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ベンチマーク、バッテリ耐久テスト・・・ここまでやるか!

【MacBookの知 Chapter 5】新製品購入時に役立つ現行MacBook「超」比較(4)

著者: 中村朝美

【MacBookの知 Chapter 5】新製品購入時に役立つ現行MacBook「超」比較(4)

【検証】マイクロスコープテスト

MacBookシリーズはモデルごとに仕上げの違いがあるの?

MacBookシリーズのボディには1枚のアルミ合金の板から削り出すユニボディが採用されています。しかし、ドリルで削った痕が残らないレベルまで切削するにはどうしても時間がかかってしまうので、仕上げにはブラスト加工が施されるわけです。これは、樹脂を吹きつけて細かな傷を付ける工程で、つや消しの仕上げになります。

この仕上げにモデル別の違いはないのか、マイクロスコープを使って比較してみたところ、モデル別の精度に明らかな違いは見受けられませんでした。ちなみに、MacBookはゴールドモデルを使っていますが、拡大してみると素材そのものに着色されていることがわかります。切削加工が終わってから塗装しているわけではないので、傷を付けても塗装が禿げるという残念なことにはならないということです。また、底面のボトムケースとボディの境界線を拡大。まるで渓谷の航空写真のように見えますが、このすとんと垂直に落ちた溝こそが切削加工がなせる技です。

そして、アップル製品といえば特殊なネジを多用することでも有名です。まるで花びらのようなペンタローブのネジ山や同心円の溝、ネジそのものの断面が垂直であることから切削加工で作られていることがわかります。切削加工でネジを作っているため、その場所に最適なネジを設計して使用できる。これも美しいボディに仕上げられる秘密の1つといえます。

最後に、MacBookのアップルロゴもチェック。マイクロスコープで観察すると、12インチMacBookのロゴの鏡面加工がとてつもない精度であることがわかりました。50倍に拡大しても凸凹が確認できず、垂直に光をあてても乱反射しないため、画像では真っ暗になってしまったほどです。ちなみにエアやプロの光るアップルロゴにも注目。アルミ合金とポリカーボネイトの透明パーツが隙間なくキッチリ合わさっています。ポリカーボネイトのクリアパーツは、射出成型したものを切削で精度を高めているのでしょう。なぜなら樹脂の成型は1ミリオーダーで誤差が出てしまうため、こんなにきっちりはめ込むことは不可能なのです。

このように、MacBookシリーズの製造精度にモデルごとに違いは見受けられません。価格や性能などで差別化されているが、ユーザが所有したときの喜びにつながる仕上げに関しては手を抜かないのがアップル流です。

各MacBookの表面仕上げ

表面の仕上げを50倍、500倍に拡大したマイクロスコープ画像。滑らかに見えるアルミ合金のボディですが、ここまで拡大するとザラザラしているとわかります。ブラスト加工によってさらっとした手触りと、切削加工で付いたドリルの痕は完全にカバーしています。

各MacBookのかみ合わせ

ボトムケースとボディの隙間。カーブがほとんど平行に揃っており加工の精度の高さがうかがえます。谷がすとんと真っ直ぐ垂直に下りているのも切削加工の特徴です。

各MacBookのロゴとネジ

アップルロゴの葉っぱの部分をマイクロスコープで50倍に拡大しました(図上)。MacBookは鏡面仕上げになっているため、ロゴ部分は真っ暗になっています。まさに鏡のような平滑度です。エアとプロも驚くべき精度でアルミ合金のボディとポリカーボネイトのクリアパーツがかみ合っています。また、ネジも50倍に拡大(図下)。丸みを帯びた5角形のペンタローブもおそらく切削加工で1つ1つ製造されているよう。同心円の溝によってキラキラと輝いてつや消しのボディにアクセントを加えています。

 

ポートが少ない!?を検証

MacBookの運用は、ワイヤレスだけで大丈夫なのか?

拡張ポートが足りない?

新しいMacBookの外部インターフェイスがUSB-Cポートのみであることに対し、未だに賛否両論が巻き起こっており、USBハブとメモリカードリーダ、外部ディスプレイ出力をまとめたドッキングベイのような機器もだんだんと登場しつつあります。

しかし、実際のところUSB-Cポートは電源ポートとして以外、あまり使うことはないという印象を受けます。筆者の自宅のインターネットはCATVの160Mプランで、実効速度は80Mbps以下なのに対し、Wi-Fiのリンク速度は500Mbps以上なのでまったく問題なし。イーサネットでインターネットに接続したのは、Wi-Fiネットワークが不安定なホテルで缶詰めになっているときぐらいです。

筆者のメインマシン(Macミニサーバ)とのファイル同期もドロップボックスで問題ありません。すでにプロ版にアップグレードしており、必要な仕事のファイルをすべて放り込んでいるからです。

また、本誌の執筆や編集では、iPhoneのスクリーンショットをMacに今すぐ読み込みたいときがあります。これはドロップボックスやアイクラウドフォトライブラリよりも、エアドロップのほうが能動的に転送開始できるので重宝しています。一分一秒が惜しいときに、ドロップボックスなどの更新を待つのは精神衛生上よくというのが正直なところ。

Wi-Fiで十分!

自宅のCATVインターネットは160Mbpsプランですが、実測は80Mbps程度。しかし、MacBookのWi-Fiは11ac対応であり、2ストリームながら500Mbps以上のリンク速度を確保していて、ボトルネックにはなっていません。

ドロップボックスで十分!

自宅ではメインマシンであるMacミニサーバを利用しているのですが、仕事のファイルはすべてドロップボックスに入れています。出掛ける前にスリープから起こせばものの数分で同期されます。

バックアップは大丈夫?

最大の難関は、タイムマシンでのバックアップです。以前使っていたMacBookエアは、USB接続のポータブルSSDにバックアップしていましたが、1カ月以上更新していなかったりと、まったくの無意味でした。やはりMacBookシリーズのバックアップはワイヤレスじゃないと続かない、とわかったのです。

そこで、タイムカプセルを導入し、どんなに時間がかかるのだろうと恐る恐るバックアップを開始。一応、時間を節約するために、バックアップ対象は[ホーム]フォルダだけにしました(27GB)。しばらくすると進捗状況に残り1時間と表示され、「なんだ意外と速いな」と思ったものの、30分後に確認すると約2時間に増えてしまいました。さらに1時間後には約3時間という表示…。やっぱりワイヤレスでタイムマシンは無謀か…?と思ったら、2時間25分で完了。計算すると、1時間あたり10GBということになります。

初回バックアップさえ終わってしまえば、1時間ごとの更新時は数分で終わるため、バックアップが始まるとMacが重くなることもなく、タイムカプセルのバックアップは十分実用的ではないでしょうか。

このように、MacBookをできるだけワイヤレスで使うことは可能です。ワイヤレスは遅いから、不安定だと有線にしたくなってしまう人は、素直にMacBookエアやプロを選んだほうがいいでしょう。

タイムカプセルで十分!

タイムカプセルでのバックアップを開始。どんどん増えるプログレスバーには冷や汗が出ました…。

初回バックアップ時間比較

タイムカプセルへの初回バックアップは2時間半ほどで終わりました。USB3.0のSSDを使っても約1時間半かかるので、タイムマシンのバックアップ速度はバックアップ先のスピードはあまり関係ないようです。 バックアップ容量:約27GB