MacBookで通信できる!
PIX-MT100はUSBドングルタイプのLTE通信端末で、MacBookシリーズのUSBポートに挿して利用します。SIMフリーなので格安SIMカードでモバイル通信が可能です。【URL】http://www.pixela.co.jp/products/network/pix_mt100/
テザリングが不要になる?
「そろそろMacだけで通信できたらいいのにね」なんて会話をこの5~6年繰り返していますが、一向に実現の気配がありません。iPhoneがあればインスタントホットスポット機能で簡単にテザリングできるのですが、肝心のテザリングのプランが月7GBや3日で1GBの制約などがあり、これを超えると通信速度制限を食らってしまいます。あくまで緊急用という位置付けなんでしょうね。
ところが、この数年で大きく風向きが変わってきました。大手通信キャリア(実質的にはドコモとau)の回線を利用したMVNO各社から「格安SIM」が登場し、低価格や高付加価値を売りにした通信プランが多数登場しています。SIMフリーのiPhoneなどでは、これまでよりも月数千円も安く通信できます。もちろん、これらの格安SIMにも通信容量制限はあるのですが、それでも従来より気兼ねなく使えるようになったのは間違いありません。
そんな状況の中で登場したのが、ピクセラの「PIX-MT100」です。一見するとUSBドングルタイプのモバイルルータのように見えますが、実は「SIMフリー」の通信端末そのもの。つまり、特定のキャリアから本体を購入しなくても好みの格安SIMを挿入してMacBookにつなげば、外出先でも簡単にインターネットに接続できるのです。
設定は少し面倒だが…
ただし、導入に際してはいくつか注意が必要です。まず、メーカーのサイトから動作確認済みの格安SIM(データ通信専用)を選択すること。とはいえ、これは主要なMVNOをサポートしているのであまり問題にはならないでしょう。もう1つは対応する形状が「マイクロSIM」であること。なので、iPhone用のナノSIMを流用しようと考えている人は工夫が必要です。また、利用にはAPN設定が必要で、この情報は各通信事業者で確認しないといけません。
利用するにはMacBookエアやMacBookプロのUSBポート(タイプA)に挿すだけですので、ある意味インスタントホットスポットよりも確実です(USB-Cの場合は別途アダプタが必要)。速度も通信事業者にもよりますが、下りで30~40 Mbps程度出るのでWEB閲覧などではストレスを感じませんでした。
もう1つユニークなのは、USBで電源を供給すればWi-Fiアクセスポイントとしても使えること。設定を先に済ませておけば、モバイルバッテリにつなぐだけで即席のホットスポットが完成します。友人同士でネットワークを一時的にシェアしたい場合などに活用できますね。
SIM下駄はサポート対象外
iPhone用のSIMはマイクロよりひと回り小さいナノSIM規格のため、利用には別途アダプタが必要です。メーカーの保証対象外なので推奨しませんが、ソフトバンクのSIMで動作しました(利用は自己責任で)。
Wi-Fiアクセスポイントになる
USB対応のACアダプタを利用してコンセントから給電したり、モバイルバッテリに接続すれば、そこが即席のWi-Fiアクセスポイントになります。外出時のネットワークの可能性が広がりますね。
栗原亮の評価
● 格安SIMが使える
● MacBookだけで通信可能
● USB給電なので汎用性が高い
● ナノSIMが非推奨
● Wi-Fiが802.11nまで
● USBコネクタの可動域が狭め
[SPEC]
【使用期間】45日 【発売】ピクセラ 【価格】オープンプライス 【実売価格】約1万5000円前後 【URL】http://www.pixela.co.jp/ 【Size】34.1(W)×14(H)×92.9(D)mm 【重量】約34g 【インターフェイス】USB 【備考】LTE:2.1GHz、1.8GHz、800MHz対応バンド:B1、B3、B19 Wi-Fi:IEEE802.11b/g/n
【補足】
最近は低速な代わりに通信容量無制限なタイプの格安SIMもあります。Macミニなどに接続すれば、遠隔地での監視作業などこれまでとは違った用途にも応用できそうで楽しみです。何か良い活用アイデアはないでしょうか。
栗原亮(Ryo Kurihara)
フリーランスの編集者兼ライターとして、アップル製品に関する書籍執筆や講師業を行っている。MacBookを抱えて都内各所を飛び回る、なんちゃって「ノマド」ワーカー。