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M4 Pro搭載・新Mac miniレビュー! 2週間使った結論は…? 仕事にゲーム、そしてApple Intelligenceの新機能との相性も試してみた

著者: 山本敦

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M4 Pro搭載・新Mac miniレビュー! 2週間使った結論は…? 仕事にゲーム、そしてApple Intelligenceの新機能との相性も試してみた

写真●黒田彰

2024年11月8日に発売されたM4 Pro搭載のMac mini。筆者はそれから約2週間、自宅で使い込んできた。だからこそ見えた、新Mac miniの素晴らしいと思うポイントがいくつもある。

Mac mini

【発売】
Apple
【価格】
9万4800円から

macOS Sequoia 15.2のパブリックベータから加わったApple Intelligenceの「Image Playground」や、SiriのChatGPTエクステンションの機能とともに、Mac miniの実力をレビューしていこう。

なお、パブリックベータ版のレポートや画面キャプチャに関しては、取材を基にした特別な許可を得て掲載している。

M4 Proチップを搭載した新Mac mini。12.7cm四方のコンパクトなサイズになった。

小さくて、パワフルで、静かな新Mac mini。M4 Pro搭載のフラッグシップモデルで検証

試用したMac miniは、M4 Proをベースに、14コアCPU/20コアGPUに強化したフラグシップモデルだ。RAMには48GBユニファイドメモリ、ストレージには1TBのSSDのオプションをそれぞれ加えている。ベンチマークソフトの「Geekbench 6」でパフォーマンスを複数回測定したところ、CPUはシングルコアが3600ポイント前後、マルチコアが2万1000ポイント前後、GPUのメタルスコアは6万9000ポイント前後となった。

縦横の幅が12.7cmになったMac miniは、設置に必要な面積(フットプリント)が前世代のM2/M2 Pro搭載Mac miniよりもコンパクトだ。筐体は電源ユニットを内蔵しているので、デスクトップパソコンにありがちな巨大な電源アダプタは存在しない。付属の電源コード(1.8m)を上手く活用すれば、デスクの美観も損ねることなくスマートに置ける。

また、筆者は容量の大きな動画やオーディオのファイルを扱ったり、Mac miniに重い負荷をかける作業をしたりしないからかもしれないが、内蔵する空冷ファンが耳障りな音を立てたり、本体が過度に熱を持つことは今のところ一度もない。

iPhone 16 Proと並べてサイズを比較。新Mac miniは、電源ユニットも内蔵しながら、これほどコンパクトなサイズにまとめあげられている。

“ミニ”だから可搬性もバツグン。場所を選ばないから、仕事でも趣味でも活躍する

コンパクトで携帯性にも優れた新Mac miniを、筆者は仕事用のデスクとテレビサイドとの間で、置き場所を変えながら使っている。用途の8.5割くらいは原稿を書いたり写真を整理したりすることだが、残りの1.5割ぐらいはエンターテインメント目的だ。

4KテレビにHDMIケーブルで接続してApple TV+のドラマを観るほか、Mac miniを入手してから、いつもiPhoneで遊んでいるゲームをMacでもプレイするようになった。特にゲームの動作は快適だ。macOSのゲームモードのおかげで、ワイヤレスゲームコントローラによる操作やAirPods Proで聴くサウンドが「遅延」するストレスからも解放される。

リビングの4KテレビにHDMIケーブルで接続。ストリーミング配信の映画やドラマの鑑賞にもMac miniが活躍する。
ゲームも大きな画面で楽しみたい。macOSのゲームモードのおかげで、ワイヤレスコントローラーの操作遅延によるストレスに悩まされることはなかった。

本体のフロント側に、2基のUSB-Cポートと3.5mmヘッドフォンジャックがあるのもいい。ハイレゾ対応のUSB-DAC内蔵ヘッドフォンアンプを通して聴くと、Apple Musicで配信されているハイレゾロスレス音源が明らか高音質になった。ポケットサイズの変換アダプタ型のUSB-DAC内蔵ヘッドフォンアンプは、アンダー1万円で買える良質な製品も揃っている。新Mac miniを買うなら、ぜひ試してみてはいかがだろうか。

フロント側にもUSB-Cポートを搭載。USB DAC内蔵ヘッドフォンアンプを組み合わせるとハイレゾロスレス再生が手軽に楽しめる。

Apple Intelligenceの「Image Playground」はシンプルに楽しい。仕事でも“即戦力”になりそうだ

macOS Sequoia 15.2のパブリックベータに追加・拡充された、Apple Intelligenceの機能も新Mac miniで試した。なお、Apple Intelligenceは日本語に非対応だが、デバイスとSiriの言語を米国英語にすると、日本国内でもさまざまな機能が英語ベースで使用できる。

まずはApple独自のAIモデルにより画像を生成する「Image Playground」だ。macOS Sequoia 15.2のパブリックベータをインストールすると、macOSに独立したImage Playgroundのアプリが追加される。筆者の場合、ただ画像を生成して遊んでみただけだが、想像していたよりもずっと楽しかった。画面下のプロンプトから英語でテキストを入力して生成したい画像の内容を指定するか、「写真」アプリから任意の写真を選択してApple Intelligenceによる加工を施すこともできる。

