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iPhoneは壊れやすい? 英国メディアが人気スマホブランドのトラブル率を調査。購入から6年の間に、故障率が高くなるのは、Google? Samsung? Xiaomi? Sony?それともApple?

著者: 牧野武文

iPhoneは壊れやすい? 英国メディアが人気スマホブランドのトラブル率を調査。購入から6年の間に、故障率が高くなるのは、Google? Samsung? Xiaomi? Sony?それともApple?

iPhoneは、他社ブランドのスマホと比べて壊れやすいのか、それとも壊れにくいのか。

英国のメディア「Which?」が、スマホの使用1年後から6年後までのトラブル遭遇率を調査、公開した。どのメーカーであっても、1年後トラブル率には大きな違いはないが、6年後になるとトラブル率に大きな開きが生まれる。iPhoneのトラブル率は5位と、まずまずの成績だ。

りんごループに文鎮化。Appleユーザに起こる悲劇的なトラブル

私たちAppleユーザにとっていちばんの悲劇は、デバイスがトラブルに見舞われることだ。

iPhoneが勝手に再起動し、Appleマークが表示されたと思ったらまた勝手に再起動。これが延々と続く悪夢の「りんごループ地獄」。さらには、電源ボタンを押してもうんともすんとも反応しなくなる「文鎮化奈落」。

Appleデバイスが使えなくなると、私たちは何もできなくなり、「なぜこのような不幸が自分の身に起きるのか」と神様に祈りを捧げたくなる。

Appleデバイスは、他社製品に比べてトラブル率が非常に低いと思われるが、それでもゼロではない。トラブルは誰の身にも起こることなので、事前にこのような悲劇が起きても、影響を最小限にとどめる対策を講じておくべきだ。




緊急時に役立つ「iPhoneエクスプレス交換サービス」

Appleには、「iPhoneエクスプレス交換サービス」がある。Apple Care+に加入していることが前提だが、故障をしたときすぐに交換機を発送してもらえるサービスだ。場所にもよるが翌日には配達されるので、iPhoneが使えない時間を最小限にとどめられる。

故障したiPhoneは宅配業者に渡す。その後Appleから修理見積もり届くので、その費用を支払えば、交換機をそのまま使い続けることが可能だ。

AppleCare+の保証期間内で、利用者の落ち度がない故障であれば保証対象になるため、支払いは不要となる。

Appleは「iPhoneエクスプレス交換サービス」を提供している。故障が起きた場合、すぐに交換機を発送してくれるサービスだ。Apple Care+に加入していることが必要。 画像●Apple

iPhoneのトラブル率は高いのか? 英国「Which?」の挑戦

iPhoneはどのくらいの割合でトラブルに遭遇するものなのか。残念ながら、客観的なデータは存在しない。本来ならば、トラブル率を調査して、読者に提供するというのもメディアの役割なのだが、そのような大規模な調査を行うのは簡単ではない。また、所有者の使い方によってもトラブル率は大きく変わってくる。

このような調査は条件をきちんと揃えることが重要で、それには人手も資金も専門知識も必要になる。

無理に粗雑な調査をして「A社の製品はトラブル率が高い」などと主張すれば、そのデータの正当性は厳しく問われるし、場合によってはメーカーから苦情を言われることにもなりかねない。メディアとしても、読者に誤った情報を伝えることになってしまう。

しかし、この課題に挑戦しているメディアがある。それが英国の「Which?」だ。

Which?は、英国の消費者擁護団体(非営利組織)だ。画像●Which?




1万5000人を対象にスマホのトラブルについて調査

Which?は会員制で、デジタル機器だけではなく、自動車、旅行、日用品などさまざまな商品について、読者アンケートを行い、その結果を分析した記事を掲載している。その中の「どのスマートフォンブランドがトラブル率が高いのか?」という記事が非常に興味深い。

さまざまなブランドのトラブル率が掲載されているが、あくまでもWhich?の会員の回答に基づいたものだ。そのため、客観的なデータではないことはご理解いただきたい。画像●Which?

