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掲載日:

MacやiPhoneを賢く修理する方法

著者: 栗原亮

MacやiPhoneを賢く修理する方法

大都会の片隅で、深夜にだけ営業する喫茶店“真夜中のジーニアス”がある。そこには夜な夜なさまざまな客が訪れ、モバイルに関する相談が繰り広げられる。マスターとアシスタントがおすすめの“裏メニュー”で問題を華麗に解決します。今夜のお客様は、MacBookやiPhoneのパフォーマンス低下についてお悩みとのこと。

無料でバッテリ交換できる?

(カランカラン♪)

客●こんばんは~。ユミちゃん元気にしてる?

ユミコ●あれ、おばさまお久しぶりです。こんな時間にいらっしゃるなんて、何か困り事ですか?

客●この店いつも深夜営業じゃないのよ。あ、でもiPhoneのバッテリがすぐ切れるようになって困ってるのよね。修理に出したほうがいいかしら。

ユミコ●ええと、iPhone 6をお使いなんですね。発売から4年が経ちますから、そろそろバッテリは劣化しているかもしれません。修理ではなく買い替えてもよいタイミングかもしれませんよ。

客●そうねえ、でも実はそれ以外はあまり困っていることはないのよね。それに何だかバッテリを無料で交換してくれるって話をどこかで聞いたんだけど、それってどういうこと?

ユミコ●アップルが行っている「バッテリ交換プログラム」のことですね、それを最近よく聞かれることが多いんです。いろいろ誤解も多いのですが、あれは単なる無料サービスをしているって話ではなくて、昨年iOS 10.2.1へのアップデートの際にユーザに説明不足があったことへのお詫びの意味合いが強いんですよ。

客●あら、そうなの。じゃあずっとやってるわけじゃないのね。

ユミコ●はい。対象機種はバッテリ交換が必要なiPhone 6以降で、2018年の12月まで実施しています。無償なのは1年の本体保証とアップルケア+の延長保証に入っている場合で、保証対象外のモデルでは3200円(税別)の有償交換になります。あと、交換できるのは1回だけですね。

客●なんだ、無料じゃなかったのね~。

ユミコ●ええ、でも通常は8800円(税別)ですから、かなり思い切った対策だと思いますよ。在庫の問題もあるでしょうから、心配な方はアップルに早めに問い合わせたほうがいいですよ。

客●そうね~。うちの勤め先の近所にアップルストアができたから明日行ってくるわ!

ユミコ●わ、いきなり行くのは待ってください。その前に…。

アップルストアは予約必須?

客●あらなあに?

ユミコ●おばさまの勤め先、新宿ですよね。もしジーニアスバーに行くなら予約しておくのがおすすめですよ。

客●あら、予約制なの? さすがに高級店は違うわねえ。

ユミコ●いえいえ、いきなり行っても対応はしてくれますが、かなり待たされてしまうこともあるので、オンラインで予約するのがおすすめです。まずはWEBページのサポートでちょっと調べてみますね…新宿は来週まで空いてませんねえ。ほかの方法を検討してみましょうか。

「総務省認定」表記のワナ

客●アップルストアがダメなら、どこに持っていけばいいの?

ユミコ●アップル製品は「配送修理」という選択肢もありますが、iPhoneのバックアップはもちろん、アップルウォッチとのペアリング解除、デバイスの初期化、「iPhoneを探す」をオフにしたりSIMカードやフィルムを取り外したりと、準備を自分でやらなくてはいけないのが大変ですね。それと交換されて戻ってくるまでに1週間くらいかかってしまうこともあります。

客●ああ、私には無理無理。やっぱりお店を探すわ。

ユミコ●「Appleサポート」というアプリを使えば地図から探せるので便利ですよ。ここに出てくるビックカメラやクイックガレージといったお店はアップルの正規サービスプロバイダですから、アップルストア同等のサポートを受けられます。

客●そうなの~。でも、そういえば最近iPhone修理のお店って街に結構増えてるじゃない? あれはどうなの?

