10月11日に、将棋の特別対局「清水市代女流王将 vs. あから2010」を観てきました。コンピュータ将棋「あから2010」を引っさげて情報処理学会が日本将棋連盟に挑戦状を叩きつけたことで実現し、「コンピュータ vs 人間の知能」という観点からも非常に注目されていた対局です。
結果はすでにニュースになっているように、「あから2010」の圧勝。清水市代女流王将は、敵陣の王将を一度も脅かすことさえできませんでした。ヘボ将棋指しとしては、昨今のコンピュータ将棋の強さを目のあたりにして、本当に驚きました。
「あから2010」はすごいシステムです。Macプロにも採用されているインテルのXeon(4コア)マシン169台をクラスターで接続。その上に、国内トップレベルの4つの将棋プログラムを走らせ、多数決合議制(4つのプログラムに判断させて多数決で手を選ぶ)を採用しているのです。一秒間に30億回も計算できるという、もはや想像がつかない能力です。
「あから」というのは10の224乗という数を表し、将棋の局面の数(将棋の1手目から終局までの手順)がこの数に近いことで命名されたそうです。つまり、最初から最後まで、全部計算できちゃうコンピュータっていうことでしょうか。将棋は局面ごとに相手の手を読んで、最善の手を放つものですから、そんな計算能力を持たれたら人間も参ってしまいます。
女流棋士はプロ棋士ではなく、アマチュア棋士程度のレベルといわれているので、今回の対局で人間が負けたとまではいえませんが、今後もコンピュータの性能は年々上がるので、どうなることやら。「あから2010」(情報処理学会)は、次に男性のプロ棋士との対戦を希望しているので、将棋連盟が誰か対戦相手として人を送り出すのかどうかが見所です。
チェスの世界王者は1997年にコンピュータに負けました。それよりも複雑な将棋は、2015年頃と予想されていたのですが、スパコンレベルのマシンを用意すれば今でももう危ないかもしれません。それを阻止できる人がいれば、それは羽生名人ただ一人。ぜひとも、コンピュータをギャフンといわせてほしいところです。ちなみに、私の場合は、とうの昔にコンピュータに抜かれており、iPad(1GHzのA4搭載)で動作するアプリにだって勝てません。