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ケーブル規格の違いで速度が変わる

高速規格Thunderbolt 3悩みの種はケーブルにあり

著者: 山田昇

高速規格Thunderbolt 3悩みの種はケーブルにあり

ウィンドウズで普及が始まる

サンダーボルトは、2011年2月に発売されたMacBookプロからMacに採用された。2013年10月に発売されたMacBookプロからはサンダーボルト2に変更され、現在はMacBookを除くすべてのMacラインアップにこのインターフェイスが搭載されている。

このサンダーボルトは、インテルが主導権を握ってはいるものの、なかなかウィンドウズPCでは普及するに至らず、実質的にアップル専用インターフェイスという状態が続いていた。しかし、2015年6月に発表されたサンダーボルト3に関しては、ずいぶんと事情が変わってきそうだ。アップルは未だに採用製品を発売していないが、ウィンドウズ10搭載パソコンでは、ソニーの「VAIO S11」をはじめ、デルから10製品、レノボから2製品のノートパソコンがリリースされている。また、MSIとギガバイトからも、数種類のサンダーボルト3ポート搭載マザーボードが発売済みだ。

この背景にはUSB-C採用PCの普及があり、より高速なインターフェイスを備えるハイエンド製品としてアピールするためにサンダーボルト3が採用されているようだ。

ケーブル規格に不安

サンダーボルトは、アップル以外に採用するメーカーがなかった頃とは違い、今ではウィンドウズ市場で周辺機器の登場が待ち望まれる状況になっている。 そんな市場のニーズに呼応して、2016年1月に開催されたCES 2016では、さまざまなサンダーボルト3対応製品が展示されていた。住友電工と米カネックス社のブースではサンダーボルト3のケーブルが展示されていたが、そこでサンダーボルト3が抱える「悩みの種」を垣間見ることができた。

前ページでも解説しているように、サンダーボルト3とUSB-Cはコネクタ形状に互換性があるが、どうやらサンダーボルト3デバイスの能力をフルに活かすには、ケーブル選びに細心の注意が必要になる。

規格上、サンダーボルト3ケーブルには2つの種類がある。1つ目の「パッシブ」ケーブルは、0.5メートルまでなら40Gbps、0.75メートルまでなら20Gbpsの転送性能を発揮する。ディスプレイポート接続にも使えるが、その場合は20Gbpsの転送速度になる。

そして2つ目の「アクティブ」ケーブルは、2メートルまでの長さで40Gbpsの転送速度になるが、ディスプレイポート接続には対応しない(なお、世の中に出てくるのはパッシブケーブルのほうが先で、アクティブケーブルは1四半期遅れて発売されるようだ)。

タイプCコネクタは、USB、サンダーボルト3、そしてディスプレイポートと複数の規格に対応し、いろいろなデバイスを接続できるのは便利だが、その半面、ケーブルの規格を間違えるとうまくつながらなかったり、期待した速度が出ないといった問題も生じてしまう。ユーザの混乱を招かないか心配だ。

カネックス社が展示していたサンダーボルト3→2変換アダプタ。サンダーボルト3から2への変換は、単にコネクタ形状を変えるだけでは実現しないという。

同じくカネックス社が展示していたサンダーボルト3接続の拡張ドック「Kanex Thunderbolt 3 Travel Dock」。1000BASE-Tギガビットイーサネット、HDMIポート(4K HDTV)、USB 3.0ポートを搭載する。

住友電工がCES2016で展示していたサンダーボルト3ケーブル。20Gbpsの転送が可能な0.75メートルのケーブルと、40Gbpsの転送が可能な0.5メートルのケーブルの2種類を用意している。価格は未定で、2016年第2四半期には出荷を開始したいと語っていた。

サンダーボルト3の規格を表にまとめた。パッシブケーブルとアクティブケーブルは、転送速度やディスプレイポート対応の有無などに違いがある。

【NewsEye】

カネックス社も、20Gbpsに対応したサンダーボルト3ケーブルと、40Gbpsに対応したサンダーボルト3ケーブルの2種類を発売する予定だ。40Gbpsのものは、サンダーボルトのロゴマークに加え「3」の文字がコネクタ部に刻印され、見分けられるようになるという。