本日、Mac Fanから1冊の書籍を発売しました。
『スティーブ・ジョブズとアップルのDNA』
~Think different.なぜ彼らは成功したのか?~
テクノロジーライターであり、私設アップルエバンジェリストでもある大谷和利氏による著書です。
スティーブ・ジョブズの突然の訃報から3カ月が経とうとしていますが、未だに世界に影響を与えた革新者への追悼&賞賛は止みません。常識に”No”と言い続けた不世出の天才ジョブズと、時価総額”No.1″にまで登りつめたアップル。なぜ彼らは成功したのでしょうか? 本書はその核心(DNA)を、日本でもっともアップルを知り尽くす大谷氏が40の視点から解き明かします。
副題の「Think different.」とは、アップルに復帰したジョブズがアップルの基本的価値」と信念を示すために制作した1997年のアップルのコーポレート・スローガン のことです。常識にとらわれず、何かを成し遂げた世界の偉人たちが広告に使われ、今となってはジョブズもその一人として讃えられています。
ジョブズやアップルはまさに「Think different.」を地でいくものでしたが、私たちが彼らから学ぶことができるのは「Think different.=人と違う考え方をする」ということではなく、「考えて、考え抜いたとき、世界(常識)が違って見えてくる」ということです。本書を読み、ジョブズの言葉やアップルのビジネス基準を紐解き、私たちの人生や仕事の本質をつかみとってほしいと思います。
全国の書店、ならびにオンラインのアマゾンやマイナビBooksなどから購入できます。書籍の詳しい内容は、本誌WEBサイトの特設ページをご覧ください。
ここでは、本書の前書きの一部を特別に紹介します。
「永続する美」の哲学
スティーブ・ジョブズの実の妹で、彼をモデルに”A Regular Guy”という小説を書いた作家のモナ・シンプソンは、兄の追悼スピーチにおいてジョブズの美学を象徴するフレーズを紹介した。
「ファッションは、今は美しく思えても、そのうちに醜く見えるもの。アートは、はじめは醜く見えても、やがて美しく思えてくるもの」
これは、ジョブズ本人が語ったものではない。その生き方と創造物が、シンプソンに思い起こさせた言葉である。だが、それはまさに的を射ていた。
あまりのわかりやすさからオモチャ扱いされた最初のMacintoshやiMac。マスメディアから、こんな高価な音楽プレーヤなど誰も買わないと評された初代iPod。iPhoneもiPadも、発表時にはアナリストたちに理解されず、売れるわけがないと叩かれた。
しかし、現実には、すべての製品が世の中に受け入れられ、数多くの後追い商品を生み出し、それらを含めて人々の生活を一変させてしまった。90年代後半には消え行くプラットホームとまでいわれたMacintoshでさえ、最近ではパーソナルコンピュータ市場でのシェアを増加させている。
ジョブズは、常に完ぺきな世界の構築を求め続けた。それが、彼が理想とする美の在り方だったからだ。その意味で、ジョブズは単に美しく機能する製品群を作ったのではない。そうした製品群を世に送り出し続けられる、アップルというシステムを創
造したのだ。
この永続的なシステムの核となるのが、以下の要素である。
・半導体からOS、ハードウェア、ソフトウェア、販売システムを統合的に開発・運営する世界唯一の会社であること
・CEOを筆頭に、事業分野ごとに複数の副社長を配し、垂直統合のビジネスを行っていること
・そして、基本的に全世界共通の仕様とデザインを持つユニバーサルな製品を作っていること
本書では、この3つの柱に集約されるジョブズとアップルのDNAをさまざまな観点から探っていく……<以上、抜粋>
●著者プロフィール
大谷和利 Kazutoshi Otani
1958年東京都生まれ。テクノロジーライター、私設アップル・エバンジェリスト、原宿AssistOn(www.assiston.co.jp)取締役。スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツへのインタビューを含むコンピュータ専門誌への執筆をはじめ、企業のデザイン部門の取材、製品企画のコンサルティングを行っている。著書、翻訳本の一部は以下のとおり。『iPadがつくる未来』(アスキー・メディアワークス)、『電子書籍制作ガイドブック』(インプレスジャパン)、『iPhoneカメラライフ』(ビー・エヌ・エヌ新社)、『ジョブズ流仕事術 43のキーワードで読み解く』(アスキー・メディアワークス)、『iPhoneをつくった会社』(アスキー・メディアワークス)。また『Mac Fan』(マイナビ)誌において、連載「アップルの軌跡が語るもの Apple’s Standards」を執筆。