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「USB type-C」の疑問を解決しよう

「USB type-C」の疑問を解決しよう

USB-Cなのに転送スピードが遅い

繰り返しになりますがUSB-Cは、あくまでもコネクタの形状に関する規格です。USB-Cポートに接続できても周辺機器の規格がUSB 3.1(Gen 2)でなければ最大10Gbpsの転送速度にはなりません。

しかも、10Gbpsという数値もあくまでも論理値であり、実際に10Gbpsが出るHDDやフラッシュメモリはほとんど存在しません。Macの内蔵SSDでさえ、単体では2~3Gbps程度の読み書き速度です。

実際に、USB-C対応のフラッシュメモリをMacBookプロにつなげて転送速度を測ったところ、書き込みは111Mbps、読み込みは1623Mbpsでした。また、外付けSSDでは書き込み2.3Gbps、読み込みで2.89Gbpsでした。

とはいえ、ストレージ機器を同時に使う場合インターフェイスがボトルネックになることがありますから、10Gbpsはオーバースペックというわけではありません。

なお、USB-Cケーブルの中にはUSB 3.1(Gen 1)までの対応や、USB 2.0対応の製品がありますので、間違った仕様のケーブルを使っていないか確認しましょう。どの規格で認識しているかはシステムレポートで確認できます。

(1)USB-Cポートはコネクタ形状に関する規格であり、接続する周辺機器が採用するインターフェイス規格によって転送速度が異なります。

(2)USB規格のバージョンごとの転送速度をまとめました。USB 3.1 Gen 1はUSB 3.0と同じと理解してもかまいません。

(3)USB-Cポートに接続したUSB機器がどの転送速度で認識されているかはAppleメニューの[このMacについて]から[システムレポート]を選んで[USB]で確認できます。

ポートにプラグが刺さらない

従来のUSBタイプAのプラグを持つUSB機器は、当然ながら形状が異なるので直接USB-Cポートに挿すことができません。ケーブルが取り外しできる周辺機器なら、USBタイプCのケーブルを入手して接続しましょう。ケーブル交換できない周辺機器の場合は、タイプAからタイプCへの変換アダプタを介せば接続できます。

USBフラッシュメモリなどはタイプCプラグを搭載したものや、タイプAとタイプC両方のプラグを搭載した製品も販売されています。買い替えや新規購入時にはこうした製品も検討してみましょう。

Type-AからType-Cへの変換アダプタは各社から販売されています。写真は純正の「USB-C – USBアダプタ」です。

iOSデバイスやMacBookの充電が遅い

USB-Cポートを使って充電するiPadプロやノート型Macには、USB-C電源アダプタとUSB-C充電ケーブルが同梱されています。この電源アダプタやUSB-C充電ケーブルを使えば、最適な状態でiOSデバイスやMacBookシリーズを充電できます。

同梱品以外にもUSB電源アダプタやUSBタイプCのケーブルは販売されていますが、従来の5V/900mA(4.5W)までしか対応していない製品だと充電に時間がかかります。充電時間が遅いと感じたら正規の電源アダプタや充電ケーブルを使っているか再確認しましょう。

最適な速度で充電するだけでなく、安全に充電するためにもなるべく同梱されている電源アダプタとUSB-C充電ケーブルを使いましょう。

MacBookで充電しながらバックアップしたい

12インチのMacBookにはUSB-Cポートが1つしかありません。そのため、そのままでは充電しながらほかのUSB機器を使うことができません。

そんなときはUSB-Cポートを拡張するハブやアダプタを利用しましょう。たとえばアップル純正の「USB-CデジタルAVマルチポートアダプタ」を使えば、充電しながらタイプAプラグのUSB機器をつなげたり、HDMIポート経由で外付けディスプレイを接続できます。

「USB-C Digital AV Multiportアダプタ」にはUSB Type-CとType-A、さらにHDMI対応のテレビやディスプレイをつなげるHDMIポートが搭載されています。

サンダーボルト3機器が認識されない

MacBookプロやMacBookエア(レティナ)、Macミニ、iMacでは、USB-CポートがUSB 3.1(Gen 2)とサンダーボルト3に対応していますが、12インチMacBookのUSB-CポートはUSB 3.1(Gen 1)対応のみです。残念ながらコネクタ形状は同じですが、サンダーボルト3対応の周辺機器をつなげても利用できません。

ただし、サンダーボルト3対応のMacでUSB-Cプラグを備えていてもサンダーボルト3非対応のUSBケーブルだと認識しないので、サンダーボルト3対応のUSB-Cケーブルを用意しましょう。

USB-Cポート=Thuderbolt 3ではありません。現行機種では12インチMacBookのUSB-Cポートのみ、Thunderbolt 3をサポートしていません。

USB-C経由でディスプレイが映らない

USB-Cポートを搭載するすべてのMacは、ディスプレイポート接続のディスプレイが接続できます。ただし、USB-Cケーブルならどれでも使えるわけではありません。たとえばノート型Macに同梱しているUSB-Cケーブルは、いわば充電用ケーブルなのでディスプレイをつなげても映りません。ディスプレイを接続するには、USB 3.1対応が必要なので、純正品なら「Thunderbolt 3(USB-C)ケーブル」が該当します。サードパーティ製品の場合は、映像出力やオルタネートモード対応を謳っているケーブルを選びましょう。

なお、アップル製の「サンダーボルトディスプレイ(販売終了)」は、純正アダプタを使えばサンダーボルト3対応Macと接続できますが、ディスプレイポート出力をサポートしていないため、サードパーティのディスプレイポート対応製品をつなげても映りません。

(1)「Thunderbolt 3(USB-C)ケーブル」(左)と 「USB-C充電ケーブル」(右)。見た目はほとんど同じですが、前者はプラグ部分にイナズマのマークが刻印され、Thunderbolt対応を表しています。

(2)Apple公式サイトで扱っている「LG UltraFine 4K/5K Display」なら1本のThunderbolt 3ケーブルでMacBook ProやMacBook Air(Retinaディスプレイモデル)とつなげて映像信号だけでなく電力供給もできます。

(3)「Thunderbolt 3(USB-C)- Thunderbolt 2アダプタ」ではDisplayPortやMini DisplayPort接続のディスプレイをつなげても映りません。

充電裏技

USB-Cポートを使った充電にはPower Delivery(PD)に対応しているケーブルや電源アダプタが必要ですが、PD非対応でもスリープ中や負荷の低いときは充電できる場合があります。スリープさせて試してみましょう。

ロック機構

USB-Cポートにはロック機構がないのでケーブルを引っ張ると簡単に外れてしまいます。特に初期のMacBookやMacBook Proではプラグを差し込んだときの抵抗があまりないため、ストレージ機器をつないでいるときは本体を動かさないようにしましょう。