考え抜かれた接続方法
iPadプロには、専用の「スマート・キーボード(Smart Keyboard)」が用意された。
このキーボードは、これまでのiPad用キーボードとは違い、無線接続ではなく「スマートコネクタ(Smart Connector)」と呼ばれる新しいインターフェイスで物理的に接続される。このため、ブルートゥース接続のキーボードのようなペアリング操作は不要だ。さらにこのスマートコネクタからは電力も供給されるため、キーボード側に電池を入れなくてもよく、使うときにキーボード側の電源を入れてスタンバイするという操作も必要ない。iPad側のスマートコネクタと接点を合わせればすぐに認識して使えるようになる。
スマートコネクタはその名のとおり非常にスマートで、本体側面にささやかな3つの接点があるだけだ。孔が空いていたり突起があるわけではないので、キーボードを外しているときはほとんどコネクタの存在を意識することはないだろう。
また、スマート・キーボードはiPadプロのカバーと一体化しており、持ち歩きも非常にスマート。キーボードとしても、カバーとしても、iPadを立てた状態で固定できるスタンドとしても利用できる。表面素材は従来のスマートカバーと同様のポリウレタン素材、ガラス面と接する裏地はマイクロファイバ製だ。
しかも、キーボード部分は個々のキーそれぞれが機構的には独立しながら、表面はひと続きの生地になっていて隙間がない。液体などをこぼしてしまっても壊れにくい構造になっているのだ。さらに表面素材がひと続きになっていることで素材そのものにスプリングのような張力が生まれ、既存のパソコン用キーボードのようなシザー構造などのメカニズムを省くことに成功した。結果として、快適な打鍵感を維持しながらも、わずか4ミリという薄さを実現している。
高い作業効率
そもそもiPadプロに搭載されるiOS 9は、キーボードを使うことで操作効率が高くなるような機能が盛り込まれている。アプリの切り替えなどシステムレベルでも多くのキーボードショートカットが使え、そのうえ個々のアプリ内でもキーボードショートカットが利用できるようになる(アプリ提供側がキーボードショートカットを定義しておく必要はある)。iPadプロとキーボードの組み合わせによって従来のノートPCと同じような感覚で文書の作成ができるわけだ。画面の大きさやCPUパフォーマンスの向上、画面分割といった機能も含め、既存のノートPCと同レベルの作業効率が実現するようになるだろう。
●電力とデータを双方向に送るスマートコネクタ
スマート・キーボードはiPad本体の左側面にあるスマートコネクタでつながる。ブルートゥースなどの無線接続ではないため、ペアリング操作も必要ない。取り外しも簡単に行える。
●アップル製USキーボードに準じたキー配列
現状発表されているスマート・キーボードは、アップル純正のUSキーボードに準じたキー配列だ。一番左下にあるキーは入力モードの切り替えキーだろう。日本語キーボードに準じた配列のキーボードが登場するかどうかは不明だが、[CAPS LOCK]キーの位置など、日本語キーボードに慣れていると少し戸惑う部分もあるかもしれない。
●水をこぼしても平気
それぞれのキーは、表面にある1枚の素材でつながっている。この素材がスプリングの役割を果たし、シザー構造などのメカニズムを省くことに成功した。薄型化に寄与しているうえ、隙間が空いていないため水をこぼしても安心だ。
●導電性のある新素材
スマート・キーボードは3層の素材が重なっている。表面のポリウレタン層とマイクロファイバ製の裏地の間には導電性の生地があり、ここにデータが流れるようになっている。耐久性が高く、何度も折りたたんだりしても平気だという。