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Mac Fan メールマガジン

掲載日:

OS Xの「メール」の基本と応用をマスターする?

著者: 村田有紀

OS Xの「メール」の基本と応用をマスターする?

メールクライアントソフト

メール

【発売】アップル

【OS】OS X 10.11

【価格】OS Xに標準付属

当たり前に使っている「メール」をもっと便利に活用する

パソコンで電子メールの送受信や管理を行うソフトを、メールクライアントといいます。今月のテーマは、OS Xに標準で付属するメールクライアント「メール」です。この「メール」、多くの機能を盛り込んでいるせいか、Macのソフトにしてはシンプルとは言い難い構成になっています。「いつも使ってるよ」という人でも、普段使う機能以外は見落としていることもあるかもしれません。そこで、基本操作からキラリと光る小技までを、おさらいするつもりで見直してみましょう。

さて、かくいう私も「メール」登場以来のユーザですが、世の中のトレンドはフツーに気になります。最近のメールクライアント界隈では、グーグルの「インボックス(INBOX)」や「インキー(Inky)」に見られるような、メッセージの自動振り分けがトレンドになりつつあります。たとえば、アマゾンからのメールは「ショッピング」、登録しているWEBサービスなら「プロモーション」といった具合です。「自動振り分けなんて、まったく余計なお世話」と思いつつ自分のメールボックスを見返すと、実際そうしたカテゴリーで分類できるメールがほとんどであることに気づき、これなら惨状と化したメールボックスが整理整頓できると確信しました。残念ながら「メール」にはこの機能は実装されていませんが、ルールとフラグ機能を使ってこれに近い動作をさせるカスタマイズに挑戦します。毎日使うソフトだからこそ、少し手間をかけて使い勝手をよくしておきましょう。

「メール」を使いこなそう!

【実践1】メッセージとメールボックスを作成しよう

「メール」の本分は、メッセージの送受信。まずは「メール」の基本の“き”、メッセージの作成をおさらいします。OS Xでは、「メール」以外のソフトからメッセージを新規作成することも可能です。iPhoneの「メモ」で作成した下書きを元に、メールを作るなんていうことも簡単! また、受信したメッセージを保管するメールボックスについても併せて解説します。

 

【実践2】「メール」を使いやすくカスタマイズしよう

「メール」には、VIPやフラグなど大切なメッセージを見落とさないためのマーキング機能が用意されています。この機能とルールを使って、メッセージを振り分けるカスタマイズに挑戦します。

 

【実践3】知らないと損する? 「メール」の便利機能を使いこなそう

新機能も要チェックですが、「メール」にはそのほかにも便利な機能がいろいろと用意されています。ここでは、いま一度「メール」の便利な機能や小技的な使い方を解説していきます。

「メール」のインターフェイスを見てみよう

「メール」のウインドウは、3つのカラムで構成され、左側のサイドバーは表示/非表示の切り替えが可能です。また、「環境設定」で右の2つのカラムを上下に分割表示することも可能です。利用する機能によって表示される内容も変化します。

登録可能なメールアカウント

「メール」では、アイクラウドメールのほかにもインターネットプロバイダや職場などで発行されたメールなど、複数のアカウントが登録できます。そのうちアイクラウドやGmail、ヤフーメールなどよく利用されるWEBメールについては、メールアドレスとパスワードを入力するだけで設定が完了します。また、あらかじめアカウントを「システム環境設定」の[インターネットアカウント]に追加し、メール機能を有効にすると、「メール」側で設定することなくすぐに利用できます。ただし、アカウントを削除する場合も[インターネットアカウント]で行う必要があります。

「システム環境設定」の[インターネットアカウント]でアイクラウドやグーグルなど、アドレスを使用したいサービスを登録し、「メール」の使用を有効にします。

[インターネットアカウント]で、メールアカウントやSNSのアカウントを登録しておくと、OS X内のほかのソフトやサービスでアカウントを共有できます。

 

【実践1】メッセージとメールボックスを作成しよう

さまざまなメッセージの作成方法

「メール」の基本は、メッセージの送受信です。OS Xでは、「メール」以外のソフトやファインダからメッセージを作成し、「メール」を介して送信できます。知ってはいても、実際それほど使っていなかった機能ですが、「メール」で送りたいファイルの選択からメッセージを作成したり、MacやiPhoneでメモにしたためておいた下書きを送信したりといった使い方を覚えておくと、なかなか便利です。ここでは、基本となる新規メッセージの作成と、そのバリエーションを紹介します。

 

新規メッセージの作成

まずは「メール」で新規メッセージを作成します。宛先はメールアドレスを入力するか、[+]をクリックして「連絡先」から送信先を選択します。宛先の一部を入力すると連絡先や履歴からアドレスが保管されることもあります。

