iOS 18.1で登場したヒアリングチェック機能で軽〜中等度難聴と判定を受けた筆者は、同じくAirPods Pro 2(以下AirPods)で利用可能な「ヒアリング補助」機能を活用している。本記事では、その使用感をレポートする。
ヒアリング補助は周囲の音を取捨選択してくれる
2024年11月に日本でもリリースされた、AirPodsの「ヒアリング補助」を、かれこれ3カ月ほど使っている。先に結論を言うと、十分に効果を感じている。
iOS 18.1でリリースされた「ヒアリングチェック」は、AirPodsと iPhoneを使って聴力を確認できる。試した結果は左耳が「中等度難聴」、右耳が「軽度難聴」。以前から耳がちょっと遠いかも、と自覚症状は多少あったが、日常生活に支障は感じていなかった。

軽度から中程度の難聴が検出されると、「設定」アプリに「聴力補助」が追加される。音量の増幅や左右のバランスなどは自動設定されるが、手動調整も可能だ。
試してみると、周囲の音がわかりやすく増幅され、窓の外の鳥のさえずりまでクリアに聞こえてきた。一方で踏み切りや、雑踏などの騒音は低減され、うるさすぎないように自動調整されている。また電車やバスに乗っているときも、走行中のレールの音やエンジン音は抑えながら、アナウンスなどはしっかりと耳に入ってくる。
操作面では、 iPhoneのコントロールセンターからすばやく手動調整できる点が便利だ。聴力補助を有効にすると、AirPodsの音量バーのとなりに聴力補助用の音量バーも表示される。聞こえにくいときにはボリュームを簡単に上げられる。たとえばテレビを観ているとき、テレビの音量を上げるような感覚で、聴力補助の音量バーを上げている。

もうひとつよく操作するのが「環境雑音除去」のレベルだ。真冬に、自分が着ているダウンジャケットが擦れる音が煩わしかったのだが、「環境雑音除去」のバーを操作すると、周囲の音は聞こえやすいまま不快な音だけを低減できた。また、仕事中のキーボードの打鍵音も軽減される。レベルは0〜100の段階で調整できるが、上げすぎるとこもったような音に感じるので大体30〜40くらいで使うことが多い。
ヒアリング補助の使用はAirPodsの装着感と人の目が課題
聴力補助は便利だが、課題も感じる。まず、常にAirPodsを耳に入れておくのはやはり抵抗がある。当初はしっかり装着しなければとAirPodsを耳の奥まで入れていたが、長時間装着していると痛みが出てくる。そのため、最近はちょっと浅めにつけている。それでも十分効果は発揮されている。
また、これはメリットでもあるのだが、見た目がイヤフォンなので聴力補助目的とみなしてもらいにくい。自転車に乗るときは外しているし、ちょっとかしこまったシーンで人と対面するときも躊躇してしまう。今後、より聴力補助の周知が進み、AirPodsを着けて過ごすことが自然とみなされることを期待したい。
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著者プロフィール

小枝祐基
PC、Mac、家電・デジタルガジェット周りを得意とするフリーライター。著書に『今日から使えるMacBook Air & Pro』(ソシム)、『疲れないパソコン仕事術』(インプレス)など。