ユミコ●サポート切れのモデルなら最後の手段として考えられますが、基本的にはあまりおすすめしませんね。

客●でも、看板に大きく「総務省認定」って書いてあったわよ。国が認めてるくらいだから信用できるんでしょ?

ユミコ●ちょっと私には難しい質問ね…マスター助けて!

マスター●はいはい、総務省認定の登録修理業者のことですね。これは「技適マーク」を受けた通信機器の修理や交換の際に、電波特性を変更させないだけの設備があるという話で、修理の品質や技術を保証するものではありません。

客●それじゃあ、アップルとは何の関係もない?

マスター●そうですね、正規の部品を取り扱っているわけではないですし、修理するとアップルの保証対象外になります。もちろん認定を受けるにはかなりの設備投資や訓練が必要なので、何もない修理業者に頼むよりは安心感はあるかもしれませんが。

ユミコ●それに安いといってもバッテリ交換なら2000円くらいの違いですし、今はアップルのほうが安いですからねえ。緊急時以外で積極的に選ぶ必然性を感じません…。

Appleサポート

【開発】Apple

【価格】無料

【場所】App Store>ユーティリティ

「Appleサポート」を起動したら、自分のApple IDでサインインし[サポートを利用する]タブからサポートを受けたいAppleデバイスを選択します。

モデルごとのトピックが表示されます。バッテリ交換を希望する場合は[バッテリー、電源、および充電]をタップします。ここからキーワードで検索もできます。

[持ち込み修理]が表示されたら[今すぐ場所を検索する]をタップします。すると、現在位置から近いApple Storeや正規サービスプロバイダがピンで表示されるので、空き時間を確認してサポートを申し込みます。

総務省のWEBページで登録業者が公開されています。2018年4月10日現在では45社が登録されています。【URL】http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/sogo_kiban/repairer_info.html

登録業者でもすべてのiPhoneの修理に対応しているわけではありません。現状ではiPhone 8/8 PlusやiPhone Xを登録している事業者はありませんし、7/7 Plusでも登録は10社程度です。

MacBookのバッテリを無償交換する方法はある?

客●iPhoneの場合はだいたいわかったけど、MacBookの場合はどうなのかしら? そういえば最近私のMac「バッテリ交換しろ」ってメッセージが表示されるようになったのよね。

ユミコ●交換の料金などは異なりますが、アップル製品のサポートについての基本的な考え方や手順は同じです。ノートMacのバッテリサービスの場合、購入後1年間の保証やアップルケア+で3年間の延長保証をしている場合は無償になることがありますが、保証対象外だと有償です。ちなみにMacBookエアとレティナ(Retina)ディスプレイを搭載していないMacBookプロは1万2800円、12インチのMacBookとレティナディスプレイ搭載のMacBookプロは1万9800円になってます。

客●ええ~私のMacBookちゃんのほうがMacBookプロよりも高いの? あんなに小さいのに…。

ユミコ●お気持ちはわかりますが、本体のサイズの問題じゃないと思います。

客●サポート期限が切れてるかどうかはどこで調べればいい?

ユミコ●いくつか方法はありますが、Macの場合は[このMacについて]の[サポート]から簡単に調べられるので試してみるといいですよ。今使っているMacBookが何年に製造されたモデルなのかもわかりますし、おすすめです。

客●そう? ちょっと調べてみるわ。あちゃー2015年モデルでアップルケア+には入ってなかったからちょうどサポート切れだわ。これは街の修理店に持っていったほうがいい?

