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帰ってきたスタートメニューと新しいWEBブラウザ

【PART 2】どこが変わった? ウィンドウズ10

【PART 2】どこが変わった? ウィンドウズ10

OS Xと同様に無料化されたアップグレード

XPからビスタを経て、7、8.1と進化してきたウィンドウズですが、思惑どおりに最新版への移行が進みませんでした。Macユーザの55%がすでに最新のヨセミテを使っている状況と比べて、ウィンドウズはOSの断片化が激しいのです。こうしたOSのばらつきを一気に解決しようと登場したのがウィンドウズ10です。無料アップグレードに舵を切ったことからも力の入れようが伺えます(ウィンドウズ7/8ユーザが対象)。

またウィンドウズ10には、PCとタブレット、モバイル機器の環境を統合する狙いもあります。実際にウィンドウズ10の画面では、従来のマウスやキーボード主体の「デスクトップモード」と、タッチ操作を多用する「タブレットモード」が選択できます。

さらに、要望の多かった「スタートメニュー」もついに復活。8.1に搭載された「スタートメニューのようなもの」ではなく、まぎれもないスタートメニューになっていることは歓迎できます。

そのほか、OS Xの通知センターに相当する「アクションセンター」やミッションコントロールに相当する「仮想デスクトップ」も搭載されています。スポットライトに似た「Webとウィンドウズ検索」機能やSiriと同じパーソナルアシスタントの「コルタナ(Cortana)」など、OS XやiOSで見慣れた機能が満載です。

驚きなのはIE(インターネット・エクスプローラ)との決別です。長年、WEBブラウザのスタンダードだったIEに代わって新ブラウザの「エッジ(Edge)」が搭載されました。未だIEの特定バージョンでしか利用できないWEBサービスも多い中、今後のWEB界の動向も気になるところです。

こうした新たなステップに足をかけたウィンドウズ10が、今度どれだけ普及するかMacユーザとしても気になるところです。

【Point 1】スタートメニュー復活

ウィンドウズの進化における一貫性に欠けていたのがスタートメニューでしょう。ユーザインターフェイスのトリガーになっていたスタートボタン(メニュー)ですが、新しいUIを取り入れたのを機に廃止されたものの、ウィンドウズ10で復活することになりました。

新しいスタートメニューには、タイル状に配した主要なソフトのアイコンや、よく使うソフトの一覧、設定画面へのリンクなどが配置されます。まずはスタートボタンをクリックするというUIに立ち戻ったわけです。

表示している以外のソフトに関しては[すべてのアプリ]をクリックしてスクロールしたリストから選択します。頭文字の部分をクリックすると目次から頭文字を選んで絞り込めます。

【Point 2】生体認証 Windows Hello

ウィンドウズ10を搭載したデバイスへのログインに顔や虹彩、指紋などの生体認証を用いるシステムが「Windows Hello」です。これまでも顔認証や指紋認証を使ったログイン方法はありましたが、どれもPCメーカーが独自に追加した機能でウィンドウズの標準機能ではありませんでした。たとえば、Windows Helloの顔認証を使えば、PCに顔をかざすだけでログインでき、従来のようなパスワード入力が不要になります。もちろん、顔認証のカメラや光彩、指紋センサといった生体認証のセンサ類が別途必要になります。

生体認証は安全性が高いため、ウィンドウズPCのセキュリティが高まります。しかも、パスワード入力よりもログインが簡単というメリットもあります。

【Point 3】パーソナルアシスタント「Cortana」

iOSの「Siri」のようにユーザが声で訊ねると答えを提示するのがパーソナルアシスタントのコルタナです。単に音声を検索文字列に変換するだけでなく、天気やスケジュールの有無、メールの検索、リマインドの設定など利用する環境や状況などに応じたアシスタントをしてくれます。スタートボタン横にある「WebとWindowsを検索」の音声ボタンや「Hey Cortana」と呼びかけることで起動します。

iOSユーザならSiriでおなじみのパーソナルアシスタントの機能。出荷当初のウィンドウズ10 日本語版では利用できませんが、数カ月以内にアップデートで対応する予定です。

【Point 4】新ブラウザ「Microsoft Edge」

「HTML5」に対応した新しいWEBブラウザのエッジが登場しました。グーグル・クロームのようにユーザレベルで拡張機能を追加できます。閲覧中のWEBページにペンやマーカーで線を書き込む注釈機能や、サファリでおなじみのリーディングリスト、スタートメニューへのピン留めなどの機能が利用可能です。従来のIE(インターネット・エクスプローラ)も残っているので、IEにしか対応していないWEBサイトやサービスも利用できます。

注釈を書き込んだWEBページはワンノート(OneNote)に送信したりエバーノート・タッチで共有できます。リーディングリストに保存したりスタートメニューへピン留めも可能です。

【Point 5】最後のウィンドウズバージョン

2015年5月にシカゴで開催された「Microsoft Ignite」でデベロッパーエバンジェリストのジェリー・ニクソン氏が「ウィンドウズ10が最後のバージョンになる」と述べました。今後は大々的なメジャーバージョンアップはなくなり、ウィンドウズアップデートでOSを進化させていく予定のようです。

実はOS Xも本当の意味でのメジャーバージョンアップは、10.7ライオンが最後ともいわれており、今秋リリースのエルキャピタンもいわばマイナーアップデートです。ウィンドウズもOS Xも成熟期を迎えたということでしょう。

今回のウィンドウズ10へのアップグレードはマイクロソフトのWEBサイトで予約してアップグレード可能となったタイミングで通知が届くという手順で行われました。一斉にアップグレード開始とならなかったのは、サーバの負荷を分散化させるためでしょう。