Mac業界の最新動向はもちろん、読者の皆様にいち早くお伝えしたい重要な情報、
日々の取材活動や編集作業を通して感じた雑感などを読みやすいスタイルで提供します。

Mac Fan メールマガジン

掲載日:

MISUMI(大槻水澄)

音楽と生きるボーカリストは「VisualAudio」で声の周波数を可視化

著者: 美崎栄一郎

音楽と生きるボーカリストは「VisualAudio」で声の周波数を可視化

見せる人/MISUMI(大槻水澄)

有名アーティストやビジネスパーソンにボイストレーニングを提供するマジカルトレーニングラボ主宰。サントリー、資生堂、花王などのCMをはじめ、500曲以上のレコーディングに参加してきたボーカリストでもある。昭和音楽大学非常勤講師。BS日テレ「Hot-Dog PRESS TV」「EBIDANアミーゴ」出演。【URL】http://magicaltraininglab.com/

MISUMIさんのiPhoneインストールされているアプリ VisualAudio Real Time Audio Spectrum Analyzer/VocalPitchMonitor /耳コピプレーヤー Slow Player/SoundHound/AVR PRO

 

声を自由自在に操る

今回のゲストは、ボーカリストとして活躍しているMISUMIさん。今はバンドのボーカルとしてだけではなく、マジカルトレーニングラボ株式会社の代表として、アーティストやビジネスパーソンなどに声の操り方を教える仕事もしています。

実はMISUMIさん、当初はボイストレーナーになるつもりはまったくなかったのだとか。知り合いに頼まれるうちに、自身が実感している声に関するマニアックな知識やコツ、それを伝える仕事にハマり出したそうなのです。

MISUMIさんは学生時代から、歌がうまいと言われるアーティストのアルバムを毎日のように真似して歌っていたそうです。曲をじっくり聴いて、同じような音が出るまで歌ってみる。たとえば、チャカ・カーンのアルバムを毎日1枚分1年間コピーし続けたのだとか。その音が出るように工夫しているうちに、最終的にはまるでチャカ・カーンのように上手になっていったそうです。

文字だけで伝えるのは非常に難しいのですが、MISUMIさんは、さまざまな人の声色を即座に真似することができます。それが、モノマネ芸人顔負けのクオリティ。びっくりするのは、〝関西人風〟とか〝おばちゃん風〟のように、一般人の真似まで特徴を捉えてその場で再現してしまうこと。MISUMIさんはビジネスパーソン向けのボイストレーニングもやっているので、声に自信のない人は実際に体験してみてください。対談中に編集者さんとカメラマンさんという、普段話すことが比較的少ない職業の人に対して「職業病」だとレッスンが始まったときには笑いましたが…(笑)。ユーチューブにもMISUMIさんによるおもしろい企画動画もありますので、それもぜひ。

周波数が目に見える

MISUMIさんは「歌うように話せば、印象深い話し方ができるようになります。説得力ある話をする人は法則があるんです」と教えてくれました。さらに「スピーチを真似するコツは、ピッチと音色なんです。音域はトレーニングで広げることができます」とのことです。

想いを伝えようとするときに、プレゼンなどのスピーチでは音量を上げようと頑張ることが多いですが、MISUMIさん曰く、これはNGなのだとか。音(声)の高さや音色を変化させながら語るようにすれば、聞き手は無意識に惹きつけられ、同調しやすくなります。うまく演説する人は、そうやって話しているのですね。

今ではこの練習をサポートするアプリもiPhoneにあります。MISUMIさんが教えくれたアプリ「ビジュアル・オーディオ(Visual Audio)」は、声にして出した音を測定して周波数を視覚的に確認できます。自分の声をダミ声とか歌うときのように澄んだ声などで変えてみると、その違いがよくわかります。もちろん、MISUMIさんのように七色の声帯を持っていると、周波数変化も自由自在。

また、声の高さを確認したいときに便利な「ボーカル・ピッチ・モニタ(VocalPitchMonitor)」もインストールされていました。これは、音の高低を拾ってくれるユニークなアプリです。たとえば「ドレミファソラシド」と歌えば高低が変わりますが、話しているときの声の高低も同じように可視化されます。プレゼンが上手な人の音声をこれで可視化してみると、聞きやすさや説得力の秘密がわかるかもしれませんね。

また、歌を上手に歌うためには、まずしっかり聴くことが大事だそうですが、「スロー・プレーヤ(Slow Player)」を使えば、曲の再生速度を遅くできます。このアプリを使えば、アーティストはどういう風に歌っているのかがじっくり分解できます。それをヒントに音の出し方を真似るように工夫していけばよいのです。「私が練習していたときはレコード盤でしたが、今ではこんな便利がツールがありますから、使わない手はありませんよ」とMISUMIさん。

MISUMIさんの話を聞いて、僕も講演やコンサルティングのときにもっと格好良く話すためにいろいろとアプリを駆使しようと思いました。乞うご期待!

VisualAudio Real Time Audio Spectrum Analyze

【開発】Now Instruments and Software, Inc.

【価格】無料

【場所】App Store>ユーティリティ

MISUMIさんが使っているマニアックな音楽アプリの内の1つが、この「VisualAudio Real Time Audio Spectrum Analyzer」です。声にして出した音を測定して周波数を視覚的にチェックできます。

VocalPitchMonitor

【開発】Tadao Yamaoka

【価格】120円

【場所】App Store>ミュージック

こちらは音の高低を可視化してくれる「VocalPitchMonitor」。プレゼンやスピーチを頻繁に行う人は、一度自分の声の高さをチェックしてみるとよいかもしれません。

耳コピプレーヤー Slow Player

【開発】dotpico Inc.

【価格】600円

【場所】App Store>ミュージック

音楽の再生速度を変更するアプリはいくつかリリースされていますが、MISUMIさんが主に使っているのが「耳コピプレーヤー Slow Player」です。曲をiPhoneのライブラリから取り込むだけで、再生速度やキーなどを変更できます。

見る人/美崎栄一郎

『iPhoneバカ』『iPadバカ』などの著者。札幌から福岡までアップルストア全店舗、ソフトバンク本社などでも講演したiPhone大好き人間。新刊『スピードと成果が劇的に上がる戦略 最強の優先順位』(かんき出版)が発売されました。【URL】http://note272.net/