MacBookで十分な理由
プログラミングと一口に言ってもさまざまな分野があるが、中村享介さん率いるピクセルグリッド(PixelGrid)ではジャバスクリプトやHTML5などWEBのフロントエンド技術に特化した開発をメインに行っている。スタッフ15名のうち、11名がフロントエンド・エンジニアという開発ドリブンの会社だが、デザイナーや編集も含め全員がノート型Macを使っているという。その中でMacBookを使っているのは中村さんと、同社が配信する有料の技術情報サービス「CodeGrid」の編集者の2名。
「基本的にマシンも開発環境もスタッフが使いたいものを自分で選んでもらっています。Macを会社で支給したわけではありませんが、購入費の半額を会社が持つという仕組みを採用しています」
学生時代から現在までウィンドウズやMac、リナックスなどさまざまなコンピュータを利用してきた中村さん。2010年からは13インチのMacBookエアを使い、現在はMacBookだけで開発とマネジメント業務の両方をこなしている。
「MacBookを選んだ理由は2つあります。1つは打ち合わせなど外出することがあるので軽いマシンが欲しかったこと。もう1つはフロントエンドの開発ではコンパイルの処理が必要ないので、MacBookの性能があればまったく支障ないためです」
ただし、同社で受託する業務内容ではないが、ゲームやiOSのネイティブアプリの開発には少し荷が重いだろうとのこと。また、制作したWEBサイトを各プラットフォームでクロスブラウザチェックをするためにVM(仮想マシン)を使うことがあるが、これはメモリやストレージ容量に余裕のあるMacBookプロで行うほうが快適とのことだ。
中村享介 NAKAMURA Kyosuke
株式会社ピクセルグリッド代表取締役。WEBデザイナー、WEBディレクターを経て同社を設立。経営者としてマネジメントを行いつつ、豊富なWEB制作技術の知見を活かして執筆や講演などの活動を積極的に行っている。【URL】https://www.pxgrid.com
もっと自由に、軽量に
ピクセルグリッドでの開発業務でよく用いられるソフトは、エディタの「vim」や「Visual Studio Code」、IDE(統合開発環境)の「WebStorm」など軽量かつ高機能なものが多い。また、進行管理にはギットハブのイシュー機能、社内のコミュニケーションには「Slack」、経理などのバックエンド業務はクラウドサービスの「freee」といった、軽快に動作するツールを活用しているので、MacBookのスペックに不満を感じることはないという。
ちなみに同社は、他のWEB制作会社とシェアするオフィスがあるが、タスクさえこなしていれば出社しなくてもよいという自由度の高い勤務スタイルを採っている。事業内容、開発環境、組織、オフィス、ワークスタイルなど、いずれも最先端のWEB技術を取り入れて先駆者として実践し、その成果を情報発信することでWEBの発展につなげていくというピクセルグリッドの姿勢は終始一貫している。そして、その代表である中村さんがMacBookを選んだというのも、非常に自然な成り行きであるように思われた。