ユミコ●iPhone修理店より少数派ですし、MacBookは電波関係ないので総務省の認定事業者もありません。それに、そもそもMacBookはバッテリ交換に適した構造じゃないので、アップルストア以外では交換サービスの対象になっていないようですよ。

客●あら残念。

当然ですが、使い続けていくうちにMacBookもバッテリが消耗し「交換修理」の警告が出る場合があります。

Appleメニューから[このMacについて]を表示し、[シリアル番号]を控えておきます。[サービス]タブに移動したら[サービスとサポートの保証状況を確認]をクリックします。

先ほどメモしておいたシリアル番号を入力し、確認用のコードも入力します。画面を下にスクロールして[続ける]をクリックします。

保証状況とサービス期間の状況が表示されます。修理サービス保証の期間終了後の製品は有償サポートの対象となる場合があります。

[サービス]タブで[サービスと修理のオプションを表示]をクリックした場合はAppleサポートへの問い合わせか持ち込み修理のオプションが表示されます。

持ち込み修理を選択してApple IDでサインインし、症状などを選択すれば、「Appleサポート」と同じように近くのApple Storeや正規サービスプロバイダが地図で表示されます。

MacBookのように修理分解を想定していないモデルでは、街の修理店では対応できない場合がほとんどです。価格もさほど変わりませんので、正規のサポートを利用しましょう。写真●iFixit

小さなトラブルならWEBで解決できるかも

客●サポート切れなら修理代かかるのは仕方ないわね~。型落ちのMacにはもう用はないってことなのかしら。でも、それだとちょっとした故障のときに困っちゃうわね。

ユミコ●いえいえ、本体故障の場合は修理代がかかってしまうとしても、アップルサポートのWEBではヒントやトラブル対策の情報もいろいろ掲載されているので、たいていのトラブルはアップルストアに行くまでもなく解決できちゃいますよ。それにサポート切れ製品やサービス向けの「有償インシデントサポート」があって、ここではアップル製品のことなら何でも電話で質問できます。1件あたり3000円という設定になっていますが、これは有償サポートが必要と判断されたときのみ発生するそうです。

客●故障かどうか聞くだけなら料金かからないってこと?

ユミコ●そうなるケースが多いようですね。実際の修理代金は問い合わせてみないとわかりませんが。

客●そんなサービスあるの知らなかったわ。でもあまりくだらない質問してたらお金がもったいないわね。

ユミコ●自力で調べるのであれば、アップルサポートコミュニティがあるので、ここから症状別に聞いてみるといいかもしれませんね。同じ現象に悩んでいる人の投稿が見つかるかもしれません。

客●なるほどね~。うーん、でも私はいいわ。

ユミコ●え? どうしてですか?

客●だって、アップル製品のトラブルならあなたに聞くのが一番手っ取り早いんだもん!

修理サービス料金は保証期間内であれば基本的にかかりませんが、落として壊したなど保証対象外の場合は必要に応じて料金がかかります。

保証期間終了後の電話サポートとして「AppleCare有償インシデントサポート」があります。問い合わせ1件につき3000円と記載されていますが、必ず請求されるわけではありません。

Apple サポートコミュニティで質問を入力すると、解決のためのディスカッションが見つかることがあります。Appleユーザ同士協力して、トラブルシューティングを共有しましょう。【URL】https://discussionsjapan.apple.com/welcome

ビンテージとオブソリートって?

Appleでは、基本的に製品の製造中止から5年間はApple Storeや正規サービスプロバイダから部品を入手できます。しかし、5年以上7年未満を「ビンテージ」、さらに7年以上経過した製品を「オブソリート」と呼び、米国以外の地域ではこの区別に関係なくハードウェアのサポートを終了しています。つまり、現在は2011年より前のモデルはサポート対象外ということになります。

オブソリート製品の対象リストはAppleのサポートページに掲載されています。【URL】https://support.apple.com/ja-jp/HT201624

ユミコの日誌

今日のお客様はMacとiPhoneの不具合でお困りのお客様でした。3つのオーダーは

・Apple Store以外の修理方法について

・MacBookのサポート確認手順

・サポート切れ製品のトラブル対策

についてでした。Apple製品のサポート体制は何重にもなっていて、WEBでのサポートも充実しているので安心ですね。