Mac業界の最新動向はもちろん、読者の皆様にいち早くお伝えしたい重要な情報、
日々の取材活動や編集作業を通して感じた雑感などを読みやすいスタイルで提供します。

Mac Fan メールマガジン

掲載日:

「広告で見ていた内容と違う…」 もしかして広告詐欺? ゲームアプリ広告の実態をプレイして検証してみた!

著者: 小平淳一

「広告で見ていた内容と違う…」 もしかして広告詐欺? ゲームアプリ広告の実態をプレイして検証してみた!

面白そうなゲームアプリの広告に惹かれてプレイし始めたものの、広告で見たシーンには一向に辿り着けない…。最近、そんな詐欺のような事態が多発しているようです。果たして、ゲーム広告の内容はどこまで本当なのでしょうか。広告でよく見るタイトルをいくつか実際にプレイして、その真相を究明しました。

広告詐欺の横行、許すまじ!

ゲームアプリの広告は、アプリ内広告やインターネット広告、SNS広告など、あらゆるところで目にします。しかし、そうしたゲームの中には、広告と実際の内容が大きく異なるものもあるようです。アプリレビューで「広告と内容がまったく違う!」と指摘されていたり、X(旧Twitter)の「コミュニティノート」で注意喚起がされていたりします。

広告詐欺のような状況が蔓延するのは、健全なゲーム業界の発展にとって由々しき事態です。第一、人を騙してプレイさせるようなゲームはク○ゲーに違いありません。ファミコン黎明期からゲーム沼にハマり続けた1人のゲーム愛好家として、この乱れた状況を糾弾しなければ! そんな義侠心に駆られ、真相の究明に乗り出しました。

今回、検証したのは「ホワイトアウト・サバイバル」、「ラストウォー:サバイバル」、「ヒーローウォーズ」の3タイトル。広告を目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

iPhoneのアプリ内広告でよく目にする「ホワイトアウト・サバイバル」。広告を見ると、キャラクターを操作して木々を伐採、人々に渡して資産を増やしていくシミュレーションゲームのような印象。
こちらもアプリ内課金でよく見る「ラストウォー:サバイバル」。部隊を左右に動かしながら縦スクロールするシューティングゲームでしょうか。
Webブラウジング中、広告バナーによく表示される「ヒーローウォーズ」。手軽に楽しめるパズルゲームという印象です。

おすすめの記事

「ホワイトアウト・サバイバル」は、街づくりシミュレーション?

それではさっそく検証していきましょう。1本目は「ホワイトアウト・サバイバル」です。私が目にしたのは、キャラクターを操作できる「プレイアブル広告」でした。広告を見る限り、街の発展を目的にしたシミュレーションゲームのような印象ですが、実際はどうなのでしょうか。

オープニングは、雪原の中、とある集落跡に到着する4人の冒険者というシーンから始まります。木材を切り出し、火を起こし、厨房を建設して…。主人公は「よし! おじいちゃんの意思を継いで、ここに大きな街をつくりあげるぞ!」と、いきなり大きな夢を語り始めます。

やや唐突な展開ですが、街づくりシミュレーションというのは間違いなさそうです。

そのままプレイしていくと、伐採場や石炭工場、住居など建設できるものが増えていき、住民も増えていきます。

しかし、4日間プレイしても広告で見たようにキャラクターを操作して木材を切り倒すモードはまったく出てきませんでした。そもそも記事を書いていて気づいたのですが、広告で操作していたキャラクターは主人公のショーンじゃない。

アナタ、誰…?

せっかくのプレイアブル広告なのに、本編に同じ操作シーンが登場しないのは問題ないのでしょうか…。

ゲーム自体は全体的に丁寧に作り込まれており、グラフィックもキレイです。この先「同盟」という仕組みでプレイヤー同士の交流・対戦も増えていくようです。面白そうなゲームなのに、とにかく広告が残念です。

主人公のショーンくんが、お爺さんの意思を継いで街をつくりあげることを決意する、というオープニングストーリー。
さまざまな施設を建設し、コツコツ街を大きくしていきます。
戦闘要素もありますが、基本的にはオートで進みます。小さなキャラクターがちょこちょこ動いているのはユーモラスで楽しいです。
ガチャを引くことで、戦闘に参加するキャラクターをゲット。キャラクターの見た目の良し悪しだけでも、ゲームのモチベーションはずいぶん変わりますよね。

ゾンビを撃ちまくれ!?「ラストウォー:サバイバル」

続いてのタイトルは「ラストウォー:サバイバル」。広告を見ると、前進しながら敵の大群を撃破する縦スクロールシューティングのような印象。しかし、「App Store」のレビューには「広告と違う」というコメントが頻出しています。うーむ、これはいかにも怪しい…。

