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Siri_賢くなったパートナーがアップルTVをナビゲート

著者: 氷川りそな

Siri_賢くなったパートナーがアップルTVをナビゲート

文字入力の不満を解消

これまでのアップルTVでもっともストレスのたまる操作が「文字入力」だったのは間違いないだろう。豊富なコンテツを持つアップルTVだが、カーソル操作だけで目当てのものを見つけるにはあまりにも時間がかかる。それゆえに検索機能は重要だ。しかし、アップルリモートで文字を入力するのには画面上から1つずつ文字を選んでいくという非常に原始的な方法を使うか、ブルートゥースのキーボードをペアリングしたりiPhone/iPadの「リモート(Remote)」アプリでソフトウェアキーボードを使って文字を入力する必要があった。

Siriの搭載は、まさにこの問題を解決するべく誕生したともいえる。発表会の映像やアップルの公式サイトを見てみるとわかるが、驚くほど柔軟に、そして正確に目的のコンテンツを見つけてきてくれる。具体的なタイトルだけでなく「今年の映画だけ」といえば、今年公開された映画だけを見つけてくるし、さらに「面白いものだけ」といえばカスタマーレビューをチェックして、評価の高い作品だけを絞り込んでくれる。

検索だけでなく、操作ももちろんSiriで可能だ。「初めから再生して」「10分早送りして」などの再生コントロールはもちろん、再生中にふと気になって「この映画の監督は誰?」と問い合わせればスタッフ情報も調べてきてくれるなどの多機能ぶりだ。

成長していく人工知能

SiriはiOSデバイスやアップル・ウォッチでもすっかりお馴染みとなり、手放せなくなっている人も増えていると思うが、Siriがここまで優れている秘密はネットワークにある。Siriリモートを使って話しかけられた音声はアップルのクラウドに送られ、解析された結果がアップルTVに送り返されて実行される。週に1億件以上のアクセスにも対応しているというクラウド上の人口知能サーバは、日を追うごとに経験値を高め、より精度の高いレスポンスを返すように成長し続けている。

つまり我々が使えば使うほど、tvOSのアップデートとは関係なくSiriの精度は上がっていくということだ。ハードウェアはユーザの発した音声を正確にクラウドに届け、解析されて戻って来た命令を素早くこなせばいい。Siriリモートとネットワーク環境が常に備わっているのが当たり前のアップルTVでSiriを使うメリットは大きく、また自然に依存するようになるだろう。iPhoneから始まったこの人工知能プロジェクトは大きな成長を遂げ、いよいよ「本当の使いやすさ」を提供してくれるようになる。

●手元にパーソナルアシスタントを

Siriリモートのマイクボタンを押し続けて話しかけると、画面上でSiriを使うことができる。音声はデュアルマイクロフォンでノイズを低減するので、周囲の雑音があってもクリアに取得される。

●自然な言葉で話しかけられる

iOSのSiriと同じように、自然な話し言葉で問いかければいい。クラウド上にあるサーバを介して、言葉の意味を正しく理解してくれる。

●クロスサービス検索が可能

アップルTVでは、観たいコンテンツをどのサービスから再生できるか考えなくてもいい。SiriはiTunesやHuluなどの主要なサービス全体からコンテンツを横断的に検索して、その結果を表示する。また、サブスクリプションの場合は未契約でも検索結果に表示され、その場で契約を開始することもできるようだ。

●賢く、柔軟な絞り込み検索

Siriはコンテンツのタイトル名だけでなく、そこに含まれるメタ(付加)情報を使って検索が可能だ。ジャンルや役名、出演者、監督、公開年、カスタマーレビューの評価などさまざまな条件からコンテンツを表示し、さらに条件を絞っていきながら観たいものを選ぶといったあいまい検索ができる。

Siriの柔軟さは検索だけでなく、操作全体でも有効だ。「初めから再生して」「2分早送りして」「この映画の監督は誰?」など、思ったことを自然に話しかけるだけで動作するレスポンスの良さは、Siriリモートのタッチサーフェスを使う以上に素早く操作できるようになり、1度慣れてしまうと手放せない快適さがある。

●いつでも手軽に情報を引き出せる

映画の再生中に天気を聞けば、映画の再生を止めることなく画面下側に表示が現れる。

●アプリの起動もSiriで

Siriはアプリの起動も可能だ。映画の再生中であっても、Siriにリクエストすれば別のアプリを即座に起動してくれる。

Siriのサービスが対応する国は?

世界中に製品を出荷するアップルだが、コンテンツサービスが提供できる内容は国によって異なっているのが現状だ。アップルTVでのSiri対応が予定されているのは、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、日本、スペイン、イギリス、そしてアメリカの8か国となっている(いずれも執筆時点で確認が取れたもの)。