DJというと、アナログレコードをターンテーブル(レコードプレーヤ)に乗せ、ミキサーを操作してつないでいく…というちょっと難しい印象を持っている人が多いかもしれません。しかし、最近はすべての曲をデータ化し、それらをPC上のソフトでプレイする「デジタルDJ」のスタイルが広まっています。専用のコントローラなども各種販売されていますが、実は、iPadとアプリだけでもかなり本格的なプレイが可能となっています。
「Traktor DJ」を使いこなす
デジタルDJの間で定番になっているソフトが、「Traktor」シリーズです。開発元のNative Instruments社は、音楽制作向けのソフト音源開発でトップにいるメーカーの1つで、さまざまなノウハウを持っています。そのノウハウの蓄積をコンパクトかつ洗練された形でまとめたアプリが、iPad用「Traktor DJ」です。
iPadのタッチスクリーンを活かしたフェーダー操作やスクラッチ操作は、PCでマウスを用いて行うよりもずっと直感的。曲を選択して再生するだけなので、初心者にとってもハードルが低く、誰でも簡単にDJ気分を味わえます。また、高い精度を持つテンポ検出機能や多種備えられたエフェクトなども搭載しており、自宅だけでなく、クラブなどの音楽施設でのパフォーマンスにも十分対応できるポテンシャルがあります。
いちおしアプリ
Traktor DJ(iPad用)
【開発】NATIVE INSTRUMENTS GmbH
【価格】1200円
【場所】App Store>ミュージック
Native Instruments社がリリースする人気DJソフトウェア「Traktor DJ」のiPad版。Mac版やiPhone版も用意されています。
(1) iPad版の「Traktor DJ」の基本画面です。「デッキA」と「デッキB」にそれぞれ曲を読み込ませ、画面右端のボタンやフェーダーを操作して、曲の再生/停止や出力、エフェクトなどを調整しながら2つの曲をつなぎ合わせます。
(2)プレイする楽曲は、iPad内のミュージックライブラリからセレクト。曲をセットするには、流したい曲を選択し、デッキAとデッキBのどちらにアサインするかを選ぶだけでOKです。
iTunes Storeで購入した曲は使える?
「Traktor DJ」では、ミュージックライブラリに入ってさえいれば、iTunes Storeから購入した楽曲も問題なく使うことが可能です。ただし、購入した楽曲を交えたプレイ動画をネット上にアップするなどすると、著作権法違反になるほか、最近は自動検出により動画の削除・ペナルティの処置がとられやすいので、扱いに注意しましょう。
(3)デッキに曲をセットしたら、再生ボタンをタップ。曲のつなぎあわせは、右端真ん中のフェーダーで操作します。リズムがはっきりした曲であれば、瞬時にテンポが自動算出され、もう一方の曲と同期させるところまで自動で行われます。
プレイの幅が広がる便利な周辺機器
「Traktor DJ」はiPadのみでも十分楽しめますが、もっと本格的なプレイしたい場合は周辺機器によるサポートが不可欠。一番大きいのは、次にかける曲をヘッドフォンだけで確認できる「CUE」機能の実現で、iPad本体など音声出力が1つだけの環境では実現不可能です。そこで、「ZOOM U-44」のような音声出力をステレオ2系統以上出せるオーディオインターフェイスがあれば、一方をメインのスピーカに、もう一方をCUE用に割り振れるので、専用のDJミキサーを使ったようなプレイを実現できます。また、モニタや音声出力に加え、ミックス用のフェーダーやスクラッチ用のダイヤルを備えたコントローラも各種販売用意されています。
いちおしアイテム
ZOOM U-44
【発売】ズーム
【価格】1万6000円前後
【URL】https://www.zoom.co.jp/ja/products/production-recording/audio-interfaces/u-44-handy-audio-interface
「ZOOM U-44」は、ステレオ2系統の出力が可能なオーディオインターフェイスで、メインのスピーカとは別に、ヘッドフォンで次に流したい曲を確認できるようになります。
いちおしアイテム
KONTROL S4
【発売】NATIVE INSTRUMENTS
【価格】6万6000円前後
【URL】https://www.native-instruments.com/jp/products/traktor/dj-controllers/traktor-kontrol-s4/
「Traktor DJ」向けには、いくつもの専用コントローラが用意されており、快適な操作性でより本格的なプレイにも対応できます。
パーティにも便利なおすすめスピーカ
パーティなどでDJプレイするのであれば、重量感のあるサウンドで鳴らしたいところ。最近は小型でも迫力のあるサウンドを鳴らせるポータブルスピーカが増えており、1つ持っていると楽しみの幅が広がります。ミュージシャンにも評判の良いIK Multimediaの「iLoud」は、9.7インチiPadと同じくらいのサイズながら、かなりの大音量を出力可能です。Bluetooth接続や大容量のバッテリを備えているので、場所を選ばず迫力あるサウンドが得られます。また、手持ちのオーディオ機器がイマイチ迫力不足な場合も、「サブウーファ」を追加するとクラブらしい重低音が得られ、体で音を感じるような体験をリーズナブルに実現できます。
いちおしアイテム
IK Multimediaの「iLoud」は、音楽制作にも使えるバランスの良さを持ちながら、かなりの大音量を鳴らすことができます。
いちおしアイテム
FOSTEXの「PM-SUBmini」などのサブウーファを加えると、家庭向けの小型オーディオでもクラブ的な重低音を楽しめるようになるのでおすすめです。