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ダブルクリックだけで返信メールを作成する!/AppleScript

著者: 栗原亮

ダブルクリックだけで返信メールを作成する!/AppleScript

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macOSの標準機能でメールの返信を自動化する

Slack」などのチャットツールでのやりとりが普及してきましたが、まだまだ「メール」がコミュニケーションの主流という会社も多いはず。記録に残して検索しやすいなど、メールならではの利点があるからです。

しかし、相手が受信したことを確認するには開封確認の設定が必要であるため、結果的に受信したら返信メールをその都度作成したりと意外と手間がかかるものです。

こうした繰り返し作業を自動化する技術として「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」というものがあります。作業の効率化を図るソリューションとして企業で導入され始めていますが、macOSには標準でこの機能が備わっています。

メール作成を省力化する手段としてよく利用される「メール」ソフトの署名機能です。
システム環境設定の[キーボード]パネルにある[ユーザ辞書]による定型文の登録がメール省略化としてよく知られています。
「スクリプトエディタ」でAppleScriptによる制御も可能です。作成したスクリプトは[ライブラリ]→[Application Scripts]→[com.apple.mail]に保存します。
メールの[環境設定]から[ルール]を選び、[ルールを追加]で条件を指定し、実行したい操作から[AppleScriptを実行]を選び、保存しておいたスクリプトを指定します。ただし、この方法はプログラミングに近く万人にはおすすめできません。

スクリプトとオートメーターで簡単に自動化する

まず、最初に検討したのが古くからあるアップル標準の「AppleScript」による自動化です。「メール」ソフトのルール機能では、特定の条件を満たした際の動作に特定のスクリプトを指定できるなど、技術力があればほぼなんでも操作できる自由度の高さが魅力です。しかし、ハードルが高いのも否めません。

そこで、次に検討したのが「Automator」です。こちらも自動化マクロを作成できますが、アクションのモジュールをドラッグ&ドロップで並べるだけという手軽さが利点です。今回は決まった相手に対して定形的なメールを送るだけなので、簡単な「アプリケーション」としました。

そこで「Automator」を使えばより簡単に自動化したい操作を作成できます。新規書類で[アプリケーション]を選択し、[アクション]の[メール]から[新規メールメッセージ]を右側にドラッグして宛先や本文を入力します。

あらかじめ必要な返信メールのパターンを定型文で作っておけば、アイコンをダブルクリックするだけで新規メッセージのウインドウが表示されてすぐ送信できます。なお、送信作業自体も自動化できますが、誤送信を防止するため、今回は手動で送信するようにしました。

保存する際にはフォーマットが[アプリケーション]になっていることを確認し、わかりやすい名前を付けて任意の場所に保存します。アイコンをダブルクリックするだけで指定の操作を実行できます。
初回起動時にアクセス制御の許可が求められますが、それ以降はすぐに新規メッセージを作成できるようになりました。

※本記事は『Mac Fan』2020年5月号に掲載されたものです。

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著者プロフィール

栗原亮

栗原亮

1975年東京都日野市生まれ、日本大学大学院文学研究科修士課程修了(哲学)。 出版社勤務を経て、2002年よりフリーランスの編集者兼ライターとして活動を開始。 主にApple社のMac、iPhone、iPadに関する記事を各メディアで執筆。 本誌『Mac Fan』でも「MacBook裏メニュー」「Macの媚薬」などを連載中。

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