ツールバーの[A]をクリックし、フォーマットツールを表示すると本文のフォントやサイズ、行揃えなどが編集できます。ただし、メッセージが「標準テキスト」フォーマットの場合、これらの効果は反映されません。

「メール」の初期設定では、Bccや返信先アドレス欄、優先順位が非表示になっています。これらを表示するには、ウインドウ上部にある[ヘッダ表示切り替え]ボタンをクリックして、表示したい項目を選択します。

 

「共有」メニューを利用する

ファインダウインドウで、メッセージに添付したいファイルを選択し、[共有]メニューで[メール]をクリックします。メールが立ち上がって、選択した書類を添付したメッセージが作成されます。

「メモ」に下書きした内容を「メール」で送信する際にも、[共有]メニューが便利です。なお、「メモ」から新規メッセージを作成すると、メモの1行目が[件名]に反映されるので、必要に応じて変更します。

メールボックスを使ってメッセージを整理する

受信したメッセージをそのまま放置していると、メールは受信箱に溜まる一方です。そして受信箱にそのまま残しておくと、メールサーバにも蓄積され、サーバ側のメールボックスの容量を超えた場合、新しいメールが受信できなくなるといったことも考えられます。

そこで、メールボックスを作成してメッセージを整理しましょう。メールボックスの作成自体は簡単ですが、設置する場所がポイントになります。

メールボックスの設置場所として選べるのはメールサーバ内、もしくは「このMac内」です。メールサーバ内に設置したメールボックスは、ほかのデバイスと共有できるといった利点がありますが、メッセージ自体はサーバに残るので、サーバの残り容量が気になるユーザには不向きです。

一方「このMac内」に作成したメールボックスは、ローカルにメッセージを保存するため、サーバの負担は減らせますが、新しいMacにメールを移行する場合、バックアップを取っておく必要があります。保存するメッセージの内容に合わせてメールボックスを設置するといいでしょう。

 

メールボックスリストの見方

メールボックスリストが表示されていない場合は、お気に入りバーの[メールボックス]をクリックします。作成したメールボックスも、このリストに表示されます。

 

メールボックスの作成

(1)まずは「このMac内」にメールボックスを作成します。メールボックスリスト上部にマウスポインタを合わせると表示される[+]をクリックし、場所メニューで「このMac内」を選択したら、名前を入力して[OK]をクリックします。

(2)メールボックスリストに「このMac内」という項目が追加され、メールボックスが追加されました。同様の手順で今度はアイクラウドにメールボックスを作成します。

(3)Macで作成したメールボックスがiPhoneのメールにも反映されました。私だけかもしれませんが、iPhoneで受信したメールを「あとでMacから返信しよう」と思っていると必ず忘れます。そこで「あとで返信」メールボックスを作ってMacとiPhone間で共有しようという魂胆です。

(4)メッセージリストで不要なメッセージを選択し[ゴミ箱]をクリックします。この状態ではゴミ箱に移動しただけで、Macからもサーバからも完全には消去されません。すべて消去する場合は、[メールボックス]メニューで[削除済み項目を消去]を選択します。

メッセージのフォーマット

メッセージのフォーマットは、「標準テキスト」または「リッチテキスト」のいずれかを選べます。「メール」の初期設定はリッチテキストとなっています。一方、標準テキストは、文字の色やサイズの変更といった装飾などには非対応です。ただし送信先の環境を選ばずに送信することができ、誰でも問題なく表示できるという利点があります。

「メール」の環境設定の[作成]タブで設定したフォーマットが、新規メッセージに反映されます。また作成中のメッセージのフォーマットは、メニューバーの[フォーマット]メニューで変更することができます。

【インボックス】

インボックスは、グーグルが開発・提供するメールクライアントです。メールの自動振り分けやToDoなど先進的な機能を備えています。Gmailアカウントと紐付けて使用するため、Gmailのヘビーユーザ向きのソフトといえるでしょう。

【IMAP】

IMAPとは端末からメールサーバにアクセスするための仕組みです。IMAPは複数の端末からのアクセスが可能なため、現在では従来のPOPに変わってIMAPの利用が一般的です。この記事はIMAPを使用したメールアカウントを前提に書いています。

【リッチテキスト】

リッチテキストはファイル形式の1つで、フォントや文字サイズ、色、行揃えなどが指定できます。この形式に対応していないメールソフトでは、正しく表示されないことがあるので注意が必要です。

【削除】

メッセージリストで不要なメッセージを選択し[ゴミ箱]をクリックします。この状態ではゴミ箱に移動しただけで、Macからもサーバからも完全には消去されません。すべて消去する場合は、[メールボックス]メニューで[削除済み項目を消去]を選択します。