スペックの差違をチェック
メッシュWi-Fiルータの外観は、白い円盤状という特徴がどれも同じです。サイズも直径120ミリ前後で、グーグルWifiだけが突出して厚いだけです。また、主なスペックを比べてみても、内部ハードウェアが同一ではないかと思うほどよく似ています。唯一、グーグルWifiのみ2.4GHz帯の速度が300Mbpsですが、実際には主に5GHz帯を利用するので問題にはなりません。イーサネットポートもすべて2ポートでギガビット対応で、性能や機能ではほとんど違いがありません。
メッシュWi-Fiルータの寸法を比べると、Google Wifiがもっとも細くて高さがあり、Lyra miniはもっとも薄い代わりに直径が長くなっています。Deco M5はほとんどLyra miniと同じ寸法です。
【用語解説】トライバンド
トライバンドのトライとは3という意味で、これは3つの電波同時利用できるという意味です。一般的なWi-Fiルータは、2.4GHzと5GHzのデュアルバンドですが、これは従来の11g/nと11acが同時に使えるという下位互換性を確保するためのものでした。しかし、トライバンド対応機では5GHz帯の電波を2つ使えるように、必要なハードウェアが追加されており、信号処理を行うCPUも複数搭載されて並列処理できるようになっています。簡単にいえば、鉄道の複々線化によって列車の本数が増えるようなもので、4K動画を複数ストリーミングするような環境において威力を発揮するでしょう。
ユニークなデザインと飛び抜けた性能を持つトライバンドWi-Fiルータ。可動式アンテナでテレビや中継器に向けて通信を安定させることができます。
BUFFALO WTR-M2133HP
【開発】バッファロー
【価格】2万円程度
価格とパッケージを比較
メッシュWi-Fiでは複数のアクセスポイントが必要になります。そのため、グーグル WifiやDeco M5は3台パッケージがメインとなっています。そのため通常のルータよりも割高に感じられるでしょう。しかし、日本の狭い住宅では2台で十分なケースが多いので1台パッケージを2個買えば十分です。唯一2台パッケージをメインとしているライラミニがもっとも日本市場向けにローカライズされているといえます。なお、Deco M5はアマゾン限定で2台パッケージが売られています。
ASUSのWEBサイトより。日本の住宅事情ならば、2台で十分というケースがほとんどでしょう。【URL】https://www.asus.com/jp/Networking/Lyra-Mini/
セキュリティ機能を確認
近年のWi-Fiルータには、増加するIoT機器を保護したり、家族のためのペアレンタルコントロールなどが求められています。今回紹介しているメッシュWi-Fiルータでも、Deco M5とライラミニには、トレンドマイクロのセキュリティ機能が搭載されています。これらは危険なURLをブロックしたり攻撃的なトラフィックを遮断してくれるので、家庭内ネットワークをウイルスやマルウェアから守ってくれます。一方、グーグルWifiには、こうしたホームセキュリティの機能がありません。このようにメッシュW-Fiルータの違いはとてもわずかなのでデザインの好みや価格などで選べばいいでしょう。
Deco M5にもトレンドマイクロが提供するHomeCareが搭載されています。その機能はAiProtectionと同等でアンチウイルスによる安全を提供してくれます。こちらは3年間無料となっています。
用語解説 IPv6
IPv6とは、インターネット上のデバイスのIPアドレスが枯渇寸前であることを受けて、移行が進められている最新プロトコルです。これまでのIPv4では、2の32乗個だったアドレス数が、v6にすることで2の128乗個まで拡張されます。これならIoT機器にユニークなアドレスを割り当てても十分賄えると考えられています。IPv6とIPv4のアドレスを比べると、v6では16進数で32桁もあり膨大な組み合せであることがわかります。
【IPv6】 2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334
【IPv4】192.168.12.16
メッシュWi-Fiがおすすめな環境
