悪名高いあのソフト
「Macを速くする」というクリーニングソフトの多くは、Macアップストアではなく、インターネットで直接販売されています。中でもよく見かけるのが「マックキーパー(MacKeepr)」というメンテナンスソフトです。ストレージのクリーニングからメモリの最適化、アンチウイルス機能まで備えており、一見至れり尽くせりですが、ネット上ではあまり良い評判を目にしません。
さて、実際はどうなのでしょうか? macOSモハベ環境を仮想化ソフトで構築し、安全な箱庭状態で試してみました。
インストールから初回起動までは不審な点はありません。大きく[スキャンを開始]ボタンがあるのでこれをクリックしてみたところ、Macにジャンクファイルが35GBも見つかりました。そのあと[アクティベートして修復]ボタンをクリックすると…ここでなんとサブスクリプション登録を求められました。1年で1万4376円。メンテナンスソフトとしてはかなり強気の価格設定です。
35GBのジャンクデータはなにかと思ったら、アイクラウドのキャッシュデータ。これなら無料ソフトを使えば削除できます。ちなみに、スキャンが終わったところで右側のチャット欄から次々とメッセージが送られてきます。これもちょっと怖い。さまざまな機能は実装されているようですが、信用がおけないという点であまりおすすめできません。
なお、昔は常識だったメンテンスとして「デフラグ」とメモリ解放ソフトがあります。デフラグを行うソフトは現在ほとんど残っておらず、辛うじて「テックツールプロ(Techtool Pro)」に機能が搭載されているくらい。一方、メモリ解放ソフトはいまだにMacアップストアで大量に販売されていますが、いくつかのソフトをmacOSモハベで試したところ、かえってメモリ圧縮を増長することになりました…。メモリ解放ソフトのご利用にもくれぐれもご注意ください。
(1)「Parallels Desktop」でmacOS Mojaveの仮想マシンを作り、ホストOSに影響が出ない状態で「MacKeeper」をインストールしてみました。
(2)スキャンを実行すると35GBものジャンクソフトが見つかり、右側のチャット欄からメッセージが矢継ぎ早に送られてきます。
(3)チャット欄でマシンガンのような営業トークが続く中、見つかったジャンクファイルを削除しようとしたら、お支払い画面になりました…。
(4)MacKeeperは終了してもメニューバーに残ってしまいます。しかも、このメニューアイコンに終了するためのインターフェイスがありません…。
(5)アクティビティモニタでチェックすると、ソフトは終了しているのに、プロセスが走っています。しかもネットワーク通信中…。怪しすぎる。これはインストールしないほうが吉ですね。
(6)Mac App Storeで提供が続いているメモリ解放ソフトを試してみると、確かに空きメモリは増えます。しかしながら、アクティビティモニタでメモリを確認すると、メモリ圧縮のグラフが黄色になってしまいました。