Mac業界の最新動向はもちろん、読者の皆様にいち早くお伝えしたい重要な情報、
日々の取材活動や編集作業を通して感じた雑感などを読みやすいスタイルで提供します。

Mac Fan メールマガジン

掲載日:

“AAAゲーム”はMacでサクサク遊べる? 「サイバーパンク2077 アルティメット」レビュー。1万円越えの価値は…間違いなくアリ!

著者: 小平淳一

“AAAゲーム”はMacでサクサク遊べる? 「サイバーパンク2077 アルティメット」レビュー。1万円越えの価値は…間違いなくアリ!

独特の世界観と圧倒的なボリュームを誇る「サイバーパンク2077 アルティメット(Cyberpunk 2077: Ultimate Edition)」は、以前からMac版のリリースが予告されていた待望の1本です。

実際にプレイしてみると、「Macでここまで本格的なゲームが楽しめるのか」という驚きとワクワクに満ちていました。

「サイバーパンク2077 アルティメット」。AAAゲームと呼ばれるビックタイトル。

※本レビューの執筆にあたり、Appleよりアプリの提供を受けています。

「サイバーパンク2077」のMac版が登場。動作の最低条件は、M1搭載/メモリ16GB以上

2025年7月17日。「サイバーパンク2077 アルティメット」が、ついにMac向けにリリースされました。

「サイバーパンク2077 アルティメット」は、Windowsをはじめとするほかのゲームプラットフォームで高い人気を誇り、Mac版への移植は以前から大きな注目と期待を集めていたAAAゲーム(開発費・ボリューム・クオリティのいずれも非常に高い大作)です。

App Storeでの販売価格は1万3000円。同ストア内のゲームタイトルとしてはかなり高額です。さらに、必要スペックは「M1チップ/メモリ16GB以上」が「最小」構成とされており、動作条件も高めに設定されています。

価格や要求スペックの高さから、購入をためらう方もいるかもしれません。そこで今回は、この超大作がMacでどれほど快適に楽しめるのか、じっくりプレイして徹底検証してみました。

App Storeの紹介ページより。Appleシリコン搭載のMacに対応し、その他の必要スペックも明記されています。購入前に必ずチェックしておきましょう。




ゲームのデータ容量は約160GB。内蔵ストレージの整理、あるいは外付けストレージを活用しよう

ゲームを始めるにあたって、まず注意したいのがデータ容量です。本タイトルは初期インストール時点で約142GB。さらにゲーム開始後に追加ダウンロードがあり、最終的には約159GBに達します。

Macの内蔵ストレージに、それだけの空き容量を確保できない人も多いのではないでしょうか。実のところ、私もその1人でした。

そこで外付けストレージにゲームをインストールしてみたところ、外付けストレージ経由でも、ゲームの起動にはまったく問題ありませんでした。

「外付けストレージからの起動では処理が遅くなるのでは?」という心配もありましたが、実際のプレイ中に動作が重くなるような場面はほとんど見られません。違いがあるのは、アプリ自体の起動時間と、ゲーム開始時のローディング時間です。

最初は外付けHDDにインストールしましたが、その後SSDに切り替えたところ、起動の待ち時間も大きく短縮されました。

内蔵ストレージの空き容量が不足している場合、このような警告が表示されます。また、「システム設定」で、App Storeの設定を[容量の大きいアプリを別のディスクにダウンロードおよびインストール]にしておくのもオススメです。
外部ストレージにインストールした場合、ゲームの起動やスタート直後のローディングに多少時間がかかります。初回はエラーのように感じるかもしれませんが、慌てずしばらく待ちましょう。

M1 Pro搭載のMacBook Proで「サイバーパンク 2077」をプレイ。グラフィックも動作性も良好!