Which?は、1万5664名の会員および非会員のスマートフォンユーザにアンケート調査を行い、トラブルに遭遇した経験に関するデータをまとめた。

Appleは5位。しかし1〜3年サイクルでの買い替えなら心配はなし

Which?が行った調査の結果、利用1年後のトラブル率はブランドによって0%から5%までさまざまだった。しかし、この差はあまり意味をなさない。なぜなら、各ブランドの回答者数は少ないものでは84名、多いものだと6606名であり、偶然のトラブルによって1、2%も上下してしまう恐れがあるからだ。

だが、6年後のトラブル率は興味深い。11%から31%まで差が開いており、ここまでくるとブランドによってトラブル率に差があると言わざるを得ない。

Which?が調査したトラブル率をグラフ化(メーカーは一部抜粋)。1年後ではどのブランドも大きな差はないが、6年後になると大きな差が生まれた。

つまり、1年から3年ぐらいの短期で新機種に乗り換えていくという人は、あまり神経質にブランドを選ぶ必要はない。どのブランドでもトラブル率は大きくは変わらないからだ。

しかし、中古スマホを購入したり、長期間にわたって使い続けたいという人は、トラブル率の低いブランドを選んだほうがいいかもしれない。このWhich?の調査で、6年後の故障率が低かったのは、OnePlus、Realme、Googleが同率1位で、サムスンが4位、Appleが5位となっている。




スマホのトラブル、内容別ランキング。iPhoneにおける対策は?

また、この記事ではトラブルの内容別ランキングも公開している。

回答者が遭遇したトラブルの内容。バッテリ関連が圧倒的に多かった。

(1)バッテリ

1位はバッテリだ。なお、デバイスを長期間使ったことによるバッテリ容量の減少、はトラブルとしてカウントされていない。対象となるのは、短期間にバッテリ容量が大幅に減少する、あるときを境に急にバッテリ持続時間が短くなる、といった現象だ。

Appleは、このバッテリ寿命を延ばす機能を搭載している。バッテリは、100%充電と0%充電の極端な状態が続くと劣化しやすい。風船もいつもパンパンに膨らませていると、ゴムが劣化しやすいのと似ている。

適切なのは常に30%から80%の状態で使い続けることと言われており、Appleはそれを実現する「充電上限」の機能を提供している。

「設定」アプリの[バッテリー]→[充電]で、充電上限を決められる。

職場などでiPhoneの充電ができない環境の人には、「バッテリー充電の最適化」がおすすめだ。どの時間帯にiPhoneを使用するかを学習し、それに合わせて長く使う時間帯の前には100%まで充電し、そうでないタイミングでは80%充電にとどめる、といったことが自動で行われる。

こういった工夫をしてもバッテリ容量が著しく減り、日常の利用に不便を感じるようであれば、買い替えやバッテリ交換を考えよう。

(2)動作速度

第2位のトラブルは、動作速度の低下だ。これには3種類の原因がある。

システム不具合

ひとつはシステムをアップデートしたとき、そのシステムに不具合がある、機種とうまく適合できていないなどの理由だ。iPhoneでも時々発生する。この場合、新たなアップデートが提供されるのを待つしかない。

アップデート

もうひとつはアップデート直後の一時的な動作速度の低下だ。アップデートを行うと、アプリの最適化や検索インデックスの再構築などがバックグラウンドで行われ、その間デバイスの動作が重くなる可能性がある。しかし、数時間から半日で解消されるだろう。

システム負荷

最後に、機種が古くなり、新しいシステムが重荷になってきた場合だ。新しいシステムは最新のチップなどの性能を最大限に引き出すように設計され、しかも新しいUI、機能なども搭載されている。数年以内の機種であれば大きな問題は起きないが、さすがに5年以上古い機種になると、新しいシステムが重く感じることがある。

正確な目安を求めることは難しいが、5年前(5世代前)より古い機種を使っている場合、システムアップデートを実行する前にSNSなどでアップデートした人の感想を確認したほうがいいだろう。

