「MNL CITY PACK」は、PC周辺機器メーカーのエレコムが提案する新しいバックパックです。製品開発にあたり、YouTubeやSNSで各社の高機能バッグをレビューしているリュークさんをアンバサダーとして起用。約1年にわたる共同開発のプロセスと製品コンセプトについて、開発担当者の赤松さんと児野さん、そしてリュークさんにお話を伺いました。
撮影:黒田 彰
エレコム株式会社
商品開発部アクセサリ開発課 ファブリックアクセサリチーム
児野健亮さん(左)
カバンレビュー専門YouTubeチャンネル「イミグラム」
リュークさん(中央)
エレコム株式会社
商品開発部アクセサリ開発課ファブリックアクセサリチーム
赤松寛治さん(右)
カバン愛好家の声を製品開発に反映
MF●MNL CITY PACKの企画が立ち上がったきっかけや背景を教えてください。
児野●弊社では以前からビジネス向けのキャリングバッグなどを取り扱っていましたが、デザイン性にも配慮された普段使いのアイテムとしては認知されていない課題がありました。そこで、カバンに対する愛情を持つ人と一緒に製品をつくりたいと考え、リュークさんに声をかけたのがきっかけです。
MF●今回、バックパックを選ばれた理由は何ですか?
リューク●普段から海外のカバン事情をチェックしているのですが、長距離移動が多いアメリカでは、旅行はもちろん街中での移動でもバックパックが主流です。また、私が運営するYouTubeチャンネルにコメントしてくれる視聴者の皆さんもバックパックに対する関心が高く、さまざまな要望を反映しやすいという点も理由となります。
MF●MNL CITY PACKのコンセプトについて教えてください。
赤松●「MNL」という名称には、シンプルで無駄のない「ミニマル(Minimal)」、使う人の立場に立った「マインドフル(Mindful)」、個々のストーリーから導かれる「モノローグ(Monologue)」、そして住む場所や働く場所にとらわれない「モダンノマドライフ(Modern Nomad Life)」という4つのコンセプトが込められています。
リューク●どんなシーンにもマッチするように、ミニマルなシルエットを目指しました。開発の過程では試作品を動画で公開し、シルエットや素材の質感を何度も細かく調整してもらいました。
赤松●初期の試作品では、角ばっていたり、芯材が柔らかくて自立しないなどの問題がありました。しかし、リュークさんや視聴者の皆さんからいただいたさまざまなフィードバックをもとに改善を重ね、4回目の試作で現在の最終的な形になりました。
デザインと機能性、価格のバランス
MF●機能面での改善はどのように進められたのでしょうか?
リューク●初期の段階から、バックパックでデッドスペースになりがちなコンパートメントの上部を有効に使いたいという考えで進めていました。さらに、視聴者から「内装の色を明るいグレーにすると、小物が探しやすくなる」などコメントをいただき、さらなる改良を加えました。最終的には、AirTagを収納できるポケットを追加するなど、カバン愛好家の理想を反映したバックパックが完成しました。
MF●カバンの素材にもこだわりが感じられます。
リューク●ビジネスでも日常でも使えることを考慮し、パーツの耐久性や質感には一切妥協しませんでした。外装生地には耐摩耗性に優れたコーデュラのエコ素材を使用し、表面はテフロンコート加工で撥水性を確保しています。また、YKK製のファスナーを採用し、快適な開閉を実現しています。
MF●ポケットなども豊富で、ユーザ視点の工夫が多く取り入れられていますね。
リューク●背負ったままパスケースやiPhoneを取り出せるファスナー式のサイドポケットや、ペットボトルや濡れた折り畳み傘を収納できる防水仕様のサイドボトルポケットなど、細かな工夫が随所にあります。挙げ出すとキリがありませんね…(笑)。
MF●そこまで考え抜かれた製品ですと、価格も気になります。
児野●高品質な素材を使用しつつ、実売価格は2万円を切る設定にしました。おかげさまで、発売から1カ月ほどで想像以上の売れ行きとなり、製造が追いつかないほどの反響をいただいています。質感や背負い心地は、全国の家電量販店や、エレコム直営店のデザインショップ(新大阪・神戸など)でもお試しいただけます。
全方位でMacBookを保護できる!「360度保護 耐衝撃インナーケース」
PC用バックパックとは別に、MacBookシリーズの擦り傷や損傷を防ぐためにインナーケースを探している人も多いのではないでしょうか。「360度保護 耐衝撃インナーケース(15.6”)」([価格]4708円)は、エレコム製インナーケースのラインアップの中で特に保護性能を重視したモデル。天面と底面に厚手の低反発ウレタンフォームを備え、側面を360度保護するコーナーガードクッションで囲まれているのが特徴です。また、ケース内部はMac本体の出し入れ時に傷が付きにくい起毛素材が採用され、ケース表面には撥水加工が施されるなど使い勝手も優れています。最大収納サイズは15.6インチとなっていますが、内寸は16インチのMacBook Proまでジャストフィットします。
※この記事は『Mac Fan』2025年1月号に掲載されたものです。
著者プロフィール
栗原亮
1975年東京都日野市生まれ、日本大学大学院文学研究科修士課程修了(哲学)。 出版社勤務を経て、2002年よりフリーランスの編集者兼ライターとして活動を開始。 主にApple社のMac、iPhone、iPadに関する記事を各メディアで執筆。 本誌『Mac Fan』でも「MacBook裏メニュー」「Macの媚薬」などを連載中。