開けたワインの「劣化」に悩む人は多いはず
ワインを自宅で飲むとき、困るのが保存方法です。というのも、ワインは一度開封すると酸素と接触して酸化が進み、状態が変化していくからです。もちろん1日や2日ではほとんど劣化しませんし、「3日目が一番おいしい」なんてことも珍しくありませんが、さすがに1週間もたつと、多くのワインは味わいが落ちてしまいます。
一般的なワインボトルは1本750mlですから、毎日グラス1杯100mlを飲むなら1週間はかかる計算です。すると、最後は味が落ちた状態で飲むことになりますし、残業や出張などで飲めない日を挟むとさらに劣化は進行してしまいます。
かといって1日で1本を飲み切るのは大変ですし、健康にもあまり良くないですよね。最後までフレッシュな状態のままワインを飲む方法はないものでしょうか?
そんなワイン好きのために、画期的なアイテムが登場しました。それが、最大14日間“開けたて”の状態をキープできるという「SANTUS Vibra」です。
SANTUS Vibra
- 【発売】
- SANTUS
- 【価格】
- Makuake価格:7万1200円〜、定価:9万9000円〜
【URL】 https://www.makuake.com/project/santus/
【サイズ】 約524.5×175×201.5(mm)
【重量】 約4.2kg
今回はこちらの製品を使って、本当にワインの味の劣化を抑えられるのかを、ワインエキスパートの資格を持つ筆者が検証しました!
なぜワインを新鮮なままキープできるのか?
「SANTUS Vibra」はワインボトルが1本まるっと入るディスペンサーです。スパークリングワインは非対応ですが、それ以外の一般的なワインボトルにはほぼ対応しています。カラーは今回お借りしたルビーレッドのほかにパールグロウ、オリーブミスト、スカイブルーと全4色が用意されており、お部屋の雰囲気に合わせて選べます。
難しい組み立てなどは不要で、すぐに使い始められる手軽さが魅力です。チューブをつけたアダプタをワインボトルに装着し、本体内部にセット。チューブからワインを吸い上げ、本体上部の注ぎ口からグラスに注ぐ仕組みです。
では、どうやってワインの状態を“開けたて”のまま維持するのでしょうか。その秘密は本体裏に取り付けたフィルタカートリッジにあります。このフィルタカートリッジがワインボトル内の酸素を除去して、酸素濃度を1%以下にキープすることでフレッシュな状態を保てるそう。
筆者はこの手のアイテムはいろいろ使ってきましたが、中には効果を感じにくかったものもあります。ですので、本当にワインをフレッシュなままキープできるのか、少し不安なのが正直なところ。実際に確かめてみましょう!
アプリと連係することで、iPhoneから温度や注ぐ量を調節できる!
ワインは同じものを2本用意しました。1本は「SANTUS Vibra」を使い、もう1本はふつうに冷蔵庫で保管して飲み比べてみます。
ワインボトルをセットするとこんな感じ。「SANTUS Vibra」自体のデザインが近未来的でスタイリッシュなので、インテリアとしてもおしゃれなのが良いですね。ライトアップしてボトルを照らしてくれるのも素敵です。
そんな「SANTUS Vibra」の大きな特徴が、専用アプリ「SANTUS」で各種設定を行えること。ワインを保管する温度と、グラスに注ぐ1杯分の量などを設定することが可能です。
ワインは飲む際の温度が非常に重要なので、保管温度を選べるのはうれしい仕様です。フルボディの赤ワインは18℃、軽めの赤ワインは15℃、白ワインは10℃程度に設定するといいでしょう。
なお、温度の下限が10℃なのでキンキンに冷やして飲むことはできません。キンキンに冷やしたい白ワインは低価格であることが多いので「SANTUS Vibra」を使ってシビアに保管するほどではないかもしれませんね。今回の検証では、白ワインなので温度は10℃、1杯の量は少なめの70mlで試してみました。
ちなみに、アプリではほかにもフィルタカートリッジの交換タイミングを通知するアラート設定や、ワインを入れてから何日後にアラートを出すかなどを設定することもできます。
「SANTUS Vibra」の効果は? 味の変化をチェック!
1日目は当たり前ですが、まったく同じ白ワインです。ここからどんなふうに違いが出てくるのでしょうか。
検証開始から3日目くらいまでは、ほとんど変化が出ませんでした。「SANTUS Vibra」で保管したワインの味は当然として、冷蔵庫で保管した方のワインも変化しなかったので、ここまではワインそのものの力で状態を維持していることになります。
少しだけ違いが見えてきたのが5日目頃から。「SANTUS Vibra」で保管したワインの味はほぼ変化がありませんが、わずかに冷蔵庫保管の白ワインの味わいが変化してきたような印象を受けます。しかし、まだ微々たる差といったところ。状態の変化と違いを見るために毎日グラス1杯ずつ飲んでいたのですが、正直このあたりで「違いが出る前に飲み干してしまったらどうしよう」と不安を覚え始めました。もっと早くから状態が変わりやすいワインを選べばよかったと反省。
9日目。明確に違いが出始めました! 冷蔵庫保管の白ワインはバランスが崩れ、果実味が抜けてきました。人によってはまだおいしく飲めるかもしれませんが、少なくともこの白ワインに期待する味わいとは違ってきた印象です。一方、「SANTUS Vibra」のほうも最初に比べるとわずかに変化したような気はしますが、しっかり果実味が残っていておいしく飲めます。
11日目。冷蔵庫保管の白ワインは完全に香りも味わいも落ちてしまいました。ここまでくるとちょっと飲みたくなくなってしまうレベル。料理に使うことにしましょう。対して「SANTUS Vibra」のほうはまだフレッシュさを保っています。開けて11日目だと知っているので「とはいえ、多少は味わいが落ちたかも?」と思ってしまいますし、仮に初日の同じワインと飲み比べたら違いが感じられるかもしれません。
しかし、少なくとも何も知らずにこのワインを出されて、「開けたてです」と言われたら疑わないだろうなと思いました。「開けたてのフレッシュ感を最長14日間キープ」と謳うだけのことはあります。
ちょっと気になったのは、「SANTUS Vibra」を使っていると内部がびっしょり濡れて、ボトルの下に水たまりができてしまうこと。たまに拭き取るなどの対処が必要です。ワインの温度を10℃と低温に設定していたからでしょうか。
また、本体サイズがけっこう大きく電源も必要なので、部屋のレイアウトによっては設置するためのスペースの確保が大変なこと。たまに、ワインボトルに入れるチューブは水を通して清掃する必要があること、などが注意点として挙げられます
とはいえ、ワインの状態をここまでキープできるのは、忙しくて毎日は飲めないという人やお酒に強くない人にとってはうれしいでしょう。余裕があれば複数台購入して「赤ワイン用」「白ワイン用」で使い分け、自宅でお店のグラスワインのように楽しむのもありかもしれません。
著者プロフィール
山田井ユウキ
2001年より「マルコ」名義で趣味のテキストサイトを運営しているうちに、いつのまにか書くことが仕事になっていた“テキサイライター”。好きなものはワインとカメラとBL。