言わずと知れた高級キーボード「HHKB(Happy Hacking Keyboard)」から、オールインワンモデルの「HHKB Studio」がリリースされてはや1年が経過した。既存のHHKBユーザから好評を得ているのはもちろん、HHKBのファン層を押し広げた革新的なモデルといえるだろう。
筆者は現在、会社のデスクでも在宅ワーク環境でも、HHKB Studioを使っている。キーマップツールも活用し、キーボード側面のタッチパッドによる操作内容を変更したり、ポインティングスティックをタップしてクリックする機能をオンにしたり。HHKB Studioライフを満喫しているのだが、1つだけ試していないことがある。
それは、キーキャップ(およびキースイッチ)の変更だ。従来モデルの静電容量無接点方式ではなく、HHKB Studioはメカニカルスイッチを採用している。それなのに! その醍醐味を味合わないのはもったいないではないか。
そんな折、運よく「HHKB Studio Keycaps KAT Operater」をご提供いただいた。
HHKB Studio Keycaps KAT Operater
- 【発売】
- GreenKeys
- 【価格】
- BASE KIT:$119、HHKB Studio Kit:$18
HHKB Studio Kitは下記の内容。キーボード全体のキーを入れ替えたい場合は、BASE KITを購入しよう。
・特殊形状の「G」「H」「B」キーキャップ
・1u・R4形状の「|」および「~」キーキャップ*
・R2-1.75uサイズのControlキー
・6uサイズのスペースバー
※対応するのはHHKB Studioの英語配列モデルのみ
ただの個性派アイテムじゃない。打鍵の気持ちよさをサポートする“武器”になる!
GreenKeysで購入できる「HHKB Studio Keycaps」は、HHKBの独自のキー配列で使えるのはもちろん、キーボード中央に配置されたポインティングスティックにも対応している。
ちなみに、同シリーズのラインアップは冒頭で紹介した寒色系の「KAT Operater」だけではない。黒を基調に差し色にカラフルなキーを用意する「KAT White on Black Extensions」や「KAT White on Black Candy」など、いくつかのラインアップが存在する。それぞれ価格が異なるので、Webサイトでご確認いただきたい。
解説が前後するが、「HHKB Studio Keycaps」が採用しているのは、「KAT」と呼ばれるKeyreative社がライセンスを持つオリジナルプロファイルだ。人間工学に基づいてキーの高さや形状を設計している。キーの中央に向かって窪みがある「スフェリカルデザイン」なので、指先に吸い付くような打鍵感を得られるという。
大ショック! 対応するのは英字配列モデルだけでした
ではさっそく、とキーキャップの入れ替えをしようとしたときに問題が発覚した。
というのも、筆者が所有するHHKB Studioは日本語配列なのだが、「HHKB Studio Keycaps」は英語配列用しか存在しないのだ…! 日本語配列と英字配列ではレイアウトやキーの数が異なるだけではなく、形が異なるキーも多いため、英語配列用のキーキャップセットは半分以上が使用できない。
しかし、せっかくなのでキーキャップの交換くらいは試してみよう。
デザインや印字はポップでグッド。HHKB Studioでしか楽しめない“着せ替え”をお試しあれ!
スイッチ自体は同じなので、キーキャップを装着することはできる。しかし、先のとおり形状の異なるキーが存在するため、すべてを入れ替えるのは不可能だ。そして、部分的にキーキャップを変更すると、純正のキーと高さがのバラつきがでてスムースな打鍵感を損なってしまう。
なぜバラつきが出るのかというと、キーの高さが、HHKBオリジナルプロファイルとKATで異なるからだ。最大で、約3mmもの違いがあるという(参考)。
筆者は結局、高さのバラつきによる打鍵感のロスが起きにくい矢印キーのみ取り替えることにした。これはこれで、アクセントカラーとなってそこそこ気に入っている。
特殊な形状で、1.7mmという分厚いキーキャップは、より気持ちいい打鍵感を追及する人には刺さるだろうし、ポップな刻印はとてもかわいらしい。無骨になりがちなキーボードを、より愛着の湧く存在にしてくれそうだ。
それだけに、日本語配列用のラインアップがないのは悔やまれる(さすがに、アクセントのためだけに100ドル以上は払えない)。聞くところによると、各社が自由にレイアウトを組んでいる日本語配列のキーボード市場は世界的にみても特殊で、交換用キーキャップの製造メーカーも手を出しにくいのだという。
かつては英語配列キーボードユーザだった筆者は、これを機に戻ろうかな…と思ったり。しかしそれ以上に、「HHKB Studio Keycaps」の日本語配列版のリリースに期待したいところだ。発売元によると、今後開発の可能性もあるとかないとか…。
製品提供:GreenKeys
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著者プロフィール
関口大起
『Mac Fan』副編集長。腕時計の卸売営業や電子コミック制作のお仕事を経て、雑誌編集の世界にやってきました。好きなApple Storeは丸の内。Xアカウント:@t_sekiguchi_