目次
- 圧倒的な5K2Kの高解像度。ProMotionに慣れたMacユーザも自然に使えるリフレッシュレート
- スケーリング解像度は5パターン。HDRをオンにすれば映画館のような没入感が味わえる
- “世界初”のThunderbolt 5対応。最新のMacと未来を先取りする接続体験
- インターフェイスの充実ぶり。デイジーチェーンもKVMも、痒いところに手が届く
- アスペクト比21:9の曲面ウルトラワイド。机に置いた瞬間に広がる“創作のキャンバス”
- 視線移動で削がれる集中力。40U990A-Wなら、“すべて”を1枚に集約できる
- 輝度・音量の調整はOSDか「システム設定」で。ウルトラワイドディスプレイを使うなら必須の設定も
- 映像も音楽も開発も。Macクリエイターの現場に寄り添う“理想の相棒”
「LG UltraFine 40U990A-W」は、解像度5K2K(5120×2160ピクセル)に対応した39.7型ウルトラワイドディスプレイです。
LGの「UltraFine」シリーズといえば、かつてApple公式サイトでも販売され、Macクリエイターにとっては憧れのフラッグシップモデル。筆者自身も愛用してきただけに、新モデルがMacユーザ待望の「Thunderbolt 5」に対応したと聞いて期待が高まりました。
広大に映し出される映像や使い勝手はどのようなものか、そのリアルな手応えをレビューしていきます。
LG UltraFine 40U990A-W
圧倒的な5K2Kの高解像度。ProMotionに慣れたMacユーザも自然に使えるリフレッシュレート
LG UltraFine 40U990A-W(以下40U990A-W)で最初に目を奪われるのは、やはり表示品質の高さです。5K2Kの高解像度に加え、暗部表現に優れる「Nano IPS Black」パネルが採用されており、写真や映像の奥行きや立体感が段違い。
フルサイズのデジタル一眼で撮影した夜景を表示したところ、深く沈み込んだ黒に街の灯りが粒立ち、まさに“その場にいる”かのようなリアルさです。
さらに、デジタルシネマの業界標準ともいえるDCI-P3 99%の広色域やDisplayHDR 600に対応し、映像の色再現性も不安がありません。動画の暗部は潰れず、明るいシーンも白飛びせず、繊細なグラデーションが自然に再現されます。クリエイティブの現場で色のニュアンスを突き詰めたいときにも、安心して作業できると感じました。
リフレッシュレートは最大120Hz。普段MacBook ProのProMotion(最大120Hzの可変リフレッシュレート)に慣れている筆者にとっても、まったく違和感のない滑らかさです。高速、快適に画面をスクロールでき、動画再生も楽しめました。特に、動きの激しい映画のアクションシーンやゲームにおいてその実力を感じ取れるはずです。

スケーリング解像度は5パターン。HDRをオンにすれば映画館のような没入感が味わえる
実際に使ってみて、ありがたいと感じたのがスケーリング解像度の選択肢です。macOSでは2560×1080ピクセル表示が標準設定ですが、文字を大きくしたいときには1920×810ピクセルに、逆に作業領域を広げたいときにはフル解像度の5120×2160ピクセルまで柔軟に切り替えられます。
ちょっと老眼気味の筆者は、原稿執筆時に[文字を拡大]モードに切り替えますが、広大なディスプレイサイズのおかげで作業スペースが狭く感じることはありません。また、映像編集の作業では[スペースを拡大]でタイムラインを広く使うといった具合に、利用シーンごとに解像度を切り替えました。


また、「Apple TV+」で映画をフルスクリーンで観るとき、HDR(ハイダイナミックレンジ)設定をオンにすると、色彩と輝度のレンジがグッと広がり、自宅にいながら映画館のような没入感を味わえます。実際、21:9という“超ワイド”なアスペクト比は、シネスコ(シネマスコープ)と呼ばれる映画用のフォーマットと同じ。そのため、映像作品を画面いっぱいに無駄なく表示できるのも魅力です。

“世界初”のThunderbolt 5対応。最新のMacと未来を先取りする接続体験
40U990A-Wが放つもうひとつの大きな驚きは、“世界初”のThunderbolt 5対応という点です。ケーブル1本を接続しただけで、従来の2倍となる最大80Gbpsの転送速度を体感できるという衝撃。まさに未来のクリエイティブ環境の標準に触れたようなワクワク感がありました。
特に大容量の映像データを扱うときの余裕は圧巻。外付けSSDとのやり取りでも待たされることがなく、「作業が止まらない」ことの気持ちよさを実感できます。Thunderbolt 5に対応するMac(Mac StudioやM4 Pro/Max搭載MacBook Pro、Mac mini)と組み合わせることで、最新・最強のポテンシャルを余すところなく引き出してくれます。
また、USB-C接続時のPD(Power Delivery)は96W出力に対応しているので、外出先から持ち帰ったMacBook Proをケーブルでつなげば瞬時に大画面のデスクトップMacに早変わり。周辺機器もすぐ認識されるので、シームレスに次の作業へと移行できます。

インターフェイスの充実ぶり。デイジーチェーンもKVMも、痒いところに手が届く
外部ディスプレイとしてだけではなく、周辺機器を増やしても接続に困らず、机まわりがスッキリまとまるのも40U990A-Wならではの魅力。
背面には豊富なインターフェイスが配置され、映像入力ではDisplayPort 2.1とHDMI×2、さらにギガビットの有線Ethernetとヘッドフォン端子も搭載。USB-Cは合計6基、うち4基は周辺機器接続用のUSB 3.2 Gen 2に対応し、Thunderboltポートを入力用と出力用に1基ずつ備えています。

