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「Macの電源/バッテリ」の疑問を解決しよう

「Macの電源/バッテリ」の疑問を解決しよう

パワーデリバリー対応ってどういうこと?

USB-C対応の電源アダプタやケーブルに書いてある「PD」とは「Power Delivery(パワーデリバリー)」の略で、最大100Wの給電ができるUSBの電力供給規格のことです。

USB-Cというと、どちら向きでも挿せる新しいコネクタ形状や最大10Gbpsのデータ伝送が行える「USB3.1 Gen2」などが注目されがちですが、実はデータだけでなくディスプレイの信号を伝えたり電力を供給するのにも使用できる規格として登場したものです。もちろん旧来のUSBでも電力供給はできましたが、5W程度しかないので、モバイルデバイスの充電は遅いですし、3.5インチHDDでさえ駆動できません。そこで、もっと多くの電力を必要とする機器でもケーブル1本でデータ伝送や電力供給を行えるようにと生まれたのが「USB PD」なのです。充電にUSB-Cポートを使用するMacBookシリーズでは、PD対応の電源アダプタやケーブルでないと充電に使えなかったり、充電時間が極端に遅くなったり場合によっては給電しかできなかったりすることがあります。トラブルを防ぐためには、付属している電源アダプタとUSB-C充電ケーブルを使って充電することを心がけましょう。

(1)各USB規格における電力供給の最大値。USB PDでは最大100Wの電力を供給できます。もっともケーブルよって最大アンペアが異なるので相応のケーブルが必要です。

(2)別売りのアクセサリとしてApple Storeで販売している「USB-C充電ケーブル(2m)」(写真上)や「Thunderbolt 3(USB-C)ケーブル(0.8 m)」(写真下)はPD対応なので充電に使用できます。

(3)USB-CケーブルにはUSB 3.1 Gen.2をサポートしていなかったりPD非対応のケーブルもあるので購入の際は注意が必要です。

クイックチャージ対応なら充電が速くなるの?

モバイルバッテリや電源アダプタの宣伝では「クイックチャージ(Quick Charge)を使えば通常のUSBより3倍速く充電できる」といった記載しているものがあります。これは、アンドロイド端末の一部で採用されている急速充電の規格名で、「Quick Charge 3.0」では5V、9V、12V、20Vと4段階の電圧を使い分けて高速充電を実現しています。

残念ながら、iPhoneやiPadはクイックチャージに対応していないのでクイックチャージ対応の電源アダプタを使っても無意味です。

Quick Chargeはクアルコムが策定した急速充電の規格です。最新のQuick Charge 4では5分の充電で5時間以上スマートフォンを使用できると謳っています。

MacBookの電源が突然落ちちゃう!

動作中に何の前触れもなくプツっと電源が落ちてしまう。こうした症状はMacの電源まわりにトラブルの原因が考えられます。とりあえずNVRAMのリセットとSMCのリセットを試してください。NVRAMは以前はPRAMと呼ばれていたもので、Macに記録されている設定情報が格納されているメモリのことです。一方、SMCはシステム管理コントローラのことで、電源ボタンを押したときの反応やバッテリ管理などを行っています。この2つをリセットしてみて様子をみましょう。そのほか、システムプロフィールでバッテリや電源アダプタをチェックしましょう。

NVRAMとSMCのリセット手順です。NVRAMリセットの際、起動音が鳴るモデルの場合は2回目の起動音が鳴った時点でキーを離してかまいません。

MacBookの充電が途切れてしまう!

付属の電源アダプタとUSB-C充電ケーブルを使っているのに充電できなかったり、断続的にしか充電されない現象が起きる場合があります。こうした症状が発生したときは、充電ケーブルにシリアル番号が印字されているか確認してみましょう。

2015年6月までに販売されたMacBookに同梱していたUSB-C充電ケーブルの一部に問題があり、該当するケーブルの交換プログラムが発表されています。対象となる充電ケーブルであれば無償で交換してくれるので手続きしましょう。

“Designed by Apple in California. Assembled in China”の印字の後にシリアル番号のないケーブルは交換対象です。交換方法などは「Apple USB-C 充電ケーブル交換プログラム」をご覧ください。【URL】 https://www.apple.com/jp/support/usbc-chargecable/

バッテリマークの違いはなに?

電源アダプタをつなげるとメニューバーにあるバッテリマークにイナズマのマークが表示されて充電中であることがわかります。このときよく見ると、バッテリマークの背景が白の場合と黒の場合があります。

これは充電状態を区別するもので、背景が白のときは充電、黒なら給電を表しています。つまり後者は、バッテリが充電されていないという意味です。充電完了していれば問題ありませんが、所定より出力の小さい電源につながっていて充電がストップしている場合もあります。

バッテリーマークの背景が黒の場合は、電源アダプタからはMacBookに給電しているだけでバッテリは充電していない状態です。

MacBookのバッテリが充電されない!

充電できない原因はいろいろ考えられるので、1つ1つチェックしてみましょう。まず最初にNVRAMとSMCをリセットしてみます。それでも改善されない場合は電源アダプタの確認です。MacBookとMacBookプロなど異なるモデルでは、電源アダプタの容量も異なります。

一応、MacBook用の29W USB-C電源アダプタでもMacBookプロを充電できますが、通常より時間がかかったり場合によっては充電できないこともあります。複数のモデルを所有している場合は、正しい電源アダプタを使っているか再確認してみましょう。

充電ケーブルが異常によれて内部の線が切れかかっていないか、ケーブルの被覆がはがれている部分はないかもチェックしてみましょう。電源アダプタをつなげている環境も関係します。電源タップや延長コードなどを利用している場合は、そちらも確認してください。直接コンセントに電源アダプタをつなげたり、別のコンセントにつなげるなど試してみてください。

(1)MacBookシリーズの電源アダプタには容量(ワット数)が記載されています。複数のモデルを使用している人は正しい電源アダプタを使っているか確認しましょう。

(2)アップルメニューから[このMacについて]を選んで[システムレポート]をクリックするとシステム情報のウインドウが開きます。ここの[電源]からもAC充電器(電源アダプタ)の状態が確認できます。

(3)延長コードを替えたり、電源アダプタを別のコンセントにつなげて状況が変わるかも試してみましょう。

【バッテリ交換】

[バッテリ]メニューに[今すぐ交換]や[バッテリーの交換修理]が出ていたらバッテリが劣化しているので交換が必要です。「Mac の修理サービス」を参照してください。【URL】https://support.apple.com/ja-jp/mac/repair/service

【ケーブル種類】

61Wや87WのUSB-C 電源アダプタのケーブルは、シリアル番号の先頭が「DLC」や「CTC」です。「C4M」や「FL4」の29W USB-C電源アダプタ用ケーブルを使っても充電できますが、充電の電力が29Wに落ちます。