自宅の出入りを賢くチェック
筆者は普段自宅で仕事をしていますが、取材などで家を空けることも多いです。子供がいるので、外出先からでも自宅の様子を確認できるようなソリューションの導入を考えていたところ、編集部から仏ネタトモ社の「ウェルカム」をお借りできました。自宅の出入りを監視し、誰が今家にいるか、外出中かをアプリで確認できるスマートカメラです。渡りに船とばかり、1カ月ほど使わせていただきました。
本体は円筒形で、一見カメラには見えないデザイン。リビングなどに置いても違和感がありません。ここ数年、IoT関連はフランス企業の勢いがすごいんですが、いずれもユニークな機能や使い勝手だけでなく、デザインにもおしゃれさや、遊び心に満ちたものが多く、日本のメーカーも見習ってほしいところです。
セットアップにはiOSアプリを使用します。セットアップが終わったら、自宅の玄関など、人が出入りするところにセットしておくと、あとは前を人が通るたびに顔を認識して、iPhoneに通知が来ます。撮影されたデータは本体のSDカードに保存され、顔認識などもそこで行われる仕組みです。
初回は撮影された家人の顔に識別用の名前をつける作業が必要ですが、認識されれば次回以降、自動でタグ付けが行われます。顔認識は回数を重ねていくとどんどん強化されるんですが、このとき未認識の顔を選んで登録していく行為が、ゲームでキャラを「育てる」感覚に似ていて楽しいです。つい意味もなく前を行き来して登録してしまいます。
認識率はなかなか良好で、1カ月「育てた」カメラは子どもたちの顔もきちんと見分けてくれるようになりました。外出先からリアルタイムで家の様子をチェックできるので、家族でiOSアプリをインストールして、カメラの前に掲示板を置いて外出時の伝言はそこに書いておくなどすると、便利に使えそうです。
自分の顔を登録
セットアップ直後は誰の顔もわからないので、まずは自分の顔を教え込んでいきます。玄関はたいてい暗く、カメラには厳しい環境ですが、赤外線でも使っているのか、案外きちんと認識してくれます。
学習して認識力アップ
顔がうまく認識されなかったときは手動で認識。数回認識させると認識率のレベルがアップします。すっかりゲーム感覚で楽しい。
家に帰ると「おかえり」してくれる
自分を登録しておくと、家に着いたときに「おかえりなさい」のメッセージを送ってくれます。ちなみにアップル・ウォッチにも届きます。なかなか愛い奴。
動作の安定性が課題
使っていて気になったのは、本体がかなり熱を持つ点。金属製のボディは触って「熱い」と感じる程度まで発熱します。また、熱の影響かはわかりませんが、頻繁に「ネットワークからウェルカムが切断された」というログが届きました。切断中に人が通ると、対象者の「在宅」と「不在」のフラグが入れ替わってしまい、在宅を不在に切り替えることはできても、その逆ができないので、元に戻すのが面倒。この辺りはソフトの改修で修正できると思うので対応してほしいです。
なお、オプションで振動を検知して通知する機能もあり、防犯にも使えそう。こういう気の利いたスマート家電が、日本のメーカーからももっと出てほしいものです。
不在から在宅に切り替えできない
玄関以外から出入りしたり、うまく認識できなかったときには「在宅」と「不在」のフラグが入れ替わってしまいます。在宅を不在に切り替えることはできますが、逆ができないのがちょっと不便。
海老原昭の評価
● カメラに見えないシンプルデザイン
● 顔認識精度は良好
● 発熱量が大きい
● ネットワーク接続が不安定
● フラグの管理が不便
【補足】
ネタトモ社は2011年に設立された、IoT製品専業のフランス企業。同社の製品はいずれもCESで受賞している実力派揃いです。日本ではウェルカムのほかに、気象計の「Weather Station」や紫外線センサーの「June」が販売されています。
SPEC
[使用期間]30日
【発売】Netatmo Inc.
【販売】フォーカルポイント
【価格】2万9800円
【サイズ】45(W)x155(H)x45(D)mm
【重量】約400g
【インターフェイス】イーサネット(10/100BASE-T)x1、Wi-Fi(IEEE 802.11b/g/n)、マイクロSDHCカードスロットx1
海老原昭 Akira Ebihara
アップル認定サポートプロフェッショナル(10.6)所有の便利屋系ライター。開発者の愛とか思い入れとかが詰まった製品が大好物。締め切りと納期が覚えられない難病にかかっている。