ところが、ゲーム開始直後のチュートリアルで縦スクロールシューティングが始まり、その後も同様の展開が続きます。

あれ? 意外と広告どおりだぞ…。

ゾンビが蔓延する世界で、プレイヤーは司令官となって基地を拡張しつつ、ゾンビを撃退していくという内容。大量のゾンビを撃破していくのは爽快感がありますね。

しかし、ゲームを進めると、シューティングゲームよりも街(基地)づくりシミュレーションの比重が高くなっていきます。兵士訓練所を建設し、科学研究を行い、施設のレベルアップを繰り返す展開に。街づくりシミュレーションとしては「ホワイトアウト・サバイバル」と似ています。こちらも同盟によってプレイヤー同士の交流や対戦があるようです。

結論として、広告にあったシューティングモードも存在し「偽りあり」とまでは言えませんが、メインは街づくりシミュレーションです。シューティングゲームを期待していた人には肩透かしでしょう。個人的にはゾンビものが好きなので、引き続きプレイして展開を見極めたいと思います。

ゲーム開始直後に始まるシューティングモード。舞台を左右に動かしながらゾンビを撃破していくという流れ。
どうやらプレイヤーは指揮官になって基地をまとめ上げていく流れらしいです。美人に「指揮官様」なんて呼ばれて頼まれたら、誰だって断れませんよね?
プレイを進めていくと、どんどん街づくりシミュレーションの比重が高くなっていきます。建設時間を短縮させるアイテムが序盤にたくさんゲットできるため、サクサク進んで楽しいです。
ガチャで戦闘時のキャラクターをゲット。キャラクターによって攻撃方法などが変わります。

パズルを解いてお宝ゲット?「ヒーローウォーズ」

3本目の「ヒーローウォーズ」は、特にMacでのWebブラウジング中にバナー広告でよく見かける印象がありました。ピンを抜く順序を考えてキャラクターを財宝に導くパズルゲームのようです。空いた時間に楽しめる頭の体操的なゲームなのでは?

バナーをタップすると、新しいウィンドウが開きいきなりゲームが始まりました。先ほどの2つのタイトルはiPhone用アプリでしたが、こちらはWebブラウザベースのゲームのようです。

ファンタジー風の世界観で、キャラクターが敵を倒しながら前進するゲームが展開します。プレイヤーはキャラクターの必殺技をクリックして発動できますが、「Auto」に切り替えれば自動的に発動します。基本これで問題なく、プレイヤーは画面を眺めているだけで各ステージを撃破していきます。

広告にあったパズルゲーム的は、数回の横スクロールバトルの後にミニゲームとして登場しましたが、その後4時間ほどプレイしてもわずか数回しか出現しませんでした。パズルゲーム的なものを期待した人はがっかりでしょう。

ゲーム自体は、ステージを周回してアイテムを集め、キャラクターを育成する楽しみがありますが、バトル自体は基本的に眺めているだけ。RPG風のビジュアルですが、特にドラマチックなストーリーもありません。頭の体操というよりは、頭の休憩という表現が近いゲームです。

ブラウザゲームなので、iPhoneのSafariでも楽しめます。ちょっと時間が空いたときに楽しむ育成ゲームが好きな人にはいいかもしれません。あとは絵柄が気に入るかどうかが分かれ目でしょう。

バナー広告をタップすると、すごろくのようなマップ画面が現れます。どういう状況かは分かりませんが、とりあえずクリックして進めてみることに。
すると何やらファンタジー風のキャラクターが、横スクロールしながらバトルを繰り広げる展開に。操作は特にしなくていいようです。
その後、プレイを重ねていくと、パーティキャラクターもどんどん豪華になっていきます。なお、主人公キャラクターは好みじゃないので早々にメンバーから外しました。
広告で見たようなミニゲームは存在していますが、比重としてはごくわずか。パズルとしての難易度もかなり低めですが、この先少しずつ難しくなっていくのでしょうか…。

内容と違うゲームがいっぱい。どうしてこうなった?

今回3つのゲームをプレイしましたが、いずれも広告と内容が微妙にずれている結果でした。まったくの虚偽広告とは言い切れないものの、広告を見てプレイし始めた人の期待には沿わない内容です。

このような状況が起きている背景には、似たようなゲームが膨大に存在し、アピールしにくくなっていることがあるのではないでしょうか。

今回プレイしたゲームのうち2本は街づくりシミュレーションですが、街づくりゲームほかにも似たようなゲームがたくさん存在し、ユーザの取り合いが起きていると推測します。

どのゲームもある程度の開発費をかけて作り込まれているため、プレイヤー人口を増やしたい。そのため、わかりやすいミニゲームのような見せ方で誤解させ、誘導しようという考えなのでしょう。

とにかく広告をタップさせたい気持ちはわかりますが、節度を持ってアピールしてほしいものです。

著者プロフィール

小平淳一

小平淳一

Apple製品を愛するフリーランスの編集者&ジャーナリスト。主な仕事に「Mac Fan」「Web Desinging」「集英社オンライン」「PC Watch」の執筆と編集、企業販促物のコピーライティングなど。ときどき絵描きも。Webの制作・運用も担う。

この著者の記事一覧

おすすめの記事