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AI検索エンジン「Felo」にプレゼン資料を作ってもらったらスゴかった!

著者: 大谷和利

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AI検索エンジン「Felo」にプレゼン資料を作ってもらったらスゴかった!

従来型の検索エンジンは、結果として提示されたWebサイトを一つひとつユーザ自身で確認していかなければなりませんでした。

これに対し、「Perplexity」や「Genspark」、「WRTN」などの新興のAI検索サービスは、検索結果を分析・総合して、まとまりのあるレポートとして回答してくれるため、その使い勝手の良さから人気を集めています。

Felo」は、成長著しいこの分野に後発として参入した日本発のAI検索サービスで、検索結果からマインドマップやPowerPointのプレゼンテーションを生成できる点が大きな特徴です。ここでは、使い勝手の良いこの最新のAI検索サービスについて、iOSアプリを中心にご紹介します。

使い方はストレートでシンプル

Feloの基本的な使い方は、ほかのAI検索サービスとほぼ変わりません。Googleの検索ページが、検索語の入力フィールドを主役にしたシンプルな構成になっているように、AI検索サービスも、その目的を突き詰めた結果として、質問フィールドを中心に、検索対象を選択して利用するような形式に落ち着いたのでしょう。

FeloのiOSアプリでは、検索対象を、ウェブ、ソーシャル、学術、チャット、ドキュメントの中から選択することができます。ちなみに、チャットは、オンラインでの検索ではなくFeloのLLM(大規模言語モデル)と直接やりとりして回答を得るためのものです。

利用プランは、ユーザ登録だけで使えるFreeと、複数の生成AIモデルが使え、より深掘りした検索機能を1日あたり300回まで利用できるPro(月額プラン2099円、年額プラン1750円×12=2万1000円)があります。

Freeでも生成AIモデルは「ChatGPT-4o」であり、毎日5回まではPro検索も使えますが、デスクトップ版ではどの検索対象でもPro検索を利用できるのに対して、iOSアプリでは、通常検索後のフォローアップ検索のみが、その適用範囲となっているようです。

なお、Proにアップグレードすると、利用できる生成AIモデルに、「Claude 3.5 Sonnet」、「OpenAl o1-mini」、「Gemini 1.5 Pro」、「Llama 3.1 70B」が加わります。

Feloアプリの初期画面はシンプルで、虫眼鏡アイコンをタップすると検索対象を変更できます。ここでは、「ソーシャル」を対象に「Z世代のトレンド」を検索してみました。 

処理が開始されると、回答が得られるまでのプロセスを「問題を理解する」、「問題を分解する」というように段階的に提示してくれます。そして、「回答完了」になると実際の回答テキストが表示される仕組みです。

処理速度は十分に速く、さほど待たされる感覚はありません。

処理を開始すると、Feloはまず質問内容を分析し、複数言語にまたがる複数ソースに対して検索を行って回答を生成します。

マインドマップとプレゼン生成による機能の差別化

これまでも、たとえばChatGPTでは外部サービスと連携させてプレゼンテーション生成などを行う仕組みが用意されていたりしましたが、受け側のサービスの制約から単純な骨子のみのプレゼンファイルしか生成されないなどの課題がありました。

その意味で、検索結果のレポートから直接的にマインドマップや、かなり充実したPowerPointプレゼンテーションを生成できるFeloの機能は、ライバルサービスとの大きな差別化ポイントになっています。

ここでは、「Z世代のトレンド」という漠然として広範囲に及ぶ質問内容を、AIが「2024年上半期のZ世代トレンド」として絞り込み、20のソースから得られた情報を元に回答してくれました。

回答の最後には必ず「マインドマップ」というボタンが表示されるので、内容を図式化したい場合には、これをタップしてください。すると、瞬時にマインドマップが作られ、PNG形式でダウンロードして利用できるようになります(アプリ内で表示されるマインドマップは、各ノードをタップして情報を畳んだり展開したりすることができるインタラクティブな仕様です)。

PowerPointのプレゼンテーションについては、実は原稿執筆の時点では図のようにiOSアプリからも直接生成することができたのですが、執筆中に改めて確認したところ「コンピュータに移動してPPTを生成/編集してください」とのメッセージが表示されるようになりました。

また、現在もPowerPointファイルの生成は無料で行えますが、最近になって「期間限定無料」という注釈がつくようになっています。サービス開始からの期間が短いこともあり、サーバー負荷なども考えて、今も細かな仕様やプラン内容の調整が行われているようです。

