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安全で高寿命かつコンパクト! 「固体電池」を使ったポータブル電源「YOSHINO B1200 SST」実機レビュー

著者: 井上晃

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安全で高寿命かつコンパクト! 「固体電池」を使ったポータブル電源「YOSHINO B1200 SST」実機レビュー

バッテリの市場で昨今増えてきているのが「固体電池(半固体電池)」というキーワード。高温下や万が一の圧力がかかった場合でも発火のリスクが少ないという安全性の高さがメリットです。今回は、ヨシノパワージャパンが5月に発売した、三元固体電池を採用したポータブル電源「YOSHINO B1200 SST」をレビューしてみました。 

ヨシノパワージャパンとは

まず、ヨシノパワージャパンとはどんな企業なのかを押さえておきましょう。2021年に米国のカリフォルニア州で設立されたYoshino Technology, Inc.の日本法人として2023年1月に設立されたのがヨシノパワージャパンです。また関連会社として、深センの蘇州雅新能動力科技が記されてあるように、ファブレス企業として、固体電池の製造自体は、技術的に先行する中国で生産されているとのこと。

2023年から固体電池を使用した製品が販売されており、すでに日本国内のサポート体制も設けられている点には、安心感があります。なお、保証期間は、最大5年間(※標準で購入から3年、会員登録で2年延長)が備わっています。

YOSHINO B1200 SSTは2025年5月に発売した、三元固体電池を採用したポータブル電源です。

ヨシノ製品に使われる「固体電池」とは

固体電池を使用するメリットは、発火や爆発のリスクが低いことです。特に、一般的な電池に比べると、高温環境下などでも安全に使用できることがポイントで、今回レビューした製品「YOSHINO B1200 SST」については、「三元固体電池1」を採用しており、70℃の環境でも保管でき、150℃の環境で30分放置しても発火しないことが確認されているといいます。そのため、炎天下では室温が50℃を超えるような自動車内に置いても大丈夫とのこと(ただし、あくまで「発火しない」という意味で…)。また、-20℃~65℃の広温度域で安定動作するとされています。“夏でも冬でも使いやすいポタ電”というわけです。

高度なバッテリ管理システムに(BMS)よって、バッテリ寿命も4000回の充放電サイクルを実現しているといいます。

ただ、あくまでも固体電池は「発火しにくい」だけで「絶対に燃えない」「壊れない」わけではありません。高温下で放置は推奨しませんし、基本的には室温で優しく扱っておきたいところです。「普段は大事に保管しているけれど、うっかり厳しい環境においてしまっても事故にはつながりにくい」くらいに捉えておくと良いのでは、と筆者個人としては思います。

実際の「YOSHINO B1200 SST」の使用感

さて、「YOSHINO B1200 SST」という製品に焦点を戻すと、そのバッテリ容量は1085Whで、定格出力1200W、瞬間最大1600Wに対応している中容量帯のポータブル電源です。つまり、電気ケトルやドライヤーなど、消費電力の大きな一部の家電にも対応しやすい仕様です。

製品のサイズは296×204×256mmで、質量は11kg。500mlのペットボトル飲料水が24本入ったダンボールが12kg強なので、それよりもちょっと軽いくらいです。製品の上部には1本のハンドルがあり、片手で持ち運ぶことができます。なお、本体には曲線が多く使われており、一見するだけでもデザインにもこだわって作っていることが伝わっています。

ハンドルが備わっているので持ち運びやすいが、ハンドルの位置は固定なので、移動やキャンプ中などにバッテリの上に物を置いたりすることはできません。

正面には、電源ボタン、LEDライト、USBポート、DC出力ポート、ACコンセントなどが配置されています。ポータブル電源本体への充電は、背面の電源ケーブル接続端子を使用して、家庭用コンセントから行うことが可能です。また、防水・防塵性能については、IP67等級に準拠しており、アウトドアや災害時の使用にも適しています。

出力端子の構成はシンプルなのでわかりやすいです。中央のディスプレイには、入出力の電力や、残りの使用可能時間などが、表示されています。ちなみに、上部に「びっくりマーク」が表示されたらバッテリの異常なので、取り扱い説明書を確認し、再起動後も消えなければ、使用を中止するように覚えておきましょう。
LEDをつけて照明として使えるのは、キャンプや防災用途でもありがたいポイントです。
背面の下部に充電ケーブルを接続する端子があります。

実際に、機器の充電やヘアドライヤーの使用などを試してみましたが、使い勝手は、通常のポータブル電源とほぼ変わりありません。また、動作時の音が25dBだとされているとおり、駆動音はほぼしません。夜間の寝室でもまったく気にならず使用できました。

ちなみに、使用していて気になった点は、デフォルトの設定だと、ボタンを押すたびに効果音が鳴ることです。ボタンを押すたびに結構大きな音で「ピッ」となるので、特に夜間にはやや騒がしく感じました。しかし、スマートフォンで専用アプリの「YOSHINO」を使用し、本体と接続して設定をカスタマイズすることで、この効果音は無効にすることができました。使い方に慣れたら、オフにしておくとよいかもしれません。

アプリ画面のイメージ。
ちなみに、充電タイミングから一定期間が経つとメールで、充電に関するアドバイスが届いたのは好印象でした。

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著者プロフィール

井上晃

井上晃

スマートフォン・タブレット・スマートウォッチなど、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌で、速報やレビュー、コラムなどを執筆している。新製品やサービスのレビュー、比較検証記事の執筆本数は年間100本以上。

この著者の記事一覧

  1. ヨシノパワーが開発している固体電池。電解質のうち、液体の占める割合は5%以下。 ↩︎