次に、パフォーマンスについて見ていきましょう。筆者が使用したのは、M1 Pro搭載の14インチMacBook Proです。グラフィック設定はユーザが細かくカスタマイズできますが、「このMac用」というプリセットがあらかじめ用意されています。

「このMac用」プリセットは、使用しているMacの性能に応じて最適な設定が行われます。筆者のマシンでは、解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)。テクスチャ品質は「中」に設定され、フレームレートはおおむね30FPSを維持しました。

体感としても、移動中や戦闘時に動作が重く感じられることはなく、照準操作のレスポンスも良好。アクションゲームとしてまったくストレスなく楽しめるレベルです。画質も十分で、本作の世界観をしっかりと堪能できます。

グラフィック設定は細かくカスタマイズできますが、まずは[このMac用]でプレイするのがオススメです。




M3以降のAppleシリコン搭載Macなら、「レイトレーシング」が利用可能。画質の向上で臨場感マシマシ!

さらに、偶然借り物のM4搭載のMacBook Proが手元にあったため、そちらでも試してみました。M3以降のMacでは、光の動きをシミュレーションしてリアルな映像を描く「レイトレーシング」を有効にすることができます。

M4搭載のMacBook Proの「このMac用」プリセットでは、初期状態でレイトレーシングはオフになっていましたが、有効にすると画質が大きく向上。濡れた床面の反射やネオンの光などがより美しく描写され、ゲーム世界の臨場感が一段と高まります。

しかし、M4でレイトレーシングをオンにすると、肝心のフレームレートが低下してしまいました。レイトレーシングを有効にしながら快適にプレイするには、M3 Pro以上の性能が求められるようです。

M4搭載のMacBook Proでレイトレーシングを有効にした画面。下のM1 Proの画面と比べると、床面の光の反射がより美しく表現されています。
一方、こちらはM1 Pro搭載のMacBook Proで、[このMac用]を選択した状態の画面。動作はおおむね30FPSで滑らかに推移しました。M4搭載のMacBook Proの美しさには劣りますが、グラフィック品質は十分です。

「サイバーパンク2077」は空間オーディオに対応。没入感だけでなく、プレイレベルも向上!

本作の魅力の1つが、「空間オーディオ」に対応している点です。AirPodsなど、空間オーディオに対応するヘッドフォンを使用することで、リアルな360度サラウンドでゲームを楽しむことができます。

本作は3D音響に対応しています。プレイ時はAirPodsなど、空間オーディオ対応のヘッドフォンを使うのがオススメです。

たとえば、自分の背後にいるキャラクターの話し声は本当に後ろから聞こえ、上の階からの叫び声は頭上から響いてくるように感じられます。この立体的な音響表現がとても自然で、視覚以上に「音」が没入感を支えていることを強く実感しました。

もちろん、これは雰囲気づくりにとどまりません。戦闘時、壁の陰に身を隠している状態でも、敵の声や足音を頼りに位置を把握することができます。ゲーム展開を有利に進めるうえでも、空間オーディオは大きな効果を発揮すると言えるでしょう。

敵の位置は右上のミニマップでも把握できますが、音の方向を頼りにすることで、より直感的に状況を把握できます。

対応ヘッドフォンをお持ちであれば、ぜひ活用していただきたい機能です。

このゲームはキーボードとマウスでも操作可能ですが、ゲームコントローラの使用がオススメです。操作性が向上し、楽しさも一段と増します。




「ナイトシティ」は歩くだけで楽しい。圧倒的な作り込みのオープンワールドゲーム

ゲームそのものの魅力についても、しっかり紹介しておきましょう。

プレイを始めてまず圧倒されるのは、舞台となる都市「ナイトシティ」の緻密な作り込みです。

高層ビルが立ち並び、街にはカラフルなネオンがきらめく一方、裏路地に足を踏み入れると、ゴミ袋が積み上がり、薬物中毒者のような人物がうずくまっている。華やかさと退廃が同居するこの世界は、(少なくとも私の)日常とはまったく異なる風景であり、その異質さが非常に刺激的でした。