生成結果を下までスクロールしていくと表示される「マインドマップ」のボタンをタップすると、各項目を階層構造で示したマインドマップが作られ、ダウンロード可能となります。原稿の準備段階では、右端のようにiOSアプリからPowerPointプレゼンテーションを生成できたのですが、なぜか今はコンピュータのブラウザで生成するようにとの指示が出るようになりました。

iOSアプリからプレゼンテーション生成ができる点が大きな魅力でしたので、この点は残念ですが、今後のインフラ強化などによって復活するかもしれません。しかし、とりあえず今は、次善の策として回避方法も示しておきましょう。

それは、「設定」アプリからSafariの設定変更をして、デスクトップ用のサイトを表示させるというやり方です。Safari上のFeloでも同じ登録アカウントでログインすれば、履歴からiOSアプリの検索結果を引き継いで作業を続けられます。

iPhoneやiPadのSafariでも、「設定」アプリ→[アプリ]→[Safari]→[デスクトップ用Webサイトを表示]を選択し、一時的に[すべてのWebサイト]をオンにしてFeloにアクセスすると、プレゼンテーション生成まで行えます。
iPhoneのSafari上のFeloで生成されたPowerPointプレゼンテーションです。この方法であれば、モバイル状態でもプレゼンテーションを生成できます。

ただし、デスクトップ用のWebサイトをiPhoneで表示させると、Felo自体の表示が画面からはみ出すなどの弊害もあるので、基本的にはiOSアプリ上で作業して、プレゼンテーション生成だけを一時的に設定変更したSafariで行うことが現実的な利用法です。

ちなみに、このようにiOSのSafariではWebブラウザ版のFeloでプレゼンテーション生成を行えるのですが、macOSのSafariでは生成の最終段階でエラーが出るという不思議な現象も起こっています。これもサービス開始初期の一時的な問題かもしれませんが、回避策としてはChromeブラウザを使うなどしてください。

Feloから利用できるPowerPointのテンプレートは1200種類以上もあり、ミニマリスト、ビジネス、クリエイティブなどのカテゴリー別に表示して選択でき、さらにテーマカラーも変更可能となっています。

FeloのPowerPointのテンプレートは、1200種類以上から選択することが可能です(わかりやすいようにデスクトップ版のFeloの表示で示しています)。

多言語対応に伴う要改善点

Feloは、日本のSparticle株式会社が開発した国産サービスとのことですが、多言語対応もセールスポイントにしているためか、中国を意識した表示などが散見されます。

たとえば、Webブラウザ版のFeloの検索対象の選択肢にある「小紅書」は、中国で人気のSNSですが、日本ではなじみがありません。また、iOS版の検索対象の「ドキュメント」の説明が「搜索特定格式的文档」(「特定のフォーマットの文書を検索する」という意味の中国語)になっていて、普通は読めないでしょう。

さらに、生成されたPowerPointプレゼンテーションでは、中国のスマートフォンメーカーのOppoが開発した中国語フォントなどが含まれていることがあり、PowerPointやSafariで開くと、フォントを置き換えるかどうかの確認ダイアログが表示されます。

どれも、基本機能を大きく損ねるものではありませんが、日本向けのサービスである以上、整合性はとっておくべきでしょう。

このように、今後改善されていくであろう小さな不備はありますが、国産で注目される生成AIサービスが少ない中、機能面でのユニークさを打ち出したFeloには頑張ってほしいところです。

Webブラウザ版のFeloの検索対象の中に「小紅書」という聞き慣れない単語がありますが、これは中国で利用されているSNSです。また、先のiOS版の検索対象でも、よく見ると「ドキュメント」の説明が「搜索特定格式的文档」と中国語になっています。
生成されたPowerPointプレゼンテーションを開くと、こちらも聞き慣れないフォントが使われています。Oppoは中国のスマートフォンメーカーであり、Feloでは中国語のフォントも利用しているようです。

著者プロフィール

大谷和利

大谷和利

1958年東京都生まれ。テクノロジーライター、私設アップル・エバンジェリスト、原宿AssistOn(www.assiston.co.jp)取締役。スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツへのインタビューを含むコンピュータ専門誌への執筆をはじめ、企業のデザイン部門の取材、製品企画のコンサルティングを行っている。

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