Innovation 1 ディスプレイ
1度使うと後戻りできない「快適さ」を「日常」へと昇華するマジック
ディスプレイの見やすさは仕様時の快適さに直結する重要な要素であり、それゆえにアップルも常に大きな革新を続けてきました。2007年にはバックライトを明るくムラの少ないLEDタイプに変更したり、2012年にはパネルそのものを多くの企業が採用するTN型のものからより高品質なIPS型に切り替えるなど、表示品質の改善に積極的な取り組みを見せています。
これらの変化は、単に材質の置き換えだけに止まりません。たとえば液晶の前面パネルの保護フィルム層をガラスパネルに置き換えることで、よりクリアにダイレクトに本来の「色」が表示できるようになるという新しいメリットも生み出しました。アップルはさらにガラスパネルと液晶面を圧着させて隙間をなくす「フルラミネーション」という技術を採用し、光の余分な反射を抑えることも実現しています。
ディスプレイの見やすさを左右する要素にはもう1つ、「解像度」があります。一般に同じディスプレイサイズでもppi(1インチ四方あたりのピクセルの数)が大きいほど高精細になります。たとえば15インチディスプレイのMacBookプロは登場当初110ppiでしたが、2007年には128ppiタイプもオプションで用意されました。さらに2012年には一気に倍密度の220ppiの解像度を持つ「レティナディスプレイ」が登場。写真はより階調豊かに表示され、文字は印刷物のようにクリアな読みやすさを持つようになりました。
TOPICS
2007.06 LEDバックライトを採用
2012.06 発色性能と視野角特性の高いIPS液晶を採用
2012.06 2880×1800ピクセルのレティナディスプレイを搭載
レティナディスプレイによる高解像度化ばかりに目が行きがちですが、MacBookシリーズの液晶はバックライト方式やパネル駆動方式でも先進的な取り組みを続けてきました。
Innovation 2 キーボード
長く使うものだからこそ「快適さ」を失わないための技術と革新を探求
アップルのノートブックは、本体サイズや厚みによる構造上の制約の中でも、打鍵感の質の高さには定評がありました。そんな中、「歴代最高のノートブック用キーボードを作ろう」というプロジェクトが起ち上がり、その成果が2003年にアルミニウムボディのPowerBook G4とともに発表されたのです。安定したキーストロークは評価が高く、その設計は初期のMacBookプロにも引き継がれました。
キーボードに次の革新を起こしたのが、2006年のMacBook。キーの間隔を離した「アイソレーションキーボード」は、印象的なデザインはもちろんミスタイプが少ないというメリットもあり、その後ウィンドウズ向けのキーボードでも次々と採用されました。さらに2008年に登場したMacBookエアでは、アルミのユニボディでキーの孔も精緻に切り出され、キーボードユニットがケースの内部から直接組み込まれるようになりました。従来はケースの上に貼り付く形で配置されていたキーボードが省スペース化しただけでなく、キーの1つ1つが内側から支えられるようになったため、打鍵がさらに安定したのです。
そして今年リリースされた新MacBookは、キートップを支える「パンタグラフ」をシザー構造から幅の広いバタフライ構造に変更。こうすることで、さらに薄いスペースでも安定した打鍵が可能になるだけでなくより大きな面積を持つキートップを利用することができるようになったのです。
TOPICS
2003.01 PoweBook G4でバックライト付きのキーボードを採用
2008.08 MacBookエアでユニボディに最適化したキーボードを採用
2015.03 MacBookでバタフライ構造のキーボードを採用
常に先進的な変化を遂げてきたMacBookシリーズのキーボード。薄さへの挑戦を続けながらも入力の快適さを犠牲にすることはけっしてなく、それがアップルの哲学を物語っているといえます。
Innovation 3 トラックパッド
シンプルさの裏で進化を続ける「アップルのテクノロジー」の代表格
アップルは長年マウスやトラックパッドに「ボタンは1つ」というルールを守り続けてきています。これは、利き手に関係なく扱えるという「ユニバーサルデザイン」の思想に基づいたものですが、WEBページや書類の画面移動をより快適に扱えるように、2本指で操作したときに上下左右にスクロールできる「スクロールトラックパッド」を2005年に採用しました。ユニバーサルデザインを失うことなく機能を拡張した革新的な発明でしたが、それだけでなく、トラックパッドに2本指を置いてクリックするといわゆる「右クリック」ができるようになるという点でも画期的なものでした。
この機能は、2008年にはiPhoneでお馴染みの2本指でピンチイン/アウトによる拡大縮小や、回転、3本指で左右にフリックすることでページめくりなどが可能になる「マルチタッチジェスチャ」へと進化を遂げました。さらに2009年末にはトラックパッドから独立したボタンがなくなり、元あった部分のあたりをクリックするとクリックできる1枚の「ダイビングボード」へと進化。これによって操作可能なエリアがぐっと広がりました。
今年はさらに「感圧タッチ」という新しい構造を採用。クリックした「強さ」を検知することでクリックの強弱で動作する機能を変えたり、スタイラスペンなどを組み合わせて筆圧感知なども可能になっています。この10年でもっとも私たちのコンピュータスタイルを変えた存在、それがトラックパッドなのです。
TOPICS
2005.01 PowerBook G4でスクロールトラックパッドを採用
2008.02 MacBookプロでマルチタッチトラックパッドを採用
2015.03 MacBookプロ、MacBookで感圧式トラックパッドを採用
感圧式トラックパッドでは、それまでのダイビングボード方式ではなくクリックを電子的に検知する仕組みに変更しました。押し込んだときに鳴る「カチッ」というクリック音も電子的に再現していますが、その動作は知らなければ気がつかないほど自然です。