Appleは2024年10月31日、M4/M4 Pro/M4 Maxを搭載した14インチMacBook Pro、そしてM4 Pro/M4 Maxを搭載した16インチMacBook Proを発表した。価格は前世代と同じく、14インチモデルが24万8800円から、16インチモデルが39万8800円から。現在は予約注文を受けつけており、11月8日に発売予定だ。
MacBook Pro
スペックもカラーもリッチに格上げ! M4搭載モデルを前世代・M3搭載モデルと比較する
M4搭載の14インチMacBook Proは、前世代のM3搭載MacBook Proと比べると、基本のメモリ容量が8GBから16GBへと向上。メモリの最大容量も24GBから32GBへと増えている。また、インターフェイスがThunderbolt/USB 4ポートからThunderbolt 4ポートに変わり、ポート数が1つ増えて合計3ポートとなった。HDMIポート、SDXCカードスロットを搭載するのは従来と同様だ。
また、M3ファミリーを搭載したMacBook Proシリーズのカラーは、M3モデルがスペースグレイとシルバー、M3 Pro/M3 Maxモデルがスペースブラックとシルバーという構成だったが、M4ファミリーではこれが統一された。すべてのモデルが、スペースブラックとシルバーの2色展開となっている。
さらに、M4搭載の14インチMacBook Proは、最大2台の外部ディスプレイ接続が可能となった。MacBook Proシリーズの中ではエントリーの位置付けだが、同じポジションだったM3モデルと比較すると、グレードが一段上がった印象だ。
一方、M4 Pro/M4 Max搭載のMacBook Proは、インチ数を問わずインターフェイスにThunderbolt 5ポートを3つ搭載。Thunderbolt 5は、Thunderbolt 4の3倍となる最大120Gb/sのデータ転送速度を実現する。なお、外部ディスプレイの接続数は、M4 Proモデルが最大2台、M4 Maxモデルが最大4台(HDMI接続を含む)だ。
M4/M4 Pro/M4 Max。比類なき性能を備えた最高峰のチップファミリー
M4には、4つの高性能コアと6つの高効率コアを積んだ10コアCPU、10コアGPU、16コアNeural Engineが搭載されている。Appleの発表によると、M4搭載のMacBook Proは以下のように性能を飛躍させているようだ。
- Affinity Photoでの画像処理が、Core i7搭載13インチMacBook Proと比較して最大7倍高速、M1搭載13インチMacBook Proと比較して最大1.8倍高速。
- Blenderでの3Dレンダリングが、Core i7搭載13インチMacBook Proと比較して最大10.9倍高速、M1搭載13インチMacBook Proと比較して最大3.4倍高速。
- Adobe Premiere Proでのシーン編集の検出が、Core i7搭載13インチMacBook Proと比較して最大9.8倍高速、M1搭載13インチMacBook Proと比較して最大1.7倍高速。
そしてM4 Proは、10の高性能コアと4つの高効率コアを積んだ14コアCPUと、20コアGPUを搭載。メモリ帯域幅はM3 Proと比べて75%増加し、それは、どのAI対応のWindowsパソコン用チップよりも2倍の帯域幅である。その具体的な性能は以下のとおりだ。
- Maxon Redshiftでのシーンのレンダリングのパフォーマンスが、Core i9搭載16インチMacBook Proと比較して最大4倍高速、M1 Pro搭載16インチMacBook Proと比較して最大3倍高速。
- MathWorks MATLABでの動的システムのシミュレーションが、Core i9搭載16インチMacBook Proと比較して最大5倍高速、M1 Pro搭載16インチMacBook Proと比較して最大2.2倍高速。
- Oxford Nanopore MinKNOWでのDNA配列のベースコールが、Core i9搭載16インチMacBook Proと比較して最大23.8倍高速、M1 Pro搭載16インチMacBook Proと比較して最大1.8倍高速。
最後に、ハイエンドチップであるM4 Maxは、16コアCPUコンプレックスを備え、M4 Proの2倍のパフォーマンスを発揮する40コアGPUを搭載。ユニファイドメモリ帯域幅は毎秒0.5TBを超える。また、M1 Maxよりも3倍以上高速なNeural Engineを搭載しているため、デバイス上のAIモデルは、かつてないほど高速に動作するだろう。Appleが公開した、具体的な数値は以下のとおり。
- Maxon Redshiftでのシーンのレンダリングのパフォーマンスが、Intel Core i9搭載16インチMacBook Proと比較して最大7.8倍高速、M1 Max搭載16インチMacBook Proと比較して最大3.5倍高速。
- Xcodeでコードをコンパイルする際のビルドのパフォーマンスが、Intel Core i9搭載16インチMacBook Proと比較して最大4.6倍高速、M1 Max搭載16インチMacBook Proと比較して最大2.2倍高速。
- Topaz Video AIでのビデオ処理のパフォーマンスが、Intel Core i9搭載16インチMacBook Proと比較して最大30.8倍高速、M1 Max搭載16インチMacBook Proと比較して最大1.6倍高速。
ディスプレイ、カメラ、バッテリ。毎日の使用体験に響く、強力なアップグレード。
ディスプレイは、前世代に引き続きLiquid Retina XDRディスプレイが採用された。解像度は、14インチモデルが3024×1964ピクセル、16インチモデルが3456×2234ピクセル。いずれもHDRコンテンツのピーク輝度は最大1600ニトだ。
一方、前モデルからの変更点として、屋外でのSDR輝度が最大600ニトから1000ニトに向上している。またオプション(2万2000円)として、屋外での反射や映り込みを低減し、視認性の低下を防ぐ、新しいNano-textureディスプレイが選択できるようになった。
もう1つ、大きな変更点として挙げられるのがWebカメラだ。2024年10月29日に発表されたiMacと同じく、新しい12MPセンターフレームカメラを搭載。被写体を常に中央に捉える「センターフレーム」機能に対応し、ユーザの動きに合わせて画角を調整してくれる。
また、ユーザの手元などを書画カメラのように映す「デスクビュー」にも対応しており、スタジオ品質のマイクや空間オーディオに対応する6スピーカサウンドシステムと組み合わせれば、ビデオ会議の質が向上するだろう。
さらに、バッテリ駆動時間が長くなったのもポイント。M4 Pro/M4 Max搭載の14インチMacBook Proは最大22時間、M4搭載の14インチMacBook Pro、M4 Pro/M4 Max搭載の16インチMacBook Proは最大24時間となった。いずれも真に1日中使えるスペックといえるだろう。
M4シリーズ搭載のMacBook Proは、Apple Intelligenceの旗手となる!
Apple Intelligenceは、すでにmacOS Sequoiaの無料ソフトウェアアップデートとして米国英語で提供されている。また、来年には日本語にも対応予定だ。
システム全体で使える作文ツールや、Siriを使ったタスク管理やアクションの実行、Image Playgroundといった画像生成ほか、さまざまな機能を備えるApple Intelligence。その旗手となるのは、やはりApple Intelligenceのために設計された最新のAppleデバイス群だ。特に、最先端のテクノロジーが詰め込まれたM4、M4 Pro、M4 Maxを搭載するMacBook Proは、我々にMacの新時代を見せてくれるに違いない。
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著者プロフィール
小枝祐基
PC、Mac、家電・デジタルガジェット周りを得意とするフリーライター。著書に『今日から使えるMacBook Air & Pro』(ソシム)、『疲れないパソコン仕事術』(インプレス)など。