Mac業界の最新動向はもちろん、読者の皆様にいち早くお伝えしたい重要な情報、
日々の取材活動や編集作業を通して感じた雑感などを読みやすいスタイルで提供します。

Mac Fan メールマガジン

掲載日:

ポータブル電源 「DJI Power 1000」が、車中泊好きの“正解”だった!

著者: 早川厚志

ポータブル電源 「DJI Power 1000」が、車中泊好きの“正解”だった!

ポータブル電源は必要、だけど大きいと困る

僕はライター仕事のほか、「キャンパーアルトピアーノ(以下、アルトピアーノ)」というライトキャンピングカーで車中泊をしながら地方でフォトグラファーの仕事もしています。

アルトピアーノには電源ユニット(サブバッテリ)が搭載されていて、基本仕様は疑似正弦波で500Wです。僕はこれをオプションで正弦波1500Wに強化し、さまざまな電化製品を使えるようにしています。

とはいえ、その容量は1200Whで、変換ロスを2割として考えると実容量は960Whほど。車中泊では炊飯器やIHクッカー、電子レンジ、電気ケトル、ドライヤーなど消費電力の多い家電を使うため、サブバッテリは予想以上に早く枯渇してしまいます。特に、冬場はファンヒーターを付けると2時間程度しか持ちません。

そこで、大容量かつ高出力のポータブル電源を導入して電気を補いたいのですが、本体サイズが大きすぎると車内の空間が圧迫されてしまいます。

そんな中、「DJI Power 1000」というポータブル電源を試す機会をいただきました。DJIといえばドローンのメーカーとして超有名で、本製品のWebページにも「DJI製ドローンを急速充電」という謳い文句が躍っています。

DJI Power 1000

【販】DJI
【価】11万4400円
【備】バッテリ容量:1024 Wh、重量:約13 kg、サイズ:448×225×230 mm(長さ×幅×高さ)、搭載ポート:AC出力 × 2、USB-C × 2、USB-A × 2、SDC × 1、SDC Lite × 1、AC入力 × 1

愛車・アルトピアーノにシンデレラフィット!

てっきり、ドローンを持っている人向けのポータブル電源かと思っていましたが、安全性が高いと言われるリン酸鉄リチウムイオン電池を採用し、容量は1024Wh、最大出力2000Wに対応するなど、車中泊にも便利そうです。しかも筐体の高さが23cmなので、「もしや、アルトピアーノのベッドの下に収まる…!?」という期待が湧いてきます。

アルトピアーノのベッドの下には高さ27cmほどの空間があるのですが、大容量ポータブル電源の多くは、縦型だったり横置きでも30cm近かったりして、なかなかこのスペースに収まる製品がないんです。

しかも、その空間にはリアから見て手前にフレームがあるため、実際には高さ24cm以下でないと取り回しが最悪です。だって、出し入れするたびにいちいちベッドの底板を外して、重たいポータブル電源を持ち上げて…という作業が発生しますから。

実際に「DJI Power 1000」をアルトピアーノに積んでみたところ、まさしくシンデレラフィット! これこそ、僕がずっと探してきたポータブル電源なのです!

アルトピアーノとシンデレラフィット! リアから出し入れできるのはうれしいポイントです。

多くのポータブル電源はスイッチ類が前面、電源ケーブルの差し込み口は背面、というレイアウトが多いのですが、「DJI Power 1000」はパネルやスイッチ、ポートなどのインターフェイスがすべて筐体の前面に集約されているのもいいところ。ケーブルの抜き差しが圧倒的にスムースです。

シガーソケットは非搭載ですが、別売りの「DJI Power SDC – 車用デバイス充電プラグ 電源ケーブル(12V)」(3630円)を使用すれば、シガーソケットから電源を取るタイプの車載冷蔵庫なども使えちゃいます。

2つのUSB-Cポートはどちらも最大140W出力に対応し、16インチのMacBook Proでもフルパワーで高速充電できます(理論上は2台同時の高速充電にも対応)。

おすすめの記事

レンジ、クッカー、ドライヤー…“車中泊家電”と使ってみる

「DJI Power 1000」の容量は1024Whですが、具体的にどれぐらい使えるのか、車中泊で普段使っている電化製品で試してみました。

まずは、カップ麺を作るのに必要な300mlの水(常温)を電気ケトル(出力1250W)で沸かしたところ、バッテリ残量を示すデジタル表示が4%減。次に、車中泊ユーザに人気のポータブル電子レンジ「WAVEBOX AC」(出力425W)でコンビニで購入した親子丼を約5分温めたところ、残量表示は5%減。

ほかのものも電子レンジで温めてみましたが、おおよそ1分あたり1%減るペースでした。ちなみに、「DJI Power 1000」の公式サイトの目安では、スマートフォン57回分、車載冷蔵庫19時間、コーヒーメーカー55分、扇風機9時間、プロジェクター9.2時間に対応するようです。

パックご飯をレンジでチンしながら、IHクッカー(出力800W)でお湯を沸かしてレトルトカレーを温めても問題なし。これまでは、カレーを温め終えてからご飯をチン、と段階を踏んでいたので、同時にできるのは革命的!
電子レンジを使いながらヘアドライヤー(1200W)を使ったら、消費電力が1830Wに! バッテリが残り14%になっても最大出力は2000W程度を維持するようです。

いずれの利用シーンでも、特筆すべきはファンの動作音が非常に静かなこと。冬の車中泊では就寝時に電気毛布などを使用するので、ファンの静音性は重要です。

ちなみに、メーカーが公表しているノイズレベルは、本体から1m離れた場所で約23dB(日本騒音調査「ソーチョー」によると、30dBで「郊外の深夜」や「ささやき声」程度とか)。

充電速度を徹底検証! 公式のテストと比べてみると…?

