからiTunesでiPhoneを選択します。サイドバーの[App]の項目を表示してから右のウインドウを下にスクロールして[ファイル共有]から[PCM録音]を選ぶと、右カラムに録音したファイルが表示されるのでデスクトップなどにドラッグしてコピーします。

報告書