小さな屋台が軒を連ねるアジア風のエリアや、トタン屋根のボロボロの建物がひしめく運河沿いのスラムなど、地域ごとに異なる雰囲気があるのも魅力です。

無数のネオンがきらめくナイトシティ。ディスプレイ広告の細かな演出も見どころで、ただ眺めているだけでも楽しめます。
路地裏で痙攣しながら倒れているキャラクター。誰かに襲われたわけではなく、「ブレインダイブ」と呼ばれる脳に直接刺激を与える行為の、重度の中毒者と思われます。

本作はオープンワールド形式を採用しており、街中も建物の内部も画面の切り替えなしにシームレスに移動できます。ただ歩いているだけでも飽きることがなく、まるで異国の都市を実際に体験しているかのような感覚で、深く没入できるのが大きな魅力だと感じました。

重厚なストーリーと、つい寄り道したくなるサブクエスト。サイバーパンク2077…おもしろっ!

もちろん、シナリオにも十分なやりごたえがあります。メインストーリーは、巨大企業と複数のギャング勢力が複雑に絡み合う陰謀劇。そこに主人公が巻き込まれ、生き延びるために各勢力と駆け引きを重ねながら、自らの道を切り開いていく。まるで映画のような、かなり重厚な内容です。

プレイヤーは、ゲーム開始時に自分の立場(ライフパス)を3種類から選ぶことができます。私が選んだ「ノーマッド」では、郊外の砂漠地帯からスタート。アメリカ的な広大な風景も見応えがあります。

とはいえ、本作の魅力はそれだけにとどまりません。サブクエストのバリエーションも非常に豊富で、街を歩いているだけで突然小さな事件に遭遇したり、助けを求める声が聞こえてきたりと、ゲームの世界そのものが常に動いている感覚を味わえます。

特に私自身は、そうした突発的なミニクエストを追いかけるのが楽しく、メインシナリオそっちのけで街をうろついてしまうことも少なくありません。

重厚なシナリオも本作の大きな魅力。個性的なキャラクターたちが物語をさらに引き立てます。
強力な武器を入手したり、パーツを強化したりして自分自身を成長させていくといった、RPGらしい要素も充実。武器によって戦い方が大きく変わるのも、本作ならではの面白さです。




1万3000円の価値は十分以上にアリ! 面白さの枠を超えた、感性に刺激をくれる良タイトル

サイバーパンク2077 アルティメットの1万3000円という価格は、App Storeで販売されているゲームの中ではかなり高額な部類に入ります。体験版も用意されていないため、「この金額で本当に満足できるのか」と購入をためらう方も多いかもしれません。

しかし、実際に20時間ほどプレイしてみた私は、十分に価格に見合う内容だと感じました。

世界観の作り込みは圧巻で、シナリオにも引き込まれます。さらにサブイベントも非常に豊富で、物語の全体像がまだまだ見えないほど。長時間かけてじっくり楽しめるボリューム感があります。

またサイバーパンク2077 アルティメットには、大型拡張パック「仮初めの自由(Phantom Liberty)」が最初から同梱されています。過去に配信された数々のアップデートや改善も反映されており、いわば完成版とも言える内容です。

さらに、このゲームの魅力は「面白い」にとどまりません。自分とは異なる文化や価値観に触れる体験、センスにあふれたビジュアル表現。そうした「これまでに出会ったことのない何か」を届けてくれるサイバーパンク2077 アルティメットには、自分の感性を刺激し、アップデートしてくれる力があると私は思います。

そういう意味で、この価格に見合う価値があるか? と問われたら、私は迷うことなく「ある」と答えます。

おすすめの記事

著者プロフィール

小平淳一

小平淳一

Apple製品を愛するフリーランスの編集者&ジャーナリスト。主な仕事に「Mac Fan」「Web Desinging」「集英社オンライン」「PC Watch」の執筆と編集、企業販促物のコピーライティングなど。ときどき絵描きも。Webの制作・運用も担う。

この著者の記事一覧

×
×