メッシュWi-Fiルータはどんな環境でもおすすめできるわけではありません。
下の5つに該当しているなら購入の価値はあるといえるでしょう。
Wi-Fiデバイスが多い
MacだけでなくiPhoneやiPad、Apple TVなどがある。それだけではありません。スマートスピーカやIoT機器など、Wi-Fiに接続する機器が家中にあふれています。デバイスが多い環境でWi-Fiルータ1台だけでまかなうのは大変です。複数のサテライトに処理を分散させる意味でもメッシュWi-Fiはおすすめです。
自宅が広い
従来のWi-Fiルータではカバーしきれない範囲でWi-Fiデバイスを使いたい環境にはメッシュWi-Fiが最適です。まさにWi-Fiで家を塗りつぶせるので、Wi-Fiが隅々まで利用できます。必要な数だけサテライトを増やすのも簡単です。
間取りが複雑
ルータを設置してある部屋と別の場所でWi-Fiを利用する場合、途中に壁や水回りなどの障害物があると電波が届かなかったり減衰して通信が不安定になります。中継器を設置する手もありますが、設定や調整も面倒です。メッシュWi-Fiなら複数のアクセスポイントを設置すれば、自動的にメッシュが再構築されるので複雑な間取りの家でも安心です。
不安定で困っている
メッシュWi-Fiはルータと各サテライトが相互に接続されているので、転送経路が1つではありません。万が一サテライトに問題が生じた場合でも、すぐに別の経路に切り替わって最速の状態をキープできます。家も広くないし間取りも複雑ではないのに、なぜか通信が不安定。そんな環境ならメッシュWi-Fiを試す価値ありです。
デバイスの移動が頻繁
たとえばゲームをプレイしながらお風呂やトイレにiPhoneやiPadを持って行くと、通信が切れて読み込み中になってしまう。そんなときはメッシュWi-Fiなら、一番条件のいいサテライトへスムースに引き継いでくれるので、ストレスなくゲームが続けられます。映像をストリーミングしながら部屋を移動しても、接続が切れたり途切れたりすることもありません。使う場所が決まっていないモバイルデバイスが多い場合は、メッシュWi-Fiがおすすめといえます。
メッシュWi-Fiをおすすめしない環境
逆にメッシュWi-Fiをおすすめできないのは下の5つのケースです。
自分に必要などうかしっかり判断してください。
安定より速度が第一
メッシュWi-Fiルータは2ストリーム(867Mbps)の製品のみですが、非メッシュでは4ストリーム(1733Mbps)の製品も登場しています。ルータとしての性能もデュアルCPU搭載モデルや10ギガビットEthernet対応など、とにかく速度が第一というユーザには従来型のWi-Fiルータのフラグシップをおすすめします。
VPNが使いたい
自宅や職場のPCやサーバに外部からアクセスしたい。ペット監視用に設置したWEBカメラを外部からコントロールしたい。そんなときに使うVPN機能をサポートするメッシュWi-Fiルータも登場していますが、どれでも使えるわけではありません。VPNが前提なら、従来型のWi-Fiルータの選択肢の多さに軍配が上がります。
高度な設定を行いたい
機種によっても異なりますが、メッシュWi-Fiルータの設定項目は比較的簡略化されたものが多いようです。PPPoEで複数の接続先を切り替えたり使用中のDDNSを設定したり、2.4GHzや5GHzで使用しているチャンネルの固定、MACアクセス制限などガチガチな設定でカスタマイズしたい場合も従来型のWi-Fiルータが適しています。
有線LANデバイスが多い
ネットワークに接続するデバイスはたくさんあるけど、どれもデスクトップのMacやNASといったEthernetケーブルを使った有線中心の環境も、Ethernetポートが少ないメッシュWi-Fiルータには適していません。単体のギガビットEthernetハブは結構なお値段なので導入コストが跳ね上がってしまうからです。
ワンルームで一人暮らし
手の届く範囲にすべてのデバイスがある。部屋も1つだしWi-Fiにつなぐのも自分のPCだけ。ほかにWi-Fiを利用するテレビやスマートデバイスもない。そんなシンプルな環境ならあえてメッシュWi-Fiを構築する意味はありません。従来型のWi-Fiルータを1台設置すれば十分でしょう。