【CPU/GPU】処理性能はどれだけアップしたの?
約6割前後の性能差
アップルがいう「GPUのパフォーマンスは最大90%高速化」を検証した。使用したツールはお馴染みの「3DMark」だ。iPhone 6の1万7048に対して6sでは27829と約63%アップ、6プラスから6sプラスでは約56%増している。公称値には満たないが、確実に6割前後アップしていることがわかる。
一方、「最大70%のパフォーマンスアップ」と謳っているCPUに関してはどうだろう。「Geekbench 3」で測定してみると、マルチコアのスコアがiPhone 6の2872から6sで4315と約50%増している。6プラスから6sプラスでも2887から4383と約52%アップ。こちらも公称値ほどではないが確実に性能アップしていることが測定できた。
●3DMark(3D性能:Ice Storm Unlimited)
【作者】Futuremark Oy 【価格】無料 【カテゴリ】App Store > ユーティリティ
●Geekbench 3(CPU性能:マルチコア)
【作者】Primate Labs Inc. 【価格】120円 【カテゴリ】App Store > ユーティリティ
【INTERNET】インターネット性能は向上した?
環境によって左右されるが…
iPhoneでよく使うインターネット接続に関する性能もアップしている。WEBアプリで利用するジャバスクリプトの性能を「SunSpider」で検証した。iPhone 6から6sでは437・9msから218・4msと約50%速くなっている。6プラスから6sプラスでも428・6msから221・1msと約48%アップ。
最大2倍速くなったデータ通信や、最大2倍の速さになったWi−Fiスピードの実際はどうだろう。残念ながらデータ通信に関しては、測定エリアの条件が満たされていなかったのか、各キャリアとも従来と同等の速度しか計測できなかった。
一方Wi−Fiは、AirMacエクストリームに接続したiPhoneでの転送レートを比較してみた。802・11acの5GHzで接続した環境下では、iPhone 6/6プラスが433MB/秒を表示していたのに対し、6s/6sプラスだと702MB/秒と約62%スコアがアップしている。Wi−Fiの速度は、接続する無線LANルータの性能などで違いが感じられないケースも多い。Wi−Fiが高速化しているかどうかは、この転送レートで確認するとよい。
●SunSpider 1.0.2 JavaScript Benchmark
【作者】WebKitチーム 【価格】無料 【URL】https://www.webkit.org/perf/sunspider/sunspider.html
●W-Fi転送レートテスト
AirMacエクストリームに接続したiPhoneでの転送レートを比較してみた。AirMacユーティリティから確認ができる。
【CAMERA/VIDEO】写真や動画はどれだけきれいになったか?
イメージセンサが変わった
iPhone 6s/6sプラスで性能アップした項目の1つがカメラ部分だ。アップルからの正式なアナウンスはないものの、レンズは従来どおりの5枚構成でf/2.2、ハイブリッド赤外線フィルタなどiPhone 6/6プラスから変わりないので同等の性能と思われる。フェイスタイムカメラのレンズも同じく変化なしのようだ。光学式手ぶれ補正もiPhone 6sプラスのみに搭載されているが、従来は静止画のときだけ使えたのに対して6sプラスでは静止画と動画どちらでも動作するようになった。デジタル方式の手ぶれ補正や動画撮影時の手ぶれ補正はiPhone 6sでもサポートしている。
大きく変わったのはイメージセンサだ。メインのiSightカメラ側イメージセンサが1.5倍の1200万画素にアップしている。フェイスタイムカメラのイメージセンサも120万画素から500万画素に変わった。メインのイメージセンサでは画素数が増えただけでなくノイズリダクションにも注力している。次世代の画像信号プロセッサに加えてピクセル間の光漏れを防ぐクロストーク対策を施し、ノイズの減少やリアルな色、シャープさなどきれいな写真を撮るためのポイントが強化された。こうした違いは写真を拡大したり大画面で見るときに実感できた。高速でピントを合わせるフォーカスピクセルは、タップしてフォーカスでも使用するようになった。
