見られる人/大竹真一郎
大学病院、市民病院などで消化器内科医として活躍したのち、日本でも有数の内視鏡専門病院である辻仲病院柏の葉、平塚胃腸病院附属クリニックに勤務。2011年中野サンブライトクリニック院長に就任。2015年7月、赤坂に「おおたけ消化器内科クリニック」を開業。 【URL】https://naikabakabon.com
大竹真一郎さんのiPhone TOP画面にあるアプリ OmniFocus/Refills/Promodoro/Evernote/Ameba など
カリスマ名医のタスク管理術
新連載のスタートです。編集長に呼び出されたときは、連載休止かと思って焦りましたが、ホッとしました(笑)。新連載のコンセプトは、さまざまな業界の方にお会いし、どのようなお仕事をしているのか、そしてどのようなアプリを使っているのかを聞いたうえで、私が解説してみようというもの。題して、「となりのアプリ」。
記念すべき第一回は、テレビ出演ですっかり人気者になった医者の大竹真一郎先生です。大竹先生は「駆け込みドクター! 運命を変える健康診断」や「ビートたけしのTVタックル」など、さまざまな番組の医学的な説明にひっぱりだこです。でも、タレントではありませんから、それほどギャラが高いわけではないはず。まずはお仕事について、ざっくりと聞いてみました。
「仕事ってどうしてるんですか?」(美崎)
「テレビの仕事はご依頼があれば受けるようにはしていますが、本業は最近開業したクリニックです。なので、クリニックが営業している時間は、クリニックで患者さんの検査や診察をしています」(大竹)
さて、iPhoneのトップ画面を見せていただくと、タスク管理のアプリがありました。アプリにしては比較的高額な「オムニ・フォーカス(OmniFocus)」です。
実際にどうやって使っているのかを聞いてみると、テレビの仕事に使うこともあるそうです。解説者としてテレビに出演する際、アドリブで答えているのかと思いきや、最新の文献や事例を読み込んでいくのだとか。台本がきちんとある場合もありますが、その台本でお話する内容も大竹先生の知識をベースにしたもの。視聴者の皆さんに正確な情報をお伝えできるように最善の努力をiPhoneでしているのだといいます。
締め切りをしっかり設定
ですが、ここで問題です。皆さんも経験したことがあると思いますが、調べものってやっているとキリがなくなります。では、大竹先生はどのように対応しているでしょうか。
大竹先生曰く、テレビの出演が決まった段階でグーグル・カレンダーにスケジュールを入れ、同時にタスクとして調べなければならないものを、締め切りを決めてガントチャートのように割り振っていくのだという。ですから、際限なく調べるのはなく、設定した締め切りまでに調べられるだけ調べるというスタイルを採用しているのだとか。クリニックの昼休みや診療後、患者さんがいないときなどの隙間時間をフル活用するために、タスクとして割り振って仕事をこなしているわけです。その見えないタスク管理力でディレクターから信頼され、次から次へとテレビ番組に呼ばれているわけなんですね。なるほど。
また、奥さんに頼まれた買い物リストや読みたい本などもオムニ・フォーカスに登録しているそうです。すべてのタスクをこのアプリで一元管理して優先度に応じてこなしていく。いわゆるタスク管理の王道的な使い方をしているのです。ですから、iPhoneのトップ画面にオムニ・フォーカスが置かれています。思いついたときに反射的にタスクを記録できることが大事ですから。なので、タスク管理アプリは、大竹先生のようにトップ画面に鎮座させておく必要があります。
大竹先生の本業を考えますと、診療の時間は決まっています。そして、その診療時間はコントロールできません。お客さんの予定で大竹先生の予定は埋められてしまいますから。つまり、私たちでいうと、始業と終業の時間が決められ、その中に会議や朝礼などの自分ではコントロールできない仕事が入ってくるわけです。大竹先生の場合、そこはグーグル・カレンダーで枠として確保してあります。我々の仕事だと、会議や商談のときに発生する調査事項や課題があります。これが大竹先生の場合、突発的なテレビ出演などの対応です。そう考えると、多忙なスケジュールを管理して世間から評価されるカリスマ名医の工夫を、私たちも取り入れることができるのではないでしょうか?
大竹先生はタスクとして調べなければならないものをオムニフォーカスで管理をして、締め切りまでに調べられるだけ調べています。
大竹先生はグーグル・カレンダーとは別にスケジュール管理アプリである「Refills」を利用しています。黄色で表示されている予定はオムニフォーカスで管理されているタスクです。
見る人/美崎栄一郎
『iPhoneバカ』『iPadバカ』などの著者。札幌から福岡までアップルストア全店舗、ソフトバンク本社などでも講演したiPhone大好き人間。『「結果を出す人」は、エクセルをどう乗りこなしているのか?』(学研パブリッシング)が発売されました。【URL】http://www.facebook.com/a16misaki