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お金から自由になる唯一の方法・後編/四角大輔の「Mobile Bohemian 旅するように暮らし、遊び、働く」 【第43話】

著者: 四角大輔

お金から自由になる唯一の方法・後編/四角大輔の「Mobile Bohemian 旅するように暮らし、遊び、働く」 【第43話】

組織に依存せずに個人で生きるためには、まず「ミニマム・ライフコスト」を把握すべきだと書いた。そうすると「何を失うことが本当に怖いのか?」がわかり、「どうなっても生きていける」という自信と勇気を手にし、思い切った行動ができるようになるからだ。

ぼくが湖の畔で生活費がかからない自給自足ライフを営んでいる理由。それは、人生で挑戦し続けるためにミニマムライフ・コストを極限まで下げるためでもある。そして把握すべきなのはお金だけではない。モノに関しても同じだ。 

たとえば、ぼくは1週間以上のバックパッキング登山をするとき、グラム単位で荷物を軽くする。過酷な自然環境へ重量過多のバックパックを持っていくことは、過労による行き倒れや遭難や大ケガといった事故に直結するからだ。 

一流登山ブランドのウェアとギアは耐久性が高いうえ、最近は驚くほどデザインが良くなってきた。そして、身ひとつで「衣食住」を背負い続けないといけないため、他のどの野外活動よりも軽量化が徹底されている。

さらにぼくは、世界中から最軽量クラスを厳選。素材と技術革新によって、この10年で荷の総重量は半分近くまでに。これらは登山だけでなく、数カ月を費やす移動生活でも大活躍だ。我が愛用品は、新刊『バックパッキング登山入門』で全公開しているのでよかったらぜひ。

当然、日々の暮らしでも選択基準は同じ。すべてにおいて「ミニマル思想」を持って生きないと、身動きがとれなくなり、仕事や暮らしでの行動力を低下させ、自由の完全喪失につながってしまう。 

モノを増やさないコツは、「あればいいかも」ではなく「なくてもいいかも」に焦点を当てること。つまり、 足し算ではなく「引き算思考」。何かを両手に持つ安心よりも、手ぶらで生きる圧倒的な自由を、ぜひ体感してみてもらいたい。

「お金を一切使うな。モノを持つな」と言ってはいない。「あなたの人生で本当に必要なことにはお金を投資せよ」、「人生をつくる重要なモノは必ず一流品を入手せよ」 と、ぼくは言いたいのである。

つまり、あなたを「不自由」にするものにはお金をかけず、「自由」にするものだけに投資せよ、ということだ。ぼくは25年近く、大好きな釣りや登山、旅やデジタルデバイスにはケチらずお金を費やしてきた。結果、これらで培ったスキルは、今の森の生活と移動生活を支え、ぼくの人生をデザインしてくれている。 

「不要なことをミニマル」にすることで初めて、「大切なことを最大化」できる。 この最大化できることの中に「勇気と行動力」や、「人生の自由度」も含まれることは、もう説明不要だろう。

ミニマム・ライフコストを把握して、マネーシステムの恐ろしさ理解し、最低1年、お金に縛られない生き方と、余計なモノに縛られない身軽なライフスタイルに挑戦してみる。そうやって初めて、あなたは「人生で大冒険をするための装備」を身につけたと言えるのだ。

2週間かけて北アルプスを完全縦断。ちなみにバックパックは世界最軽量。#ShotOniPhone

※この記事は『Mac Fan 2019年7月号』に掲載されたものです。

著者プロフィール

四角大輔

四角大輔

作家/森の生活者/環境保護アンバサダー。ニュージーランド湖畔の森でサステナブルな自給自足ライフを営み、場所・時間・お金に縛られず、組織や制度に依存しない生き方を構築。レコード会社プロデューサー時代に、10回のミリオンヒットを記録。Greenpeace JapanとFairtrade Japanの日本人初アンバサダー、環境省アンバサダーを務める。会員制コミュニティ〈LifestyleDesign.Camp〉主宰。ポッドキャスト〈‪noiseless‬ world〉ナビゲーター。『超ミニマル・ライフ』『超ミニマル主義』『人生やらなくていいリスト』『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』『バックパッキング登山大全』など著書多数。

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