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世界初「ナトリウムイオン」採用のモバイルバッテリを使ってみた! 安全で、環境に優しく、高耐久。でも、気になる点も…。

著者: 大竹望未

世界初「ナトリウムイオン」採用のモバイルバッテリを使ってみた! 安全で、環境に優しく、高耐久。でも、気になる点も…。

新製品「ナトリウムイオンモバイルバッテリ」が発売

コンピュータ周辺機器メーカー・エレコムは、2025年3月13日、新製品「ナトリウムイオンモバイルバッテリ」が発売した。

価格は9980円。ブラックとライトグレーの2つのカラーをラインアップする。

シンプルでスタイリッシュなデザインとなっている。

本製品は、市場に多く出回っているリチウムイオン電池を使用したモバイルバッテリとは異なり、ナトリウムイオン電池を採用した新しいモバイルバッテリ。ナトリウムイオン電池とは、近年ようやく量産化された新しい電池で、モバイルバッテリに搭載されるのは世界初1だという。

  1. ナトリウムイオン電池を採用したモバイルバッテリー(製品)/容量 9,000mAh ・ USBType-C対応(45W出力・30W入力)に関する市場調査「世界初」検証調査 (㈱未来トレンド研究機構 調べ)※2024年11月27日時点
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現在のモバイルバッテリは「リチウムイオンバッテリ」が主流なものの、原料採掘の際の人権問題や環境汚染といった課題がある。

それに対して、ナトリウムイオンバッテリは、地球への環境負荷や安全性といった課題を改善する製品となっている。

ナトリウムイオンバッテリは、安全かつ高耐久。寒さ、暑さにも強く、シーンを選ばず使える!

環境への負荷が少ないこと以外にも、「ナトリウムイオンモバイルバッテリ」には従来の「リチウムイオンバッテリ」にないメリットがある。

一般的なリチウムイオン電池は、電池が損傷すると発火する可能性がある。 実際に、リチウムイオン電池を搭載した製品から出火した火災は、直近5年で約2倍の件数に増加しており、身近に起こりうる事故ともいえる。

テレビや新聞などで、そういった報道を耳にしたことがある人は多いだろう。

一方、本製品で使われているナトリウムイオン電池は、電池内の発熱があっても熱暴走が発生しにくい。そのため、より安全に使うことができる。

従来の「リチウムイオンバッテリ」よりも安全性が高い。

また、従来のモバイルバッテリに比べて長寿命なことも特徴のひとつだ。

リチウムイオン電池使用のモバイルバッテリのサイクル寿命は約500回程度。しかし、本製品に内蔵しているナトリウムイオン電池は約5000回と約10倍の寿命がある。長期間に渡って使用できる点で優れている。

長寿命のため、繰り返し使い続けられる。環境への負荷が少ないといえるだろう。

従来のモバイルバッテリでは、使用が難しかった-35~50℃までの幅広い環境下に対応している。-35~50℃の砂漠や雪山といった過酷な環境下においても、「ナトリウムイオンモバイルバッテリ」を使用したデバイス充電が可能だ。

-35~50℃間であれば、砂漠や雪山といった環境でも使用できる。

「ナトリウムイオンモバイルバッテリ」ハンズオン! 重さはネックだが、安全性には変えられない…?

そんな新製品「ナトリウムイオンモバイルバッテリ」を実際に体験する機会を得た。

搭載ポートは、入出力用のUSB-Cポート×1、USB-Aポート×1となっている。iPhone 16を約1.4回、MacBook Airを約0.3回充電可能だ。

最大バッテリ容量は9000mAhとなっている。たとえばUSB-Cポートを単体で使ったとき、最大45Wでの出力が可能だ。

デバイスへの充電時には、USB-Cポート横のライトが点滅する。

ただ、「ナトリウムイオンモバイルバッテリ」は重く大きい。リチウムイオンバッテリを採用するモバイルバッテリは、1万mAhの容量で200g程度の重さであるのに対して、本製品は重さ約350gと約150g分の差がある。

これらは、ナトリウムイオンバッテリ自体の特性によるものだ。確かにデメリットではあるが、安全性には変えられない。今後の進化に期待したいところだ。

また、価格は9980円と、こちらも同スペックのリチウムイオンバッテリと比較するとお高めである。エレコムによると、まだナトリウムイオンバッテリの生産が少なく、それが価格に影響しているという。一般化が進むことでお手頃になっていくかもしれない。

とはいえ、現時点でも「ナトリウムイオンモバイルバッテリ」は過酷な環境下などで活躍するアイテムだ。耐久性も高く、発火などの危険性が少ないというメリットは大きい。

耐久性も高く発火などの危険性が少ないことから、日常でも安心して使うことができる。

今後、エレコムはナトリウムイオンバッテリ搭載製品を拡充していくという。安全性が高く、環境負荷が少なく、そして“使いやすい”。新素材の研究の発展とともに、そんな製品が増えていくことを期待したい。

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著者プロフィール

大竹望未

大竹望未

『Mac Fan』編集部所属。2001年生まれ。2024年に編集部に入りました。趣味は旅行、音楽を聴くこと。便利でおもしろいガジェット、iPhoneのTipsを日々探しています!

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