※本記事は『Mac Fan』2022年5月号に掲載されたものです。
若い人ほどWebブラウザでググらない?
普段のネットの使い方について20代前半の人と話す機会がありました。ほぼiPhoneでしかネットを見ないのは想定内でしたが、欲しいものや知りたいことを調べるのにWebブラウザはあまり使わないというのは意外でした。わからなかったら即「ググる」世代の筆者にとって、「Googleは広告とフェイク情報ばかり」という発言には驚きを感じつつも、一理あると考えるようになりました。
AppleがSafariでサイト越えトラッキングの防止やCookieのブロックといったプライバシー保護に力を入れているのも、こうした若い世代の感覚と無関係ではないように思います。元々はユーザの利便性や興味関心に紐づいた情報を優先して表示するために生まれた技術は、いつの間にか「パーソナライズ」の美名のもとに本当に欲しい情報からユーザを遠ざけてしまう状況を生み出しているのかもしれません。
Safariでも設定を見直すことで安全性やプライバシー保護をさらに強化できる!
しかし、だからといって検索エンジンやWeb広告が「悪」という訳ではありません。信頼性の高い情報に効率的にアクセスできるのはGoogleなどがもたらした恩恵です。検索アルゴリズムの過剰な最適化からいかにして適切な距離を置くかが重要なのです。その対策としては「Brave」や「Vivaldi」などユーザのトラッキングがなく、広告を最小限に抑えるWebブラウザを利用する方法があります。
また、Safariでも設定を見直すことでブラウジングの安全性やプライバシー保護をさらに強化できます。たとえば、検索エンジンを「DuckDuckGo」や「Ecosia」に変更するのも1つの手でしょう。これらの検索エンジンもGoogleやBingなどの広告ネットワークを利用しているのでスパム広告はなくなりませんが、初期設定のGoogle検索とは違う検索結果が表示されるので違いを見てみると興味深いです。
Safariに標準搭載されているインテリジェントトラッキング防止機能にも、DuckDuckGoのトラッカーリストが用いられています。
また、Google検索を利用する場合も、プラベートブラウズなどの機能を使って履歴を残さない設定にしておけば、比較的フラットな検索結果が表示される傾向があります。特に時事問題や健康などに関わるキーワードを調べる際にはこうした方法をおすすめします。
プライベートブラウズで個人情報を保存せずに閲覧したり、Webサイトごとにカメラやマイク、画面共有、位置情報の利用を設定したりして安全性を高められます。
著者プロフィール
栗原亮
1975年東京都日野市生まれ、日本大学大学院文学研究科修士課程修了(哲学)。 出版社勤務を経て、2002年よりフリーランスの編集者兼ライターとして活動を開始。 主にApple社のMac、iPhone、iPadに関する記事を各メディアで執筆。 本誌『Mac Fan』でも「MacBook裏メニュー」「Macの媚薬」などを連載中。