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Adobe Max 2015 Keynote Speech

体験の創造をサポートするアドビのクリエイティブへの思い

体験の創造をサポートするアドビのクリエイティブへの思い

「Create with Impact – Welcome – Shantanu Narayen and Bryan Lamkin」

【URL】https://max.adobe.com/sessions/max-online/

アドビが毎年開催しているクリエイティブユーザのための祭典、アドビ・マックス。2015年のカンファレンスの冒頭で壇上に立ったCEOのシャンタヌ・ナラヤン氏の口から語られたことが、現在のアドビの地平を物語っている。スピーチを全訳してお届けしよう。

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アドビ・マックス2015へ、ようこそ。このイベントはクリエイティブ・カンファレンスです。私たちの最大のイベントでもあります。今年は会場の参加者数が7000人を超え、過去最多を更新しました。参加いただきありがとうございます。

会場にいらっしゃる皆さんのプロフィールを簡単に紹介しましょう。グラフィックスユーザ、ユーザエクスペリエンスデザイナー、モバイルアプリケーション開発者、そしてクリエイティブディレクター、映画やビデオの専門家、写真家など、クリエイティブに関わるさまざまな方が集まっています。国籍は60カ国以上、遠いところではシンガポール、サウジアラビア、スウェーデンから参加されています。フリーランサー、学生など個人ユーザの方がいれば、世界中の大小さまざまな規模のクリエイティブエージェンシーのチーム、そして世界有数の大企業の社員の方々も、ここで共にクリエイティビティついて語り合います。業種も、小売りから製薬、非営利団体、政府機関や学生、金融機関など多岐にわたります。

このように、ここに集まる大勢の方々は、あらゆる点で異なっています。でも、皆さんに共通することが1つあります。私たちは皆、クリエイティビティへの情熱を共有しています。だから毎年、多くの人がここに足を運び、またはWEBキャストを通じて世界中から参加しているのです。クリエイティビティを称え、刺激を受け、そしてテクノロジーの進歩を通じたイノベーションを促進するために、私たちはここに集っているのです。

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素晴らしいコンテンツは触れる人すべてを動かす力を持っていると、私は考えます。(カラフルなコンテンツが映し出されたスクリーンを指して)このような無限の想像力を備えたクリエイティブな人々の心から生み出された色彩とファンタジーの世界に触れるのは、幻覚を覚えるような体験です。巨大な映画スクリーンに正体不明の人影が現れたときに私たちは驚いて飛び上がり、そして夢中になります。音楽や物語と共に作られたシーンに引き込まれるからです。スリルを体験すると心臓がドキドキします。男性が空から落下するシーンでは、24マイル(38・62キロ)上空で飛び降りる瞬間から無事着地するまでを共に体験できます。間近で彼を見て、その音を聞き、彼と同じ風景を目にします。筆舌に尽くしがたい体験です。

私個人の話をすると、普段の生活においても体験が大きく変化しました。たとえば、息子アージュンの最新の写真プロジェクトをいつでも引き出せるようになって、彼が1000マイル離れた学校にいるときでも、すぐにつながりを実感できます。新しい車に乗る息子のシュラバンのことが気になったら、携帯電話をスワイプして様子を確認します。もう一度スワイプして夕食を届けてもらうかもしれません。

ゴルフについての記事を読んだり、「野望の階段(House of Cards)」を鑑賞したり、イーグルスを聴いたり、グリーンベイ・パッカーズをフォローするなど、私は日々、自分の好きなことに没頭しています。これらすべてを同時に楽しむこともあります。そして、何をおいてもアドビ・コムを頻繁にチェックしています。私が熱中しているものの中でも、特に情熱を注いでいるものです。

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今日、私たちは皆、そうした世界を体験しています。これまで見たことがないものを目にし、訪れたことがない場所に行き、届かなかったものにアクセスし、想像できなかったものを思い描いています。そうした強烈な体験は、私たちの考え方や人との触れ合い方、楽しみ方、働き方、または周りの世界との関わり方を変化させます。それは今日の私たちにとって、体験がただ良いだけでは十分ではないことを意味します。素晴らしい体験にこそ価値があるのです。完璧で、そして美しく、私たちを刺激し、夢中にさせ、変化をもたらすものでなければなりません。

それがアドビにおいて、私たちが行っていることです。人々を引き込み、没入させるデジタル体験を実現するテクノロジーに取り組んでいます。体験は洞察やデータによって形作られ、そして皆さんのパワフルな創作が体験に命を吹き込みます。あなたが学生でも、デザイナーでも、マーケティング担当者でも、パブリッシャーでも、あるいは物語の達人でも関係ありません。また、娯楽や個人の楽しみ、マーケティング、ビジネス取り引き、管理といった目的の違いも関係ありません。ツールや洞察をもって、誰もがアイデアを現実に変えられるようにするのが、クリエイティブクラウド、ドキュメントクラウド、マーケティングクラウドを提供する私たちが求めていることです。

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想像することができれば、それは形になります。なぜなら創造する力がすでに一部の人だけが使えるものではなくなったことを、私たちは皆、心の底で理解しているからです。私たちは、これまでよりも多くの人が世界を変えられると信じている時代を生きています。アドビのビジネス、アドビの存在理由、製品チームが日々活動しているのは、そうした変化の実現を支援するためです。言い換えると、私たちは変化をもたらす体験の創造をサポートしているのです。

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4年前に初めてクリエイティブクラウドを発表したとき、私たちはクリエイティブプロセスを根本から再構成するビジョンを抱いていました。そして、私たちのツールが皆さんにとって欠かせない存在になるように、イノベーションを継続的に提供する仕組みを開始しました。クリエイティブクラウドの開始以来、すべてのデスクトップソフトのアップデートの数は何百にも上ります。

また、アドビのツールがもっと身近な存在になるように努めてきました。タッチインターフェイスに対応させ、皆さんがどこにいてもアイデアが浮かんだときにモバイルアプリを使って作業できるようにしました。コミュニティとして、オンラインで集える場所も用意しました。そこでは刺激を受けたり、または優れたアイデアをコミュニティ全体で共有できます。

そして現在、ストックコンテンツからビデオ、ジョブトレーニングなど、皆さんのさまざまなニーズを満たす各種リソースを揃えた豊かなマーケットプレイスの構築に取り組んでいます。

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この4年近くでクリエイティブクラウドのメンバーは530万人を超え、さらに数百万人が企業においてファイアウォール越しに利用しています。前四半期だけで約70万人のメンバーが加わりました。特筆したいのは、クリエイティブコミュニティに加わるのがまったく初めてというメンバーの割合が20%を超えていることです。

アドビのコミュニティは、クリエイターの新しい世代を担う人々にも広がっています。でも、これはまだ始まりに過ぎません。私たちは皆さんが求める「アドビ・マジック」をもっと実現するために、可能な限り迅速にイノべーションを推進しています。クリエイティブなひらめきに必要なすべてを揃えたワンストップショップになるように、クリエイティブクラウドに投資し続けています。本日製品チームが用意したものをご覧になれば、皆さんは製品チームが取り組んでいる内容に驚くに違いありません。