2024年10月15日、Appleは突如、新型のiPad miniをリリースした。リリースと同時に予約受付を開始し、10月23日(水)より販売がスタートする。
新型のiPad miniは、iPhone 15 Pro/15 Pro Maxと同じ「A17 Pro」チップを搭載したことで、Apple独自のAI「Apple Intelligence」への対応を果たした。本記事では、その進化の概要を解説していく。
iPad mini
A17 Proチップがもたらすハイパフォーマンス
前モデルのiPad mini(第6世代)に搭載されていた「A15 Bionic」と比較すると、A17 Proはあらゆる面で進化を遂げている。2つの高性能コアと4つの高効率コアを備えた6コアCPUという構成こそ同じだが、CPUパフォーマンスは30%向上。GPUも5コアと同等ながら、グラフィック性能を25%も向上させた。
Appleによると、これらの進化によってデザイナー、パイロット、医師などが利用するプロ向けアプリにまったく新しい体験を届けるという。もちろん、一般ユーザにとっての恩恵も大きく、写真の編集といったクリエイティブワークや、ARアプリでの体験などがこれまで以上に高速になる。
期待高まるApple Intelligenceが利用可能。米国でのリリースはまもなく
新型iPad miniはA17 Proの搭載によって、Apple Intelligenceへの対応も実現した。Apple Intelligenceは、Apple独自の生成モデルを用いて、言語や画像の生成、複数のアプリを横断するアクションの実行などを行う次世代AIだ。米国では、2024年10月中に行われるiPadOS 18.1の無料のソフトウェアアップデートにて、その初期機能が提供される。しかし、日本語対応は2025年中とまだ先だ。
Apple Pencil ProとApple Pencil(USB-C)、2つの選択肢
8.3インチというコンパクトボディのiPad miniと、その側面に張り付くApple Pencilの組み合わせは、ユーザのクリエイティビティを底上げする。
新型iPad miniは、Apple Pencil Proと、従来どおりApple Pencil(USB-C)に対応した。Apple Pencil(USB-C)は、対応機能が限られた廉価モデルだ。iPadの側面に吸着することでペアリングと充電、圧力感知、ダブルタップによるツールの切り替え、バレルロール、スクイーズ、触覚フィードバック、「探す」アプリへの対応といった機能を有していない。その分、2万1800円のApple Pencil Proと1万3800円のApple Pencil(USB-C)の間には8000円の差がある。用途と予算に応じて、クリエイティブワークには必須のApple Pencilを“選べる”のは大きなポイントだろう。
次世代カメラ、Wi-Fi 6E、ハイスペックなUSB-Cと、モダンな性能を獲得
また、新型iPad miniは12MPの広角バックカメラを採用。写真撮影に有用なほか、16コアNeural Engineを活用し、人工知能(AI)によって書類をスキャンの精度も向上させている。
フロントカメラは、前モデルと同様に上部短辺の中央に配置。バックカメラと同じ12MPだ。超広角レンズが採用されているため、被写体を常に中央に捉える「センターフレーム」にも対応する。
そして、通信面も強化された。すべてのモデルが恩恵を受けるのはWi-Fi 6Eへの対応。全モデルと比較して最大2倍高いパフォーマンスを発揮するという。また、Wi-Fi + CellularモデルはeSIMに対応し、5Gが利用可能となった。
搭載ポートは変わらずUSB-Cだが、スペックが向上し、前世代より最大2倍高速化。最大10Gbpsのデータ転送速度を獲得している。
最後に、iPadのネーミングが変更された点にも注目だ。従来、iPad mini(第6世代)というように「世代」がモデル名に付けられていた。しかし第7世代にあたる今回のモデルは、iPad mini(A17 Pro)となっている。
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著者プロフィール
関口大起
『Mac Fan』副編集長。腕時計の卸売営業や電子コミック制作のお仕事を経て、雑誌編集の世界にやってきました。好きなApple Storeは丸の内。Xアカウント:@t_sekiguchi_