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「Sonos Era 300」レビュー/圧巻の「空間オーディオ」を味わえるSonosのスピーカという選択肢

著者: 笹本貴大

「Sonos Era 300」レビュー/圧巻の「空間オーディオ」を味わえるSonosのスピーカという選択肢

3月29日より発売の「Era 300」と「Era 100」。「Era 300」のみ「空間オーディオ」の再生に対応する。両モデルとも、音声入力はBluetooth、Wi-Fi、AirPlay2、USB Type-Cラインイン(別売りのオプションアダプタ利用)に対応。クイック測定モードを搭載した「Trueplay」や、Amazon「Alexa」や同社独自の「Sonos Voice Control」の音声アシスタント対応(英語・仏語のみ)なども共通だ。

2023年3月、Sonosはワイヤレススピーカの新モデル「Sonos Era 300」と「Sonos Era 100」をリリースした。「Era 300」は、ドルビーアトモスによる空間オーディオに対応した注目機だ。空間オーディオ対応楽曲が増える中、その使い心地をレビューする。

Sonos Era 300

【発売】
Sonos
【価格】
6万9800円

公式サイト

Sonos Era 100

【発売】
Sonos
【価格】
3万9800円

公式サイト

空間オーディオに感動

2020年にリリースされたiOS 14から実装された「空間オーディオ」は、前後左右から音が聞こえてくるような感覚が楽しめ、まるで映画館のように、四方から包み込まれるような臨場感を味わうことができる3Dオーディオ機能だ。

当初は「Apple TV+」や「iTunes Store」の対応ビデオで利用できたが、2021年6月にApple Musicの楽曲が対応を果たしたことで、普及に拍車がかかった。私もAirPods Proを使ってはじめて「空間オーディオ」対応楽曲を聴いたときに、大きな衝撃を受けたのを覚えている。

それからずっと密かに抱いてきたのが、「空間オーディオをスピーカで体験したい」という欲求だった。文字どおり“音に包まれる”感覚を味わってみたい…。決してオーディオマニアではないが、空間オーディオには、そう思わせるだけの魅力があった。

そんな私の想いを知ってか知らずか、ワイヤレススピーカ分野のパイオニアであるSonosが空間オーディオ対応スピーカをリリースするというのだから、レビューしない手はない。それが、3月に発売されたワイヤレススピーカ「Era 300」だ。

部屋に合ったチューニング

まずは本体のデザインに触れよう。「Era 300」のサイズは260(W)×160(H)×185(D)ミリで、重量は4・47キログラム。カラーはブラックとホワイトで、いずれもマット仕上げだ。バッテリを搭載しない据え置き型スピーカなので、ある程度のスペースは要する。

「Era 300」は、アプリもしくは、本体をタッチ/スワイプすることで操作する。再生や一時停止、音量調整などが行える。

その分、左、中央、右、そしてハイトチャンネル専用のパワフルな6つのスピーカを搭載しており、同社のラインアップでは、サウンドバー以外の製品ではじめてドルビーアトモスによる空間オーディオの対応を果たしている。

本体背面には、Bluetoothペアリングボタンや電源コード差し込み口、マイクの物理ミュートスイッチと、USB Type-Cラインイン用のポートが用意されている。

セッティングは「Sonos アプリ」から簡単に行える。本体を電源につなぐと、「Sonos アプリ」がスピーカを検出し、システムに追加する。あとはアプリの指示に従ってネットワークに接続し、アプリ上で設定したい部屋にスピーカを追加するだけだ。

セッティング後にぜひ設定したいのが、Sonos製品のほとんどのモデルが対応している「Trueplay」だ。いわゆるサウンドの最適化機能で、部屋の壁、家具、そのほかの壁からの音の反射を測定して、スピーカの設置場所に適した音質に調整してくれる。

チューニング方法は2種類あるが、アップルユーザはぜひ「高度なチューニング」を選んでほしい。iPhoneやiPadなどのマイクを使用して、部屋の中を歩き回りながら、より正確にカスタマイズされたチューニングを行ってくれる(アンドロイド端末はクイックチューニングのみ対応)。

ほとんどのSonos製品には、スピーカチューニング機能「Trueplay」が搭載されている。

ほとんどのSonos製品には、スピーカチューニング機能「Trueplay」が搭載されている。

Sonosスピーカを最大限に活用するために重要な機能だ。なるべく[高度なチューニング]を選択したいところ。

Sonosスピーカを最大限に活用するために重要な機能だ。なるべく[高度なチューニング]を選択したいところ。

イヤフォンとは別次元

「Era 300」はBluetoothやWi-Fi、AirPlay 2経由で、音楽をストリーミング再生できる。注意すべきは、BluetoothとAirPlay 2は空間オーディオには対応していないということだ。

たとえば、「ミュージック」アプリで空間オーディオに対応した楽曲を再生し、AirPlay 2で「Era 300」にストリーミングしても、それは「空間オーディオ」にはなっていない(もちろん、AirPlay 2再生でも、素人の耳では驚きのサウンドクオリティだが…)。

「Sonos アプリ」上で、Apple Musicと連係することで、楽曲のコントロールが可能になる。Amazon Musicなどとの連係も行える。

執筆時点で「Era 300」から空間オーディオ対応楽曲を再生するには、「Sonos アプリ」か、「Amazon Music」アプリ(アマゾンミュージックHDの登録が必要)を使う必要がある。少々厄介だが覚えておこう。「Sonos アプリ」上でApple MusicやAmazon Musicを紐づければ、あとは同アプリ上で楽曲にアクセスできる。[再生中]画面にドルビーアトモスのロゴが表示されていれば、空間オーディオで再生されているサインだ。

肝心の「Era 300」による空間オーディオサウンドは、正直、イヤフォンでの衝撃を遥かに上回るものだった。文字だけで伝わらないのが悔しいのだが、ぜひ多くの人に味わってほしい。たとえば、個人的に何度も何度も聴いてきた宇多田ヒカルの「First Love」を流してみたところ、これまで“聴こえなかった音”が味わえた。ヘビロテした曲こそ、新たに空間オーディオで聴くのがおすすめだ。

「Sonos アプリ」上でドルビーアトモス対応楽曲を流したときの再生画面。「Dolby Atmos」の表示があれば、空間オーディオで再生されているサインだ。

次のステップはホームシアター化

なお、現状「Era 300」の空間オーディオは、ホームシアター向けのドルビーアトモス音声を再生することはできない。同社のサウンドバー「Arc」や「Beam(Gen 2)」などを使うことで、はじめてドルビーアトモス対応ビデオを視聴できる。「Arc」を使ってドルビーアトモス対応の映画「トランスフォーマー」を視聴する機会があったのだが、映像込みの空間オーディオは、また“別次元のスゴさ”だった(語彙が追いつかないほど…)。

さらに「Era 300」を「Arc」などと組み合わせれば、高度なマルチチャンネル再生も実現する。いつの間にか、部屋中がSonos製品であふれている予感…。

「Era 300」と同時に発売された「Era 100」。コンパクトさとパワフルなサウンドをうまく両立させている。空間オーディオには非対応だが、サウンドバーなどと組み合わせたホームシアター構築に対応している。

※本記事は『Mac Fan』2023年7月号に掲載されたものです。

著者プロフィール

笹本貴大

笹本貴大

『Mac Fan』編集長。1989年生まれ、東京都青梅市出身。ベビーテックに興味あり! FP3級、世界遺産検定3級、名探偵コナン検定1級。 Xアカウント:@ssmt_tkhr

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