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マイワークスタイル その1 物技交換/四角大輔の「Mobile Bohemian 旅するように暮らし、遊び、働く」 【第7話】

著者: 四角大輔

マイワークスタイル その1 物技交換/四角大輔の「Mobile Bohemian 旅するように暮らし、遊び、働く」 【第7話】

5月。日本が一年でもっとも気持ちのいい季節。朝の光を浴びながら東京のオフィスでこの原稿を書いている。

ニュージーランドの〈湖畔生活〉と世界各地を巡る〈移動生活〉のハイブリッドライフを送るぼくは、場所の制約を受けたくないため、ほとんどの業務をインターネット経由で済ませることが多い。イベントは「ぼく自身の身」が「その場」に存在しないと成立しないからやむを得ないが、ミーティングなどはスカイプで済ませてしまうのが通常だ。

そんなぼくが今日本にいるのには、大きく2つの理由がある。

まず、この時期の日本の気候が大好きであること。そして、ニュージーランド最大のエコブランド「ecostore」日本初上陸に関するPRイベント、マーケティングチームとの顔合わせなどのためだ。

「世界各地、なるべくいい季節に訪れたい」のが、〈モバイルボヘミアン的心情〉だ。これは、当連載で繰り返し述べてきた我がライフテーマ「自身のクリエイティビティを最大限に引き上げること」が目的であるのはいうまでもない。感情に脳も肉体も支配される我々人間にとって、「気分のよさ」は「創造性の向上」に直結しているのだから。

そして今回のような、新規プロジェクトの「顔合わせ」があるタイミングや、大人数とのコミュニケーションが必要な場合は、やむなく(笑)自身の肉体を移動させるようにしている。長い目で見ると、そのほうが効率よく、ストレスも少ないからだ。ライフスタイルの自由度を上げるために、「場所」だけでなく、「精神的負荷」、「余計なタスク」、「面倒くささ」などから自身を解放することも、ぼくは徹底的に心がけている。

4月上旬に一度来日し、前述の目的を果たしてから、フィリピンのセブ島へ移動。海が目の前の宿泊施設で2週間ほど過ごしたのち、先日また来日。そのまま約20日間、ぼくは日本にいる。後半の滞在理由は、6本のトークライブ。人前で話す講演活動も当然、ぼくの身がそこにないと成立しない。

震災被害が残る熊本に立ち上がったボランティアビレッジでの、「熊本の未来」をテーマとする、作家仲間たちとのトークセッションを皮切りに、単独、対談、鼎談などさまざまな形態で行ってきた。

さて、前書きが長くなってしまったが、今回の連載テーマについて、ここで簡単に解説してみたい。まず「物々交換」の意味はご存じのとおり。では、〈物技交換〉とは何か。これは文字どおり、「物と技術(スキル)の交換」という意味。ちなみに、〈技々交換〉という「スキルとスキルの交換」というスタイルもぼくは好きだ。

仕事とは何か?という問いに対して、多くの人は「お金をもらうために働くこと」と答えるだろう。もちろんぼく自身、抱える仕事の大半は、ぼくの「表現・アイデア・経験値・肉体的パフォーマンス・知識」などの「技」を提供する代わりに、「お金」をいただくという形態がほとんどだ。

ただ、レコード会社を辞めて以来ぼくは、お金よりも、取引先の「モノ」や「スキル」をもらうというスタイルを追求してきた。

次号よりその意味と哲学、そして方法について詳しく綴ってゆきたいと思う。

南仏のある小さな街のカフェで、クリエイティブチームとチャット。(Photo:Daisuke YOSUMI’s iPhone)

※この記事は『Mac Fan 2016年7月号』に掲載されたものです。

著者プロフィール

四角大輔

四角大輔

作家/森の生活者/環境保護アンバサダー。ニュージーランド湖畔の森でサステナブルな自給自足ライフを営み、場所・時間・お金に縛られず、組織や制度に依存しない生き方を構築。レコード会社プロデューサー時代に、10回のミリオンヒットを記録。Greenpeace JapanとFairtrade Japanの日本人初アンバサダー、環境省アンバサダーを務める。会員制コミュニティ〈LifestyleDesign.Camp〉主宰。ポッドキャスト〈‪noiseless‬ world〉ナビゲーター。『超ミニマル・ライフ』『超ミニマル主義』『人生やらなくていいリスト』『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』『バックパッキング登山大全』など著書多数。

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