Apple Intelligenceによる画像生成機能「Image Playground」。独立したアプリとしてmacOS 15.2のパブリックベータに追加された。筆者のセルフポートレートからイラスト風、アニメーション風の画像を生成してみた。
画像生成時に複数の条件をテキストプロンプト、またはプリセットされているキーワードから追加。筆者のポートレートに「宇宙」「FBI特別捜査官」という条件を追加してみた。
そして生成された画像がこれ。タッチはアニメーション風にしたところ、なぜかイラスト風の画像を生成したときにはなかった「ほうれい線」が追加されていた…。

筆者のセルフポートレートをベースに3Dアニメーション風、またはイラストレーション風の似顔絵を生成してみた。実年齢よりもだいぶ若くみえる画像が生成されるようだが、これもApple Intelligenceの気配りなのだろうか。

人物に限らず花や動物、風景なども色づかいがビビッドで、ディテールを強調したリアリスティックな画像が生成されがちなクセもある。とはいえ、さまざまな条件を追加しながら「楽しい画像」が生成できるImage Playgroundに好感を持った。仕事のプレゼンテーション資料に貼る簡単なイラストが欲しいときなど、即戦力になると思う。Apple Pencilによる手書きの画をImage Playgroundが加工してくれるiPadOSの機能よりも、MacのほうがテキストプロンプトからApple Intelligenceにリクエストして、テンポ良く直感的に画像生成が楽しめた。

SiriとChatGPTの連係も好感触。Mac miniのAI性能をフル活用しよう

macOS Sequoia 15.2からApple Intelligenceに追加された、SiriにChatGPTを連係させる機能も試した。「システム設定」から[Apple Intelligence & Siri]を選択すると、メニューの下のほうにChatGPTのエクステンションが並ぶ。ユーザがあらかじめOpenAIのサイトから登録したChatGPTのアカウントを紐づけ、Siriと連係させる。ChatGPTの性能・精度については、ユーザがOpenAIのプラットフォーム側で利用するプランにも依存するが、無料版のChatGPTともSiriは連係可能だ。誰でも気兼ねなく試すことができる。

「システム設定」から[ChatGPT Extentioin]をオンにして、OpenAI側のユーザーアカウントと連係させる。
Siriに直接テキストを入力。ChatGPTと連係しながら、Siriが期待した答えを返してくれた。

ユーザインターフェイスについては、まだmacOSに最適化したChatGPTアプリケーションのほうが完成度は高いと感じる。一方、素速くChatGPTで検索したり、メールのテキストを代筆したりしてもらいたいときは、Siriからサッと利用できるApple Intelligenceが使いやすい。macOSのSiriとChatGPTの相性は良好と言えそうだ。

Mac miniの底面に搭載された電源ボタン。Apple本社の幹部が話した“理由”とは?

最後に、新Mac miniの「電源ボタン」の位置が、本体の背面側から“底面に移った問題”について考える。

本体の底面側に移動して、若干押しづらくなった電源ボタン。

先日、Apple本社の幹部が中国のメディアによる取材に対し、ボタンの位置を底面にした理由を答えたと複数のメディアが報じている。回答の内容を簡略化すると以下の通りだ。

「だって、もうMacの電源ボタンに触れることってあまりないでしょう?」

補足すると、Macの電源は毎度落とさず、スリープモードのまま使っているユーザが多くいるようなので、電源ボタンが多少アクセスしづらい場所に移動しても影響はないという判断だったようだ。

実は、筆者は普段、据え置き型のMacは1日の作業の終わりに必ず電源を落とす主義だ。そのくせ、バッテリ残量に気を配るべきMacBookは、スリープ状態のままにすることが多いのだが。

実は“電源オフ”派の筆者。スリープモードで新Mac miniを使ってみたところ…

ただ今回は、新Mac miniをスリープモードのまま運用してみることにした。スリープモードまま待機させておくことで、待機中のMac miniがUSBハブとなり、周辺機器の充電ステーションになったのは良かった。どうせ電源ケーブルにつなぎっぱなしにしているので、MacBookのようにバッテリが尽きる心配はない。

ただ、筆者的に気持ちよくないのが、スリープモード中でもステータスインジケーターランプが白く点灯し続けることだ。スリープモード時は「ステータスインジケーターランプを消灯する」設定があるといいのだが。そうすれば、夜間もMac miniの電源を落とさずスリープで待機させる習慣が身につくと思う。

筆者は、スリープ中もステータスインジケータランプが点灯し続けるのが気になってしまう。これが設定で消せるなら、習慣は変わるかもしれない。

Appleは、新Mac miniが「初のカーボンニュートラルなMac」であることをアピールしているのだから、一人ひとりが可能な限り電源を浪費しない、地球にやさしい使い方もユーザに勧めてほしい。

たとえば、Mac miniをタテ向きに置けば電源ボタンにアクセスしやすくなって、電源のオン/オフが簡単になる(筆者も習慣を変える必要はない)。Appleが100%再生アルミニウム素材を使用した、スタイリッシュな純正「タテ置き用スタンド」を商品化すれば、新Mac miniはもっと注目され、一兎も二兎も得られると思う。今後、Mac mini関連のアクセサリが賑やかになることに期待している。

Mac mini

【発売】
Apple
【価格】
9万4800円から

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著者プロフィール

山本敦

山本敦

オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。ITからオーディオ・ビジュアルまでスマート・エレクトロニクスの領域を多方面に幅広くカバーする。最先端の機器やサービスには自ら体当たりしながら触れて、魅力をわかりやすく伝えることがモットー。特にポータブルオーディオ製品には毎年300を超える新製品を試している。英語・仏語を活かし、海外のイベントにも年間多数取材。IT関連の商品企画・開発者へのインタビューもこなす。

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