4Kビデオの実力はいかに
初期設定で動画を撮ると1080pHDの30fpsで記録されるが[設定]の[写真とカメラ]にある[ビデオ撮影]で切り替えればほかの画質も選べる。さらに今回、iPhone 6s/6sプラスでは4Kビデオが追加された。HD(1920×1080ピクセル)の4倍の解像度(3840×2160)で撮影する高画質の動画撮影だ。5.5インチのディスプレイを搭載したiPhone 6sプラスでも画面解像度は1920×1080なので4Kで撮影しても意味がないように思えるが、Macなど大画面で再生すると美しさの違いがわかる。ちなみにビデオの撮影中に撮影できる静止画も8メガピクセルにアップしている。当然ながら解像度がアップした分、ムービーファイルの容量もアップした。アバウトな言い方だが1080p HD/60fpsで撮影したムービーの2倍近い容量になる。
こうして性能アップしたカメラやビデオ機能だが、劇的に変わった感はさほどない。数値やスペックだけ見た過度の期待は禁物だ。iPhoneの画面でのみで表示/再生しているだけなら、今回の写真や動画の向上点は気づかないかもしれない。
●iSightカメラ(解像度チェック)
メインのiSightカメラを使って撮影した写真の比較だ。いずれも花の色彩や水滴などもしっかり出ている。ズームして比べてみると、ややiPhone 6sシリーズで撮った写真のほうが輪郭がくっきりしていることがわかる。800万画素から1200万画素にアップした画素数の違いであろう。画面をタップしたときのフォーカススピードは若干、6s/6sプラスのほうが速いように思えた。
●iSightカメラ(黒つぶれチェック)
メインのiSightカメラを使って撮影した風景写真で比較してみよう。建物にピントと露出を合わせて撮影したが、6より6s/6sプラスのほうが若干明るめに写っている。看板の部分を拡大すると、6s/6sプラスで撮ったほうがが明らかにシャープだ。ここまで拡大すると画素数の違いがわかる。隣のピクセルで受けた光が混入するクロストークを防ぐ仕組みも画質アップに一役買っているのかもしれない。
●ライブフォトのサイズ
静止画を中心にその前後の動きも音声と一緒に保存してくれるライブフォトの機能はiPhone 6s/6sプラスの新機能の1つ。そこで気になるのが画像サイズの問題だ。ライブフォトには3秒の動画に加えサウンドも含まれる。試しにライブフォトを撮影後、内部的にどうなっているのか確かめてみたところ、ライブフォトは1回の撮影で画像ファイルと動画ファイルがそれぞれ1つずつ生成されているとわかった。静止画は4032×3024ピクセルのJPEGファイルに対して、動画ファイルは1440×1080ピクセル、H.264形式のムービーファイル。単純に考えるとライブフォト1セットで写真2枚分のサイズになるということだ。
●FaceTimeカメラ
iPhone 6s/6sプラスではメインのiSightカメラだけでなくインカメラのフェイスタイムカメラも500万画素にアップしている。世界的なセルフィー(自撮り)ブームに対応してのグレードアップだろう。明るさや、輪郭のシャープさなどに違いが出ている。
●FaceTimeカメラの「Retina Flash」
iSightカメラにはトゥルートーンフラッシュが搭載されているが、フェイスタイムカメラにはフラッシュは付いていない。暗がりや逆光で自分撮りする際に顔が暗く写ってしまった経験があるはずだ。iPhone 6s/6sプラスでもフェイスタイムカメラにフラッシュはないが、その代わりにiPhoneの画面を白く光らせて照らすレティナフラッシュ機能が搭載された。正直あまり期待はしていなかったが、通常より3倍の明るさで照らしてくれるので案外効果はある。
●ムービー比較・4形式のサイズ比較
これまで720p HD/30 fpsと1080p HD/30 fps、1080p HD/60 fpsの3種類から選べたビデオ撮影に4Kが加わった。当然ながらiPhoneの画面で見る限り区別はつかないが、Macの大画面で再生すると違いがわかる。しかし高画質になればそれだけ容量も増すのは当然のこと。そこで同じシーンを4種類のビデオ形式で撮影してサイズを比較してみた。ムービー撮影の参考にしよう。