今日、読者の方から、「またiPhone特集をやるのか。もういい加減にしてよ」というご意見を頂戴した。もしこのようにお考えの読者が大勢いるとしたなら、我々の編集方針が間違っているのかもしれないし、我々が伝えようとしている情報が、残念ながら読者には別の意味でしか伝わっていない可能性もある。
Macを冠にした専門雑誌が、iPhoneの特集を行う。同じアップル製というだけで、どうしてMac雑誌が特集を組むのだ? 他のPC雑誌や一般誌、テレビや新聞、インターネットでもiPhoneの情報はいっぱい出ているではないか。Macに関する情報が読みたくてMac Fanを購入したのに、Macの冠を付けた専門誌なのに読者の気持ちがわかっていない……。
確かにこのご意見は、正しいと思う。
しかし、我々がこれまでもこれからも誌面で伝えたい情報は、たとえMac以外のどんな機器やサービスを取り上げる場合でも、「すべてはMacユーザの視点で」に最大の重きを置いていることにある。
もちろん、取り上げるテーマは1年を通して決まっているわけじゃないし、その時々の最大の関心ごとを中心に、よりホットで最大公約数の方々に読んでもらえるであろうテーマを選定している。当然、予測なので、完売になる時もあれば、外してしまうことだってある。
さて、iPhoneを「Macユーザの目からの視点」で見た場合、どんなことに興味があるのだろうか。その発想で構成した特集は、その他雑誌やメディアの情報となんら差異はないのだろうか。
少なくとも作っている我々は、(一部操作方法等は除き)まったく違うものになっていると考える。というか、違って当たり前だ。
例えば、新しく始まったアップストア(App Store)。iPodタッチ、iPhoneで利用できるアプリケーションがダウンロード購入できるストアだ。無料配布のアプリも日を追うごとに増えている。
楽しむだけならMacユーザもPCユーザも関係ないが、ではこのアプリケーションは、いったい誰がどんな環境で作っているのか? これまで誌面を通じてお伝えしているのでご存じの方も多いだろうが、開発環境はすべてMacである。しかも、そのMacの開発環境をマスターすれば、たとえ個人であっても、アップストアを通じて、世界中で販売できる。これはまさしくMacだからこそできる革新的な流通手法なのです!
残念ながら今日現在、iPhone SDKに関する情報はNDA (秘密保持契約:Non-Disclosure Agreement)が解除されていないので解説はできないものの、Macを使い、無償で公開されている開発キットを使って、iPhone向けの日曜プログラムだって行えるのだ。何度もいうが、これはMacだからこそできることなのだ。
MacとiTunes(Store)と、iPhoneやiPod。それぞれ単体でも人々を魅了するすばらしい製品群だが、これらが三位一体となったとき、すばらしいユーザ体験を与えてくれるのは、Macユーザなら十分ご理解されていることだろう。では、Mac専門誌以外のメディアが、これら三位一体がもたらしてくれるユーザ体験のすばらしさをはたして伝えているのだろうか?
私の知る限り、その答えはNOだと思う。それが、専門雑誌とそれ以外のメディアとの差であり、それが読者へ伝えられなければ、我々の価値はないに等しいだろう。