ノコッタノコッタ
八百長問題、暴行事件と不祥事を繰り返し、野球賭博事件でついにはテレビ中継も一時取り止めになるほど窮地に追い込まれた大相撲だが、土俵際の粘り腰でどうやらまた復活してきた。昨年秋場所には「平成の怪物」逸ノ城が彗星のごとく登場。新入幕での優勝に望みをかけた千秋楽のテレビ中継は、視聴率が20パーセントを超えた。また今年初場所は両国国技館で18年ぶりに全15日間満員御礼を記録。そんな大相撲復活を支えているのが、実は女性ファンだ。
そもそも大相撲がブームとなるのは、若くてイケてる力士に女性ファンが殺到したとき。かの若貴時代のフィーバー(死語)がまさにそうだったわけだが、それに比べるといささか小粒とはいえ、現在はイケメン遠藤を筆頭に、写真がとにかくヤバい千代丸や、笑顔がカワイイ逸ノ城などなかなかの個性派揃い。女子の鋭い嗅覚がそうした力士の魅力を発見して、SNSで発信・拡散しているに違いない。今回は「乙女もハマる大相撲」の魅力を知るのに最適のアプリを取り上げマス。
物言いもあります
そもそも昭和生まれのワタクシにとって、大相撲は幼い頃から馴染みのある好きなスポーツ。それがいつしか気持ちが離れていったのは、前述のスキャンダルに加え強すぎる外国人力士が一因だ。平成18年初場所の栃東を最後に日本人の幕内優勝はなく、まもなく10年になる。現在、幕内力士のなんと約4割が外国人で、横綱は3人ともモンゴル出身…。そりゃあ、古くからのファンの心も離れるわな。
このピンチから脱却すべく、日本相撲協会は「遠藤と隠岐の海にお姫様抱っこしてもらえる」企画や「和装day」(着物で来場すると特典がもらえるイベント)など女性をターゲットにしたファンサービスを展開し話題を呼んだ。さらに力を入れているのがモバイルユーザの取り込みで、公式ツイッターのキャッチーでマメな発信ぶりや、今回取り上げた公式アプリの素早いアップル・ウォッチへの対応などに、日本相撲協会の本気が感じられる。
それだけに残念なのが、このアプリの条件設定だ。アプリ自体は良くできている。しかし、無料会員に対して動画再生を1日1回と規制するのはいかがなものか。それ以上見たければ有料会員(タニマチ)になれというのは、これから大相撲に興味を持とうという人にとってあまりに敷居が高くはないか。相撲協会には、無料で見られる動画の本数を増やすか、月額料金を見直す配慮をお願いしたい。でなきゃ、これで大相撲ファンの拡大は難しいデスよ、たぶん。
特選! 名勝負
しかし言い換えれば、再生規制がなければ、このアプリはお宝満載の神アプリなのだ。ファンなら胸が熱くなる、そうでない人も見れば大相撲がきっと好きになる名勝負がいくつも見られるからだ。
たとえば、平成27年三月場所一四日目、関脇・照ノ富士対前頭筆頭・逸ノ城戦は、途中水入りを含む7分を超える大熱戦だ。同年五月場所千秋楽結びの一番、白鵬対日馬富士の横綱対決は、日馬富士の弟弟子照ノ富士の初優勝がかかった大一番。平成25年九月場所十日目、常幸龍対嘉風戦。投げられた嘉風が宙を舞い、その足が行事の顔面にモロにヒットした相撲史に残る珍シーン。そして、平成27年七月場所千秋楽結びの一番、白鵬対鶴竜戦は横綱の意地と意地がぶつかり合う。歓声とどよめき、手拍子が交錯する圧巻の大相撲だ。なんだかんだと、ワタクシはコレでタニマチになっちゃいましたヨ。
日本相撲協会公式アプリ「大相撲」
【作者】DWANGO MOBILE Co., Ltd.
【価格】無料
【カテゴリ】App Store>スポーツ
デザイン、情報量、使いやすさと、いずれをとっても日本相撲協会の本気が感じられる大相撲の公式アプリ。熱烈な相撲ファンならタニマチの月額600円も厭わない? 四股名でしか検索できない検索や用語集に改善の余地あり。iPhone、iPadの両方に対応。アップル・ウォッチ用のアプリも用意されている。
【担当者後記】
日本相撲協会のおもしろ企画は、本文中に取り上げられたもの以外に、「横綱、大関が赤ちゃんを抱っこして記念撮影する」企画や「朝稽古見学チケット」、LINEやフェイスブックを利用したものもありました。大相撲観戦に付加価値をつけることで、相撲本来の魅力を知ってもらう。ナイスアイデアです。
【担当者後記】
「大相撲」のアップル・ウォッチ用アプリでは、取組速報を最大3件まで表示でき、決まり手などの詳細も確認できるそう。「ごひいき」に登録した力士の取組情報を、グランスでサッと確認できる機能も。場所間である8月中旬現在は、番付発表までの日数がカウントダウン方式で表示されています。