昨年(2025年)から噂されていたiPhone向けAppleシリコンA18 Pro搭載のMacBook Neoが、2026年3月、ついにリリースされた。明らかになったその性能から、従来のMシリーズとは異なる本機の実力と限界を探ってみよう。
【実機レビュー記事はコチラ】MacBook Neo。「“はじめてのパソコン”にMacを」。自信を持っておすすめできる新たな選択肢。AI性能、ゲームプレイ時のパフォーマンスもチェック!
iPhone向けのAシリーズを採用したまったく新しいMac
Appleシリコンを搭載するMacは、2020年11月のM1搭載モデルリリース以来、常にその心臓部に「Mシリーズ」を採用してきた。MシリーズはiPhone向けに設計された「Aシリーズ」をベースに、CPUコアおよびGPUコアの増強、メモリ帯域の拡張、そしてインターフェイスを強化したAppleシリコンだ。
一方、MacBook NeoはMacとしてはじめて、iPhone向けに設計されたAシリーズを搭載した。これがMacBook Neoの最大の特徴となっている。

MacBook Neoに搭載されたA18 Proの性能は、iPhone 16 Proでの実績からおおよそわかっていた。しかし、今回実際に製品が出荷されたことで、その詳細が明らかになった。
A18 Proを搭載するMacBook Neoの実力とは
Geekbench 6のSingleスコアは高性能コア「スーパーコア」単体の性能を示していて、主にユーザ操作に対するレスポンスの指標となる。そのスコアを見ると、M3を大きく凌ぎ、M4に肉薄している。つまり一般的な操作に対するユーザレスポンスは、現行のほかのMacに匹敵するということだ。
一方で高負荷時の性能を示すMultiスコアでは、スーパーコアがMシリーズの半分(2基)しかないA18 Proはかなり不利だ。それでもM1とM2の中間程度のスコアを見せており、一般的なアプリの利用には必要にして十分な性能を有していることがわかる。

さらに、GPUに目を向けると少し状況は厳しくなる。Geekbench 6 MetalスコアではM1をやや下回り、iPhone 16 Proにも負ける。これはM4やM5が10コアのGPUを搭載するのに対して、GPUコアが半分(5コア)しか搭載されていないことが大きい。しかも、iPhone 16 ProのA18 Pro(6コアGPU)と比較しても、1コア減っている(1コア無効化されている)。

MacBook Neoのウィークポイントはどこに?
MacBook Neoのウィークポイントは、なんといっても搭載するメモリ容量にある。ラインアップには8GBモデルしか選択肢がなく、増量オプションも存在しない。AppleはM4世代以降のMacから、標準搭載メモリのボトムラインを8GBから16GBに変更した。
これは今後のOSサイズ増加、アプリのAI利用拡大、Apple Intelligenceの機能強化などに備えたアップデートだが、MacBook Neoのメモリ容量はこれとは逆行する。
AppleシリコンはUMA(ユニファイド メモリアーキテクチャ)の採用により、メモリの利用効率に優れる。しかし、それでも多くのアプリを使ったり、重いデータを扱ったりする場合は8GBのメモリ容量では厳しい。さらにMacBook Neoのメモリ帯域は60GB/秒で、M5の153GB/秒と比べると40%程度とかなり遅い。

複数のアプリを起動したり、大きなデータを扱ったりするとメモリ不足に陥りやすいが、そんなケースで活躍するのがSSDを拡張メモリとして使用する「仮想記憶」だ。
ところがSSD性能もMacBook Neoのウィークポイントとなっていて、読み出し書き込みともにM5 MacBook Airの30%程度の速度しか出ない。このためメモリ不足を仮想記憶(SSD)で補おうにも、さらに速度が低下するというジレンマが付きまとう。これがMacBook Neoの最大のウィークポイントといえるだろう。

MacBook Neoが得意なこと、苦手なこと
このようなMacBook Neoの特性(性能)から、本機に向いている用途と向かない用途がハッキリと分かれる。MacBook NeoはmacOSに付属するアプリ、たとえばKeynote、Numbers、Pagesなどのオフィススイートや、フリーボード、GarageBand、iMovie、写真、Image Playgroundなどのクリエイティビティアプリを快適に使うことが可能だ。また、M4相当のNeural Engineを備えているため、Apple Intelligenceも軽快に動作する。
一方、サブスクリプションプランで提供される「Apple Creator Studio」のうち、Final Cut Pro、Logic Pro、Pixelmator Pro、Motionといったプロダクティビティツールは動くものの、本格的に使い倒すにはメモリと性能の両面で厳しい。
さらに、3Dモデリングやレンダリング、ローカル生成AIなどの用途では動かすこと自体が難しい。LLMやStable Diffusionといったローカル生成AIでは、学習モデルを読み込むためのメモリが必要だが、8GBのメモリ容量では賢い(サイズが大きい)モデルを読み込めないからだ。

つまりMacBook Neoは、クリエイター、デザイナー、ポストプロダクト、プログラマー、トレーダーなど、プロフェッショナルが本格的に利用するような用途には向いていない、と言えるだろう。一方で、家庭内などにおけるカジュアルな用途やセカンドマシンとしては、ほかと遜色ない操作性と性能を備えている。
AppleがMacBook Neoに期待する役割とは
このように、MacBook Neoは「Macとして見れば」明らかにエントリーモデルであり、性能や機能の制約も少なくない。しかし、視点を変えると新たな可能性が見えてくる。
近年、AppleはiPadOSのユーザエクスペリエンスをmacOSに寄せてきており、iPadのみで完結できるワークロードが増えてきた。加えてMagic KeyboardやMagic Keyboard Folioと組み合わせることで、MacBookライクな操作性も得られる。
そう、MacBook Neoは、iPad(A16)とMagic Keyboard Folioの組み合わせ以上の体験が、よりリーズナブルな価格で得られる製品なのだ。しかも、ステージマネージャによって使い慣れたiPadの操作性も再現できる。さらに、USB-Cを2ポート備えることで、USB PD対応のドッキングステーションを使わなくても充電しながら周辺機器を接続することが可能だ。

MacBook NeoはMacとして見ればエントリーモデルでも、iPhoneやiPadに慣れ親しんだユーザが次のステップとして選択するうえで最適なスペックと価格の製品だ。
しかし、従来のMacBookにはAirとProのラインアップしかなく、iPadやiPad miniに相当するエントリーモデルが欠落していた。このポジションを埋め、iPhoneやiPadのユーザがMacの世界に触れるための最初のステップとして誕生したのが、ほかならぬMacBook Neoというわけだ。


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