次に「DJI Power 1000」本体への充電(蓄電)についても検証してみました。

付属の電源コードで家庭用コンセントにつないだ場合、公式サイトでは「バッテリ残量100%まで充電するのに70分、80%まで充電するのに50分」とされています。実際に試したところ、50%までは1200Wで急速充電されて約27分かかり、55%を越えると本体温度上昇により600Wに切り替わり、最終的に「100%まで79分、80%まで56分」という結果でした。

参考値よりやや長かったものの、公式が「25度の環境下」で試している一方、僕が試した環境は28度だったので、納得の誤差でしょう。

約27分で50%まで充電できました。このペースならフル充電まで1時間も掛からないのでは?と思っていたら、入力電力が1200Wから600Wになってペースダウン。95%以降は500Wになりました。

また、「DJI Power 1000」は1200W急速充電モードと600W標準充電モードの2種類の入力電力に対応し、本体前面の物理スイッチで切り替えられます。

RVパークで電源を借りた場合、車の外部電源(AC100V)入力端子から電源ユニットのAC出力経由で「DJI Power 1000」を充電することも考えられます。その電源ユニットの出力が1000Wクラス以下の場合でも、「DJI Power 1000」の充電モードを600Wに切り替えておくことで、もし外部電源から電力が届いていない(パススルーでない)場合でも電源ユニットのヒューズ切れのリスクがなく安心して充電できるわけです。

ちなみに、「DJI Power 1000」のAC出力からアルトピアーノの外部電源につなぐことで、「DJI Power 1000」に蓄えられている電力をアルトピアーノのサブバッテリに充電することもできました。

1200W急速充電モードと600W標準充電モードを切り替える物理スイッチ。これを左右にスライドさせるだけで、充電中でも瞬時に切り替え可能です。
左の写真がアルトピアーノの「AC100V外部電源」。ここに「DJI Power 1000」を接続し、アルトピアーノのサブバッテリを充電することも可能です。右の写真は、逆にRVパークで借りた電源から車内の電源ユニットのACコンセント経由で「DJI Power 1000」を充電しているところ。

太陽光発電にも対応! 別売りアクセサリでカスタムしよう

「DJI Power 1000」は、家庭用電源のほか、充電アクセサリを使って太陽光発電(ソーラーパネル)や車内電源ソケットからも充電できます。

安価な100W入力ソーラーパネルを別途購入し、「DJI Power ソーラーパネル アダプターモジュール (MPPT)」(別売:9680円)につないで太陽光発電による充電を試したところ、5月の晴れた日の場合、85W程度で充電できました。さすがにこのスペックのパネル1枚だと、1日でフル充電するのは難しそうですね。

ちなみに、「DJI Power ソーラーパネル アダプターモジュール (MPPT)」は1台につき3枚のソーラーパネルを接続できます。そして、「DJI Power 1000」にはこのモジュールを2つまでつなげるので、最大で6台ものソーラーパネルを同時に接続可能です。

そうして「DJI Power 1000」が対応する太陽光発電での最大入力電力値「800W」を実現すれば、約1.35〜2.8時間でフル充電できるそう。

また、「DJI Power 車内電源ソケット – SDC 電源ケーブル (12V/24V)」(別売:8800円)をアルトピアーノのシガーソケットにつないで走行充電をしたところ、95〜98Wで充電されました。

10時間以上走行してもフル充電は厳しそうですが、それでも心強いサポートアイテムです。ちなみに、同アクセサリーを構成する「XT60 – SDCモジュール」はソーラーパネル アダプターモジュールとしても機能するため、ソーラーパネルと接続して太陽光発電に利用することもできます(接続可能なソーラーパネルは1枚のみ)。

左の写真はソーラーパネルで充電中の様子。一方、右の写真は「DJI Power 車内電源ソケット – SDC 電源ケーブル (12V/24V)」での充電の様子。ケーブルが短いため、DJI Power 1000本体を助手席か後部座席に置いておく必要があります。

ハイエースやキャラバンにも! 車載に最適な1台です

「DJI Power 1000」の重量は約13kg。本体上部の両端にハンドルがあるので、抱えるように両手で持ち上げられます。

さらに、純正アクセサリー「DJI Power 1000 保護収納バッグ」(別売:1万6170円)に収納すると、片手でもスマートに持ち運べるようになります。肩掛けできるともっと便利ですね。

インターフェイス部分、そして両サイドの排気口部分にはファスナーがついているため、暑い季節でなければ熱も気にせず、バッグに収納したまま使えそうです。

今回は、僕の愛車「キャンパーアルトピアーノ」での使用感をレビューしました。しかし、ハイエースキャラバンN-BOXといったバンタイプのクルマにベッドキットを積み込んで車中泊している人も多いことでしょう。「DJI Power 1000」は、そんな方々にもおすすめできるコンパクトかつパワフルなポータブル電源でした。

製品貸与●DJI JAPAN

著者プロフィール

早川厚志

早川厚志

フリーライター兼フォトグラファー。Mac用ソフトの新着情報Webサイト「新しもの好きのダウンロード」を27年間運営しており、Macに入っているソフトは1000本以上。

この著者の記事一覧