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「世界を変える、一人ずつ」。Macintoshに魅了された日本人が、Appleのマーケ・コミュニケーション責任者を担うまで

著者: 河南順一

「世界を変える、一人ずつ」。Macintoshに魅了された日本人が、Appleのマーケ・コミュニケーション責任者を担うまで

“Mac Fan”からApple社員へ。1989年、デベロッパグループの責任者に就任

TWICSで親しくなったメンバーに、ウッディというアメリカ人がいた。ヘッドハンター/リクルーターをしていて、オフ会でAppleが募集しているポジションを私に持ちかけてきた。これをきっかけに、1989年、私は“Mac Fan”からApple社員へ転じるのである。Appleでは、デベロッパグループの責任者のポジションを引き受けた。

グループには、「エバンジェリスト」の肩書きを持ったAppleのテクノロジーの伝道師たちと、デベロッパに技術情報を提供しサポートするエンジニアたちがいた。今でも開催されるWWDC(ワールドワイド・デベロッパ・カンファレンス)を主催してきたグループだ。

のちにMacのアプリケーションや周辺機器をデベロッパとともに市場へ広げていく役割も加わり、Macworld Expo/Tokyoといったイベントを企画・開催するマーケティング部門へと統合されていった。

1991年のデベロッパカンファレンス パンフレット
カリフォルニア州サンノゼで開催された1991年のデベロッパカンファレンスのパンフレット。




Appleで出会った秘宝「Human Interface Guidelines」

ジョン・スカリーCEOのもと、Appleはマルチメディアを武器に急成長を遂げる。1990年代後半、日本は世界売上の10%を占め、成長著しいアジアパシフィック市場の半分を稼ぎ出す最重要拠点となっていた。

私が責任者を務めたデベロッパグループでは、米本社のエバンジェリストやエンジニア約200名と連係し、Mac用ソフト・周辺機器の開発支援や共同マーケティングを展開。当時「エバンジェリスト」を擁する企業はAppleだけだった。

チーフエバンジェリストのガイ・カワサキと並び、象徴的な存在がブルース・トグナチーニ(通称Tog)だ。彼は数々の特許を持つApple初の人間工学専門家である。はじめて参加したWWDCのセッションで、会場を爆笑させる彼のユーモアに「コメディアンか」と驚愕したことを覚えている。

だが、彼の著書「Apple Human Interface Guidelines」こそが、現在のiOSやiPadOSにも継承されるユーザエクスペリエンスの土台であり、Appleのデザインの根幹だ。それは世界を覚醒させる「啓示が記された聖書」にほかならない。私をAppleのテクノロジーの虜にし、Apple入社へと導いた、キャリアにおける真の「秘宝」であった。

THE GASTON GAZETTE
1992年、THE GASTON GAZETTEに取材を受けて掲載された新聞記事。WWDCで一緒に仕事をしたアメリカ本社の同僚がくれた。
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編集:Mac Fan編集部
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著者プロフィール

河南順一

河南順一

Apple、マクドナルドでマーケティングとコミュニケーションを担当。厳しい経営環境下、Appleでは“Think different”のブランド戦略に参画し、マクドナルドではCEOコミュニケーションの刷新を主導。同志社大学大学院ビジネス研究科教授を経て、株式会社マーコムシナジー源代表取締役。著書『Think Disruption アップルで学んだ「破壊的イノベーション」の再現性』(KADOKAWA)。

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