参考までに、iPhoneの発売日から新システムの対象外機種になるまでの期間を“寿命”としてグラフ化してみた。

ここ数年の傾向だと、iPhoneは7年近く最新バージョンのiOSに対応するようだ。

(3)フリーズ

第3位のトラブルはフリーズ。アプリの使用中などに固まり、再起動するほかないという状態だ。多くの場合はメモリの空きが少なくなっていることが原因で発生する。また、ストレージの空きが少なくなった場合にも起こり得る。

メモリ不足の場合、再起動すればメモリが解放されて解決することが多い。ストレージ不足の場合は、不要なデータを削除しよう。意外と見落としがちなのが、不要なアプリのデータ。「設定」アプリ→[一般]→[iPhoneストレージ]から確認することをおすすめする。

筆者は15年近くiPhoneを使ってきて、フリーズした経験は2回か3回しかない。しかも、いずれの場合も再起動したら解決した。フリーズが続く場合はハードウェアの問題の可能性があるので、Appleサポートに相談したほうがいいだろう。

(4)クラッシュ

第4位のトラブルはクラッシュ(勝手に再起動)。何の前触れもなくiPhoneの画面が暗転し、Appleマークが表示されて再起動するという現象だ。筆者は15年で5回程度経験したと思う。フリーズと同じく、連続する場合はハードウェアの問題の可能性がある。Appleサポートに相談してみよう。

(5)システムをアップデートできない

第5位のトラブルは、システムアップデートができないという問題だ。アップデートをかけても途中で止まってしまい、先に進んでくれない。

よくあるのは、アップデートが公開されたばかりでAppleのサーバが混雑しており、なかなかダウンロードが進まないというケース。公開直後に混雑するのは仕方のないことなので、翌日以降、再度アップデートを試みよう。

もうひとつはストレージの空き容量の不足だ。たとえばiOS 26では、サイズが10GBから12GBほどあった。圧縮ファイルを展開する場所も必要なため、15GB程度は空き容量が必要となる。それだけの空き容量を確保できない、という人もいるかもしれない。

iPhoneとMacをUSBケーブルで接続し、Mac側からアップデートを行うというテクニックもある。この場合、Macのストレージが作業場となるため、圧縮ファイルを展開する分のiPhoneのストレージ容量は必要としない。

ただし、システムアップデートは基本的にiPhone単体で完結させるのがおすすめだ。複雑な方法で実行し、仮にアップデートに失敗した場合、いわゆる「りんごループ」になる危険性もある。その場合、工場出荷時に戻すしかなくなるかもしれない。

古いモデルのiPhoneを使っている場合、ある程度の段階でシステムアップデートをしない運用にするのもひとつの考え方だ。たとえば、iOS 26のアップデートはiPhone 11以降対応だが、アップデートしてもiOS 26で提供されるすべての機能が使えるわけではない。一例だが、Apple IntelligenceなどはiPhone 14以降でしか利用できないからだ。

スマホを長く使いたいなら、選ぶべきブランドは?

さて、トラブル率が6年後でも低いのは、OnePlus、Realmeのほか、Google、Galaxy(Samsung)、Appleという大手ブランドとなった。

これは、大手だからこそ、古いモデルにも配慮する余裕があるということだろう。中堅メーカーでは、新しいOSを古いモデルにも適合させるための開発をする余裕がない。仮に開発したとしても、余計なトラブルの発生につながるリスクにもなる。

スマホを長期にわたって使い続けたい場合は、やはりGoogle、Galaxy(Samsung)、Appleを選ぶのが正解だ。一方、短期間で機種交換をしていくことを前提とするのであれば、尖った機能を搭載している中堅ブランドをサブ機として使ってみるのも楽しいかもしれない。




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著者プロフィール

牧野武文

牧野武文

フリーライター/ITジャーナリスト。ITビジネスやテクノロジーについて、消費者や生活者の視点からやさしく解説することに定評がある。IT関連書を中心に「玩具」「ゲーム」「文学」など、さまざまなジャンルの書籍を幅広く執筆。

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