また、複数台のMacを所有するユーザにとって内蔵のKVMスイッチも実用的そのもの。たとえば、MacBook ProとMac miniを同時に接続し、外付けのキーボードとマウスを共有しながら作業内容に合わせて表示を瞬時に切り替えるといった使い方を可能とします。
さらに、デイジーチェーンで2台の40U990A-Wをつなげば、実に10240×2160ピクセルという“超々ワイド”な作業空間が出現します。想像するだけで胸が躍り、いつかその環境で作業をしてみたいと夢想してしまいました。
Thunderbolt 5に支えられた豊富な拡張性と圧倒的なパフォーマンスは、以前に筆者が使っていたUltraFineシリーズでも達成できなかった新たな価値と言えるでしょう。

アスペクト比21:9の曲面ウルトラワイド。机に置いた瞬間に広がる“創作のキャンバス”
さて、この超ワイドなディスプレイを筆者のデスクに設置した瞬間に感じたのは、その圧倒的な横の広がりです。948mmの横幅は存在感こそ大きいものの、筐体のホワイトカラーやシンプルなデザインが部屋になじみ、圧迫感は想像より少なく感じました。
付属スタンドで高さや傾きもすぐに調整でき、数分のセットアップで“自分だけの視点”が出来上がる感覚も大きな魅力。実際の作業を始める前にポジションを合わせただけで、これから何時間でも集中できそうな予感を与えてくれるほどです。
また、曲面ディスプレイの湾曲率は2500R (半径2500mm)と非常に緩やか。同社のゲーミングディスプレイ(湾曲率800R)と比べると主張は控えめですが、むしろこの“控えめさ”が日常のクリエイティブ作業にはちょうどいい印象です。

画面の端まで自然に視線が流れ、複数のウインドウを並べても一望できるため、自分のテンポを崩すことなく作業に集中できます。没入感を強調するゲーム用とは違い、「見やすさ」「作業のしやすさ」を突き詰めた設計だと感心しました。


視線移動で削がれる集中力。40U990A-Wなら、“すべて”を1枚に集約できる
これまで筆者は、14インチのMacBook Proと11インチのiPad Proを並べて作業してきました。ところが、目線の移動は意外なほどに集中力を削ぎます。片方の画面に目をやるたびに思考が途切れ、「あれ、さっきまで何をしていたっけ?」と感じる瞬間があるのです。
40U990A-Wを使って、Macをリッドクローズド(クラムシェル)モードで作業してみると、その“見えないストレス”が驚くほど軽減されました。動画編集のタイムライン、関連資料、Webサイトやメモをすべて同じキャンバス上に収められる解放感。1枚に集約された環境は、まるで散らばっていた思考がひとつにまとまるようで、効率も快適さも一段と高まりました。
もちろん、Macを拡張デスクトップモードとして2画面で作業領域をさらに広げる使い方もできます。その場合には、「システム設定」でディスプレイの配置をMacとの位置関係に対応させることをおすすめします。


輝度・音量の調整はOSDか「システム設定」で。ウルトラワイドディスプレイを使うなら必須の設定も
唯一気になったのは、輝度や音量の調整をディスプレイ下部のOSD、もしくは「システム設定」から行う必要があること。
従来のUltraFineシリーズのようにコントロールセンターから直接操作できれば、さらに理想的だったと感じます。ただ、この点は作業効率全体を左右するほどのものではなく、あくまで個人的に感じた小さな惜しさにすぎません。




映像も音楽も開発も。Macクリエイターの現場に寄り添う“理想の相棒”
写真や動画の編集、イラスト制作やWebデザイン、アプリ開発など、どんな分野の制作でも、40U990A-Wの正確な色表現と広いワークスペースは確実に力になってくれます。複数のソフトを立ち上げても画面は窮屈にならず、むしろ「まだ余裕がある」と感じるほど。机の前に座るたびに「さあ、何を作ろうか」という創作意欲が自然に湧き上がってくるのを感じます。

総合的に見て、40U990A-WはUltraFineシリーズの名を受け継ぐにふさわしい、プロフェッショナル向けディスプレイの完成形です。
- 解像度5K2Kの超高解像度
- 「Nano IPS Black」パネルによる深い黒の表現
- 最新規格「Thunderbolt 5」への対応
特にこれらのポイントは、ほかの外部ディスプレイでは実現できない、超上質で、プロフェッショナルな体験をもたらしてくれるでしょう。単なる作業領域の拡張ではなく、“創造力を解き放つためのキャンバス”として機能していると実感しました。
机の前に座り、空白のキャンバスに筆を走らせる画家のように、映像や音楽、デザイン、コードといったMacクリエイターのあらゆる表現を次々に広げていける40U990A-Wは、そんな体験をもたらしてくれる“次世代ディスプレイの理想形”と呼ぶにふさわしい一台でした。
※本記事はLGエレクトロニクス・ジャパンとのタイアップです。
LG UltraFine 40U990A-W
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著者プロフィール
栗原亮(Arkhē)
合同会社アルケー代表。1975年東京都日野市生まれ、日本大学大学院文学研究科修士課程修了(哲学)。 出版社勤務を経て、2002年よりフリーランスの編集者兼ライターとして活動を開始。 主にApple社のMac、iPhone、iPadに関する記事を各メディアで執筆。 本誌『Mac Fan』でも「MacBook裏メニュー」「Macの媚薬」などを連載中。




